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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
第二章『それぞれの命』
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デットスネーク

バトルに向けて~の

巨大ムカデ「デットスネーク」討伐の為、森に進軍を開始して約一時間、俺達は小型の昆虫型モンスターとある程度戦闘しただけで、ターゲットは発見できていない。ひゃっはー!害虫駆除だぜ!


いつの間にか上がったばかりで傾いていた太陽も、空の真ん中に立ち始め本格的に気温も湿気も高くなってきた。

あちー、革鎧のせいで体に熱が(こも)るしなぁ・・・

それだけじゃない、無駄に湿気のあるジメジメした森の中を歩いていて、肉体的にも精神的にも疲れてきた


ただ歩いているとは言え、足場の悪い腐葉土の地面や岩場の道を一時間も歩いていればそりゃ疲れる。

こちとら登山部やマラソン部出身じゃねえんだぞ?家から学校まで電車を使って行き来する帰宅部だぞこら!!と誰かに文句言いたい。


ある程度ステータスによって強化されているとは言え、流石に足にも乳酸が貯まりに貯まって疲労に、活動にも支障が出始めてきた。

それに戦闘スキルや狩りスキルの補正があるとはいえ、結局体力は元の世界がベースだからなぁ、技術が身に付いただけで身体能力自体はパワーアップされてないみたいだし。帰宅部どうすりゃいいんだよ

 

ごく普通の現代人だったんだぞ俺は。

自慢じゃないけど運動音痴なのもあって体力には全く自信ないね!ははっ!物語みたいにサクサク進むわけねぇだろザマァ!!HAHAHAHA!!

