みんな対応早くない?
職員室にて---
「失礼しまーす。2年1組の鍵山ですー。母親から職員室に来るように言われたので来ましたー」
「生徒手帳を見せてもらっていいかな?疑っている訳じゃないんだか、自分自身を納得させたいんだ。」
リュックの中の生徒手帳を見せる。やっぱり突然「女の子になりました!信用してくださいね!」なんて無理だよなあ…
「おお、ほんとに鍵山…くんなんだね?いやー、話は聞いたけどかなり小柄になったな」
「そうなんすよ…。自分でも意味わかんなくて…」
「君のお母さんと電話で話し合ったんだけどな、鍵山くんはこのまま鍵山くんとして【いつも通り】通学することになったよ」
ふむふむ。【いつも通り】がこんなに嬉しいなんて気付かなかった。
「じゃあ、先生と一緒に教室まで行こうか。クラスのみんなに説明しないといけないしな」
「了解ですー」
☆ ☆ ☆
「と言うことで鍵山 夕陽です。今まで通りよろしくお願いします」
『え?マジ?』『流石に嘘だろ』『可愛いしいいんじゃない?』
なんて言われながら席につく。
恥ずかしい…!
それから午前の授業は特に何も無かったから割愛。
そしてお昼休みはいつものメンバーと教室でお昼ご飯を食べる。
「お前、本当に夕陽か?」
「うん、夕陽だよ。」
「いつも通り接していいのか?」
「もちろん!見た目は変わったけど中身は全く変わってないからな」
こんな失礼なことを躊躇なく言うのはクラスメイトの出雲 唯斗。
短い金髪をワックスでつんつんにしていて完全に見た目がヤンキーなんだけど実際は落ち着いてて優しい。
あとデカい。180cmくらいかな?とりあえずデカい。
「だいぶ小さくなったな〜。オレとの身長対決も終わりだな!」
「また伸びるんだよ!覚悟しとけ!」
こっちの失礼なやつpart.2は郡山 紘喜。僕が男だった時にはよくどちらの方が身長が高いか、という勝負をしていた。もちろん今では勝ち目ないですけど!!!
ちなみに僕の男だったときの身長は165cm。紘喜は166cmだったっけ…?
「いや〜それにしても可愛くなったなぁ、夕陽ちゃん?」
うう…完全に舐められてる…
「僕としては高身長美男子になりたかったんだけどね…」
「夕陽は夕陽だ。見た目が変わろうと関係ないだろ」
「唯斗はほんっと優しいな…。もっと身長が低ければ心の友になれたぞ!」
「いまは心の友じゃないのかよっ!」
紘喜から鋭いツッコミが入る。
これが今まで通り、【普通】だったんだよな。
ああ…平凡って素晴らしい…