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私の大切な…

作者: 久川梓紗

「僕はずっと何かを求めて」の続編です。

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 昔、ペットを飼っていた。







 その子はいつも目をキラキラ輝かして私の話を一生懸命に聴いてくれていた。








 何か問いかけをすると、返事をしてくれた。









 嬉しかった。








 私は人と上手く関われなくて、小さい時から一緒にいたその子によく話した。









「今日はこんなことがあったんだよ。」








 そしたら優しい目をして頷いてくれた。









 やっぱり私はこの子がすぎだ。








 学校でいじめられてても私はこの子といる限り楽しい日々を送っていられる。

















『今日から君はハリーだ!』







 私がまだ三、四つの頃に初めてハリーと出会った。








 その時のハリーは私よりもとても小さくて、弟ができたみたいでとても嬉しかった。







 私は毎日の様にハリーを抱え、母をハラハラさせた。








 でも、一時期だけ、それができなかった。







 私が何年の時だったかな。








 私よりもハリーが大きくなっちゃて、抱えることができなかった。









 それでも私は成長期だったからハリーよりも体が大きくなって抱えることができた。








 何年間ぶりに抱えることができたハリーの身体は暖かくて懐かしかった。









 いつまでもこうしてたいと思った。
















 ___それでも死は突然に訪れてしまった。








 ハリーはピクりとも動かなくなってしまった。











 突然動かなくなったハリーが死んだとは思えなくて私はハリーを揺さぶった。









 そしたら母が「やめなさい」と怒鳴りつける様な声で私に言ったものだから私の涙が溢れてきた。











 ハリーはやっぱり何時間経っても動かなかった。












 ハリー、ハリー…。









 私は何回あの子の名前を呼んだかな。











 きっと数えきれないほどよんだと思う。










 犬をみたら、ハリー。










 何もしていなかったらハリー。











 あなたと同じ色をしたものをみたらハリー。










 あなたが飽きれてしまうほど私はあなたの名前を呼び続けていたの。








 知ってるかな。








 そうだったら…嬉しい。











 あなたが動かなくなってしまってから一週間学校を休んだけど、それからはちゃんと学校に通ったんだよ。











 いじめは相変わらずされたけど、それでも毎日学校に行ったんだよ。












 それから、私は貴方に言った夢を叶えることにしたんだよ。










 先生になりたい。









 って夢。











 ハリーが他界してから13年後。










 私は高校の先生になった。








 それから、三年後…いや二年後。









 不思議な男の子にであった。









 あるでハリー、あなたのような子だった。










 その子と出会ったのは一般公開の文化祭の日。









 私は見回りで学校の中を歩いてたらその子とばったり目があって、ハリーのことを連想させてしまった。








 でもその子は本当に…当たり前だけど男の子で、ハリーと連想できることなんか、なに一つ無かったのに…それでもハリーだと思ってしまった。









 それから月日が流れて入学式の日。










 また、あの男の子と出会った。











 始めてあった時より大人びてて身長もすごく伸びてた。










 それからその子とは何故か話があった。






 私はその子を弟のように可愛がった。








 毎日のように、それも他の生徒とは比べ物にならないくらいに話してしまった。










 でも楽しかった。











 その男の子と話すのは。











 ハリーと話してる時みたいだったの。











 私は、いつの間にかその子のことを好きになってたのかもしれない。










 …人としてとかではなくて恋愛感情として。









 それでも、やっぱり先生と生徒と言う立場では言えない。









 その時丁度、母が婚約者の話を私にした。










 それで私は知らない人と結婚することにした。









 知らない人と結婚したかったわけではない。









 それでも…それが私の家での縛り(ルール)だった。









 私の家は代々伝わる古い一家で親が決めた人と結婚するというのが風習になっていた。













 いつからそんなことになってるのかは、おばあちゃんに聞いても「わからない。」とだけ言われた。










 でもそれが夏川家のルール。











 でも、私は次女で夏川家は継げない。










 それでもそのルールは存在するらしく__。












 何処か、それを












 良い機会だと思った。











 __あの男の子を忘れるための。











 __良い機会。











 …そう自分に言い聞かせた。
















「君がもっと大人だったら……」











 婚約者との結婚式の日。








 私は漏らしてはいけない一言をつぶやいてしまった。










 それから口を塞いでも遅くて、彼は驚いた顔をしてから私を抱きしめた。










 もし、この子が私のことを好きだったのなら。










 と、自意識過剰の考えが私の脳内にくる。









 このまま時間が止まれば良いのに。










 彼の服を掴むてに力がこもってしまう。












「ハリーは元気だよ。」












 彼はポツリと呟いた。












 え?














 彼の顔を見上げるととても辛そうな顔をしていた。










 でもそんな顔を一瞬で、「おめでとう」それだけを言って彼は私の元を去って行った。











雅丘(みやびおか)くん!!」











 離れた彼の背中に名前を呼んだけれど、その声は届いてなかったのか彼は何の返答もしなかった。















 ____もし、彼も私のことがすぎだったのなら。












 思い上がりも良いとこだけど、その考えは簡単には消えてくれない。













「雅丘くん。好きだよ。大好き。」











 誰に言ったでもないその告白に、私の中にいるハリーが優しく、それでいて元気な返事をしてくれた。











 __忘れなければいけない。












 ___もし、私が貴方のことを探し回っていたら無視してほしい。











 ___脳内の中で追いかけていたら、ハリー。止めて。











 __あと二年間。私は彼と関わらなくてはいけないから。











 __私の大切な人は私のそばにはいない。












 それでも私の心の何処かで貴方たちを愛しています。















 ___幸せに。












 ____私のような未来は送らないで。














 …雅丘くん。














 __ハリー。どうか雅丘くんを見守っててください。










 それが先生として以外に私ができる唯一の___。





















“_____”



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