はぁ、そう思うと虚しくなってくるな。


てかそろそろ休憩をしたい〜〜が本音である。

革鎧や銅で出来た剣も装備しているしさ、持ってかれるスタミナがえげつねぇのよ

前測ったら総量30キロ。これがかなり重い。

男だから最初の内は楽なんだけど、知らず知らずの内に体に負担がかかっているのは明白だった。

証拠?俺だよ。


登山とかしてる人なら耐えられるかな?いや、整備すらされてないこの獣道じゃ、並大抵の登山者でもキツそうだ。

せめてエベレスト到達者じゃないとな!ごめんサバ読み過ぎた。


「相羽君、そろそろ休憩しない?」

俺は先頭を歩いている相羽君に許可を求めた。頭の中でふざけて疲労から意識を逸らそうとしてもやっぱ疲れるもんは疲れる、この自然現象には(あらが)えんよ


すると相羽君はこちらを振り返り、頬を汗で濡らしながら黙って頷いた。

お互いの許可が降りたところで、俺達は依頼(クエスト)を開始してから始めて後腰を下ろした。

やっぱり相羽君も疲れていたらしい。

主人公補正で体力の消耗も防いでたら殴ってたところだぜ。

まぁそれが冗談でも、単純に体力が有り余ってる状態で「まだ行けます」とか言ったら何者だよとか言いたくなるところだった。寧ろ相羽君がラスボスじゃね?それはないか。


相羽君は平たい石をいす代わりにして、キョロキョロあたりを見回しながら警戒している、もしくは依頼対象(ターゲット)を探してる。休憩時間もそれか、ご苦労なこってぇ。


それにしても一時間近く探し回っているのになんの成果もなしか

形状は、大きいムカデらしいから足跡に近い地面を這った後くらいは見つけておきたいな、でも気持ち悪いだろうなぁ


「全然見つからない」


何だか嫌々になって愚痴をこぼしてしまった。

水や携帯食料の干し肉を口にして精神を落ち着かせる。

俺の呟きは、独り言のつもりだったんだが、そこに相羽君が反応した。


「そうですね、ゲームみたいにフィールドとかありませんから、そりゃバカデカい森の中で一匹のモンスターを探すなんて至難の技ですよ。」


そう答えられて、俺は某狩りゲーを思い出す。

確かに現実ならそんな簡単には見つからないか。

千里眼とかスキルでないかなぁ・・・

無いものねだってもショウガナイけどさ


相羽君は水筒を飲み干すと考えるように手を額に置いた。


「せめて池や川が見つかれば良いんですけど」

「あれ?水なくなったの?俺はまだあるから分けようか?」


俺が水筒を持って差し出すと、相羽君は苦笑いをしながら否定の意味を込めて手を振った。


「違いますよ、池や川といった水が貯まる場所は動物にとって唯一水分を補給出来る場所じゃないですか。

そこに張り込みすれば自ら水を飲みにくるか、または飲みに来る動物を襲う肉食獣が来たりするので、デットスネークも発見できるかも知れません。」


相羽君はそう言うと、近い戦闘に備えるために、少し刃こぼれした双剣を砥石で磨き始めた。


相羽君の言うとおり、こんな森に水道がある訳ないし、水源か、川などのがありそうな気配が全くしない。逆にいえば、数少ない水源を発見さえすれば、デットスネークの遭遇率も格段と上がるってことか


相羽君の言う通り、その考え方なら水場を探せばデットスネークと遭遇出来るかもしれな。


絶対来るとか100%とは限らないけど、相手の生態がわからない以上一般的な動物の生態を元にして作戦を考えるしかない。

いちようモンスターと言っても一種の動物であり、生命体であるのだから、動物の生態系を利用すれば、ある程度通用するハズだ。


そう考えると俺は、ある事を思い出してカバンからあるもの(・・・・)を取り出す

そこから取り出したのは瓶、しかし中身は体に良さそうな苦々しい緑色の回復薬ではない。

それは猛毒(デットリィポイズン)、若干黄色がかっている無色透明の液体が入った瓶をゆらゆらと揺らす。


これで水場に罠でも作って掛かったところで一網打尽も良いかもしれない。

この毒がどんな効果を出すのか全く予想できないけどね。でも名前からしてすごそうじゃない?


「相羽君、水場を発見したらこれで罠作ってみる?」


俺は猛毒(デットリィポイズン)を片手に持って相羽君の方へ見せる。

戦闘経験者である相羽君に見せれば、何か思いつくかも知れない

相羽君は猛毒(デットリィポイズン)を見ると、しばらく考える素振りを見せる。


「そうですね。なら僕も、丁度良い物がありますよ。」


そう言って相羽君は思いついたのか、カバンから丈夫そうなネットを取り出した。

猛毒(デットリィポイズン)と同じく無色透明なネットは、背景の色と同化して蜘蛛の巣のような形だった。

どこからどう見ても罠用だろうと断言できるなこれ


「相羽君まさかそれで・・・」

「いやいや、灰原さんも猛毒(デットリィポイズン)とか、容赦ないですからね?」

「そんな凄いの?これ?」







「おっ水場発見」

「本当ですか!?あ、よかった」


俺の背丈ほどの長さの雑草が視界と歩行を妨害してるのでそれをかき分けながら進むと目指していたものが目に映った。

俺たちはついに目的地にたどり着くことができたのだ・・・が


森の中に存在していた泉はまるでサバンナの沼地のような場所。

池の中では水牛っぽい動物が身体を涼めているし、猪みたいな獣も水場の水を飲んでいるのが見える

テレビの教育番組でみるような光景に俺たちは見惚れてしまった。


そこまでは良かったんだけど・・・

そこ周辺は地面が乾燥していて少し背の高い草が生えてるだけで木も乾燥し切ったように細い。

空を隠すほど巨大な樹木もないので、そこには日陰もなくサンサンと太陽の光が降り注いでいた。


はっきり言いましょう。サバンナのオアシスかよここは・・

いや異世界だからいいの?

異世界だからいいのかなこの場合!?

どこにツッコミしたら良いのか、それとも絶句すりゃいいのか反応に困るな・・・

唖然として黙るのも選択肢の内かな


「樹海みたいな森の中でこんな水場ってある?ここ熱帯雨林のジャングルっぽかったのにいきなり乾燥地帯出てきたよどうする相羽君」

「どうるすもこうするも・・・困りましたね。ここら一帯は何故か数が少ない上に細い木しかないですし、これじゃ木と木の間にネットで引っ掛ける拘束罠が出来ませんね」


俺が言いたかったのは広大なジャングルの中ポツンと一箇所だけ環境が違うのが驚きって事なんですけど・・・?


