異世界転移
知らない天井だ。
「ヒオちゃん……」
うむ?こっちは知ってる温もりだ。
「あんたね、小夜ちゃんにくっついてないで早く離れなさいよ」
「寝ている時に抱きつくなんて、鬼畜だよ日木澤」
「いや、元からこうだったから!」
「んっ……、あ、おはようヒオちゃん。いつものだよね」
そう言って、目を閉じる小夜。
いやー、二人の視線が痛いなぁ。
しかも、変態とか、ゲスとか、鬼畜とか聞こえてくるし。
「まず、目を覚ませ小夜。あと、何時もも何もお前が起きてる時間に俺が起きてることなんて少ないから。いつものなんてものは存在しない!」
この誤解を解かねばならない。
最重要事項だ。
朝の食卓にカップラーメンが置いてあるだけと同じくらいの重要事項だ。
ちなみにうちの家では、母の料理がめんどくさいという事情から、よくある話だ。
「えっと、それでここはどこだろうなー!うん、とっても悩ましいな!」
考えても全くと言っていいほど、このアホな頭からは案が出てこなかったで、最終奥義の話を晒すを使う。
これを失敗すると、俺が(精神的に)死ぬ。
「はあ、まあいいか。それでどう思う?」
「そうだね。お約束として、異世界転移かな?非現実的だけど」
「あそこにいる人に聞いてみればいいんじゃないかな?」
おおう、女子がどんどんと話を進める。
入りたいが、異世界転移とか全く知らねぇ。
隣の席の典型的なオタクの男子が、少し話してるの聞いたことあることくらいだわ。
俺ってば、小説とか嫌いだし、漫画もあんま読まないし……。
「やっぱり召喚されたみたい」
「いつの間にか、話し合い終えてるし!?」
「と言うことは、僕たちは勇者ってとこかな?」
「違うみたい。聖女って言ってた」
おいおい、聖女って完全俺のこと省いてるじゃないですかー。
はっ!?これはあれか、世界は俺のこと好きすぎて弄っちゃうみたいな!
「て言うことは、ひきオタはオマケってことね」
「あの人も驚いた。大丈夫だよヒオちゃん!私が絶対放逐とかはさせないから!」
「えっ!?オマケってそんなことされるもんなの?」
「放逐、暗殺、ダンジョンとかで殺されるまたは死ぬ、どれがいい、日木澤?」
「いや、どれも嫌なんですけど」