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貧困の王
世間では、魔王は死んだ事になっていた。
魔王軍と共に天使を迎え撃ち、儚く散った、という表記がされていた。
そんな魔王は今、情報収集に全力を注いでいた。
どこにいるかというと…地精の国、スウィンの図書館だった。
天使の情報をかき集め、弱点を探し、憎き敵を倒す為、三日三晩勉強し続けた。
ところで…魔王は今、一銭も持っていない。
魔物の国…バルファが所有していた金銀財宝は全て天使に持ち去られてしまったのだ。
つまり、魔王は衣食住全てに不自由していたのである。
「どうすっかな…どうしようもないよな…」
呟く魔王は、視界の端に「運び屋」を見つけた。
運び屋とは、その名の通り色々なものを持ち運ぶ仕事である。
手紙や重要書類なども運ぶが、多くの場合ら金品である。
つまり運び屋とは「歩く金」なのだ。
「見つけた…!」
獰猛な笑みを浮かべ運び屋に駆け寄っていく魔王。
だが魔王が運び屋に触れようとした刹那………運び屋が消えた。
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