「兎に角待機はしておきましょう。ここがこの森の動物にとって水分補給所であることは間違いないんですから」


相羽君はそう言った後、自衛隊の隊員のようにしゃがみ込むとそのまま匍匐前進(ほふくぜんしん)するかのような体勢になった。

なにこれ?


「しゃがんでください灰原さん。下手に動いて敵に見つかったら面倒ですし」


相羽君はなるべく動かないでいられるようにこうしたようだ。

気配も隠すためかな?確かにこの背の高い雑草が密集した場所ならこの体勢で隠れられるもんね。

大人しく俺もしゃがみこんだ

軍隊みたいテンションあがるわー


とは言ってもこの体勢のまま動かずにいるのも暇なので、俺はステータスを見ることにした



名前

《リョウ・カイハラ》


力・110+50「銅の剣」

耐・121+60「革の鎧」

賢・50

速・35


冒険者レベル1

スキル

「ヤタガラスの加護」

「生活必需シリーズ」

「覚醒スキル」

「フラグ」


いつの間にか攻撃力が10上がってちょっと耐久性とスタミナが少し上昇してたか。

ここに来るまでに雑魚敵何体か狩ったし馬車に乗車した時も少し戦ったからな。筋力が少しづつ付いてきたのかな?よし、帰宅部最強を目指そう。

賢さはあれは・・・勉強なんて俺できねぇし。

でも実は賢さって頭の良さじゃなくて理性の強さを表すらしい。

ともあれ、自分の成長が目に見えてわかるってのは嬉しいかも。

スキルも増えて・・・なんじゃこれ!?フラグってなんだよ怖いんだけど!

俺の知らない内に裏で何か行われてるのか?

何それ怖い。


そういや相羽君はどうなのかな

俺はおもむろにステータスデータを覗いた



名前

《タイガ・アイバ》


力・150+60「鋼の双剣」

耐・100+20「薄革鎧」

賢・110

速・100


冒険者レベル3

スキル

「ヤタガラスの加護」

「生活必需シリーズ」

「覚醒スキル・狂戦士(バーサーカー)

「罠師」


ごめんなさい筋肉がついたなんて言いません。調子乗ってました

つか、相羽君全ステータスが上昇してんじゃん。

そういや筋トレやってるの見たな。俺もこの機会に始めてみるかな

スキルで罠師もついてるわ。そういや馬車の中でなんか作ってましたわ、あれ罠だったのかよ

罠のつくり方を覚えてさらに筋力もアップか。主人公かよコイツ・・・・

ま、味方だから心強いケドさ・・

そういや、歳いくつなんだろ


「相羽君?」

「(なんです?できれば小声でお願いします)」


おっと失敬失敬。隠れてる途中だもんね


「(年って・・・いくつ?)」

「(?15ですけど・・・)」


若っけーなおい!!

いや俺より一つ下なだけだけど

若ければ若いほど将来有望そうだしさぁ


「(灰原さんはいくつなんですか?)」

「(・・・16。)」

「(変わんないじゃないですか!!)」


そうだけど・・・後輩が強すぎるとなんかモヤモヤする

今からでも歳を下にしよっかな?


