出逢いの王
「えっ?」
突然消えた運び屋に驚きを隠せない魔王。
と、後ろから魔王の肩が叩かれた。
「びっくりしたー?それ身代わりなんだよwあたしが本体!」
現れた金髪の少女ははにかんだ。
「身代わりの魔法?聞いたことないな…」
そう、身代わりの「魔法」というものは魔王の知る限り存在していなかった。
それともどこかの種族が編み出していたのか?
魔王が悩んでいると少女は魔王の心のうちを見透かしたように言った。
「忍術だよ!忍者は隠匿にすぐれてるからね」
と、そこで魔王は思い出す。
人間の中でも極めて戦闘力の高い、「忍者」と呼ばれる者のことを。
魔王はこの特殊な人間の事をもっと知りたいと思った。
「その…俺はレイン。魔王だ…。」
自己紹介をしてみたが、すぐに後悔した。
魔王が生きているということは、国民を捨てたということを意味するからだ。
だが、少女の反応は違った。
「えぇ!?魔王様!?すごい!すごいよ!お師匠様が世界で一番強い生き物って言ってたあの魔王!?」
「う、うむ…」
少女の反応に戸惑いながらも、相槌をうつ魔王。
「あ、あたしは紅!よろしくね!」
お互い自己紹介を済ませたところで、魔王は聞いてみる。
「その…金とか…持ってる?」
紅は不思議そうに首をかしげた
「お金?あるっちゃあるけど…これは神様に届けに行くやつだよ?」
魔王に動揺が走る。
「神…っ!?」
紅が訳がわからないというような顔で聞いてくる。
「で、レインはなにしてんの?」
魔王は…紅の問いに「今」の自分の目的を答える。
「神を…天使《アンギラス》を殺す…。そして、神の軍の進行を止める。」
魔王は正直紅が気味悪がるかと思った。
だが、またも紅の反応は違った。
「進軍を?止めるの!?協力させて!仲間にして!あたしの国もいつ神に襲われるかわからないから…そういうことならお金もあげる!」
快く承諾してくれた紅。
そして、魔王の仲間が一人増えたのだった。
よければコメントお願いします。