第5話:女神サラと勇者ではないカグラ
「はあぁ?」
カグラが目を開けると・・・神界にいた。
ちょっと待ってこれどーゆこと!?
周りを見渡すが女神と俺以外誰もいない。
えっ?俺だけ転生の資格が無いとかそう言うやつなの?
ここまで来てそれは無いんじゃないですかね!!
上げて落とすってこの事なの?
もうなんだよ!「決まりだな」
とか格好つけたのが台無しじゃん!
カグラが一人でパニくっていると背中辺りに強い衝撃を感じる。
背中に視線を向けると驚くべき光景をカグラの漆黒の瞳がとらえた。
そこには、後ろからカグラのお腹辺りに両方の腕を回し引きちぎれんばかりの力で抱き締める女神の姿があった。
は?何この状況、女神までもが俺の魅力に惚れたと言うのか!!
そしてそのまま1分が経過した。
ふっ、そんなに俺に惚れたのか仕方ないなこのままにしておいてやるか。
そして5分が経過した。
ん?ちょっと長くない?これ長くない?
そして10分が経過した。
ちょ、えっ?何、なんでこんなに抱きついてんの?何なのこの状況、助けて誰か助けて!!
「カグラさぁん」
不意に猫が甘える時のような声が聞こえる。
えっ?今の女神だよな!?さっきと全然違うじゃん!
「えっと、女神だよな?」
「サラ」
「えっ?サラ?」
「私の名前です」
先程の聖母のような雰囲気とは真逆で、年相応な少女のように、潤んだ瞳で此方を見上げてくる。
くっ、背が俺より低いぶん上目遣いの破壊力が半端ない。
「わ、わかったサラその、どうしたんだ?」
サラはカグラを放しふぅと息をついた。
「ふぅ、12年ぶりのカグラさんは成分チャージ完了です。」
気になる発言をカグラは聞き逃さなかった。
ん?12年ぶり?俺はこの女神に会ったことがあるのか?
記憶に無いが?
「なぁサラ・・・・・」
俺の言葉を遮るようにサラが少し大きな声で喋る。
「カグラさんでは本題に入りましょう。!!」
「本題?それよりさっき何で抱きつい「本題に入りましょう!」
・・・あぁぁわかった」
是が非でも本題とやらに入りたいようだ。
「ま、カグラさんがが今知りたがっていることも話ますが。
それと安心してください、カグラさんに転生の資格はバッチリあります!が。」
転生の資格があることに安堵しつつ最後のがきになり再度問う。
「が?」
「その、他の7人とは少し違う形での転生となります。」
「違う形?何が違うんだ?」
「先程も申し上げた通り人間の聖女が他七人を召喚しました。つまりカグラさんは聖女に召喚されていません。」
「は?じゃあ誰が俺の事召喚したんだ?」
「カグラさんを召喚したのは私です。」
「女神が俺を召喚したのか?まぁそれは分かったが違う所はそれだけか?そんなに問題があるようには思えんが?」
「違う所と言うとそれだけです。ですが致命的とは言いませんがそこそこ大きな問題2つがあります。」
「その問題はなんだ?」
「簡単に申し上げたますとカグラさんは勇者ではありません。」
「勇者?」
「はい、人間である聖女に召喚されたため他七人は勇者で一般的な人間の数倍近く強い力を持っています。」
「つまり俺は聖女に召喚されていないから勇者ではなく力も一般的な人間と同等と言うことか?」
「勇者では無いですか逆です。」
「逆?」
「はい、他七人は聖女が召喚しました。ではカグラさんを召喚したのは誰と言ったか覚えてますか?」
「サラだったか?」
「正解です、聖女が人間を召喚しますとその聖女の魔力量で勇者の力が左右します。」
「ちょっと待って、人間である聖女が召喚した勇者でも人間の数倍近く強い力を持ってるんだよな、それってつまり?」
「はい、人間と女神。魔力量だと天と地程の差があります。」
「じゃあ俺は女神に召喚されたから他七人よりめちゃくちゃ強いって事か?」
「そうなりますね。」
だがこの問題はたいして問題にならないと思う。RPGやファンタジーに憧れる男の子としたら自分が強いと言うのは寧ろ喜ぶべき事では無いだろうか?
「カグラさんはこの問題を楽観的に考えすぎです!このアストレイラルと言う世界はいわば強さで全てが決まります。つまり!
カグラさんの強さを知ったらいろんな組織や集団があの手この手を使ってカグラさんを捕まえに来る、と言うことですよ?」
「まぁそのときは、俺の力とやらで撃退すればいいんじゃないか?」
「それが楽観的に見すぎなんです!」
とプンプン怒っているもはや普通の女の子にしか見えない。
「まぁ何とかなんだろ、それで?」
「それで?とは?」
「何でサラは12年ぶりとか何とか言ってたんだ?」
「その事ですかではお話しましょう。私とカグラさんの少女漫画のような運命的な出会い方を!」
神界に来たときとは全く違う、別人みたいな、それともこれが素か?
そんなことを考えていると女神が淡々と語り出した。
誤字脱字等があれば・・・以下省略