弱国の王
少しこの世界の話をしよう。
この世界には多種多様な生き物が棲んでいるが…その中でも圧倒的力を持つのは「神」と呼ばれる存在達である。
現在、「神」は「天使」を下僕とし、世界征服に乗り出しているところである。
つまり、この世界に棲む生物すべてを隷属させ、世界の頂点に立とうとしているのだ。
この世界には「神」「天使」「魔物」「龍」「人間」「樹精」「海精」「炎精」「雷精」「土精」
以上の十種族が存在している。
神は既に天使を隷属させ、残る8種族を滅ぼそうとしているのだ。
それでは、魔王の属する種族……魔物について話すことにしよう。
魔物の国「バルファ」は魔王に全ての力が集中している。
全国民は魔王軍に反乱を起こさぬよう、生まれた時に全ての魔力を魔王に献上する。
この国では魔王以外の魔族は最早「魔族」ではないのだ。
魔力を無くし、無力となった魔物は「人間」と同等の扱いを受ける。
この制度で魔王にすべての力が集中するのは良い、だが、「国としての力」がバルファには欠如していた。
戦争をするにしても、戦える魔物は魔王のみ。
つまり、現段階で魔物は人間の次に弱い種族なのだ。
「神」は世界征服に乗り出し、「魔物の国」はあまりに弱小
ならばもう何が起こるかはお分かりであろう。
そして…ここ魔王城では、魔王とその側近が何ら変わらぬ毎日を過ごしており、その日常は今日…無残にも打ち砕かれるのであった。