「(僕は中学三年でしたけど、灰原さんは・・・やっぱり高校生ですか?)」

「(そう・・・だな。ぼっちだったワケじゃないし、人気者ってワケでもなかったなぁ)」


一部の生徒から嫌われていたのは絶対に言うつもりはない。

しかも理不尽な理由で


「(友達はどうでした?どれくらいいました?)」

「(う〜ん・・・クラスで男と群がってたな。クラスの男子生徒とは大半は友達だったよ)」


男っつーか、(おとこ)ってのが多かったかな?暑苦しい


「(僕は・・・女子友達は多かったんですけど、男友達は少なかったんですよね)」


おっとこれは・・・


「(僕が近づいても離れて行くし、遠くからは睨んでくるし・・・僕嫌われるようなことはしてないんですけど)」


いや、君は一つ重罪を犯している。ハーレムだ。


「(こんのリア充め・・・)」

「(り、リア充なんかじゃありませんよ!いつも教室で女子にお菓子食べさせられるだけで遊んでくれないし・・・僕だって外で皆と遊びたかったんです・・・)」


相羽君は唇を尖らせてすねてしまった。

なるほど。聞けば聞くほど主人公体質だ。実にけしからん。ラノベかよ


「(それが一般男子からはうらやましいわけよ・・・)」

「(そうなんですか?)」

「(そーだよ。俺なんて女子と友人なんて・・・へっ)」


俺は特定の人物の名前を思い出してしまった。

流れるような黒い髪の毛、子供のような純粋な笑顔を俺に向けながら・・・すげえ悪戯を考えるあの人


「(心当たりがあるんですか?どんな人なんですか?)


相羽君が反応した。あるにはあるけど・・・


「(うんにゃ・・・ありえん。ナイワー)」

「(何一人で納得してるんですか僕にも教えてくださいよ)」

「(先輩だよ。なんか妙に絡んでくる先輩がいたのよ)」

「(どんな人だったんですか?)」


どんな人って言われてもな。例えるなら・・・


「(姉?)」

「(姉ですか?)」

「(そーだよ。しかも暴走列車級の姉って人だったな。休み時間になると突撃してくるし、なんかあったら保護者ヅラするし、俺が怪我をすれば泣き出すし猫みたいにコロコロ甘えてくるしさ。挙句の果てには俺を弟扱いするんだぜ?マジナイワー同級生とやれよ)」


そういえばあの後先輩どうしたのかな?

多分泣いてるだろうなぁ・・・あの人。


「(・・・仲が良かったんですね)」

「(良かったのかな・・・あれは)」


ケッコーイタズラされたぞ、それもかなりの頻度で

下駄箱にラブレター的なものを仕込まれた時は焦った焦った。


「(フフフ・・・)」


相羽君は苦々しい顔をしてる俺を見ると何やら笑ってきた。


「(何笑ってるの?)」

「(いえ、灰原さんこそ、リア充じゃないかって・・・)」

「(いや、それはどういう・・・)」


刹那。

肉を貫く鋭利な音と爆発音のような音があたりに響き渡った。

何事か!?俺は隠れる為の雑草をかき分けてオアシスを見渡す。

草食動物はおろか、肉食動物ですらパニックを引き起こし、周辺を逃げ惑っていた。


ただ静かにそこに佇んでいたのは・・・巨大。

10メートルを越す蛇のような生物がコブラの威嚇のように顔から体の半分を持ち上げている奴がそこにいた

顔には既に絶命している猪が、槍のようなものに貫通させれてピクピクと痙攣している。

鉄板でできた装甲のような甲殻を屋根瓦のように背中に満遍(まんべん)なく並び貼り付け、頭は甲冑の兜を、蛇の顔に変化させたような形状をしている

そして左右横からクワガタの顎のようなものが生えている、あれを猪に突き刺したのだろう。

口はナイフのような犬歯状の前歯が、まるで出っ歯のように飛び出していた。



名前

《デットスネーク》


力・860

耐・1200

賢・100

速・1500


ランク4

スキル

「突然変異(常時発動)」

「強酸性毒」




なんだコイツ。

ステータス異常すぎだろ、どう考えたって勝てない。

しかもランク4だってさ、ハハッ相羽君より上だよ・・・

あの猪だってランク2で俺より上だぜ?今瞬殺されて泡吹きながら捕食されてるし

色々オカシイんじゃないの!?


「相羽君、どういうことかな?デットスネークってランク2だよね?4て2倍じゃん。5メートルどころか15メートルの長さはあるよ?」


俺が引き攣った笑いを浮かべながら相羽君を見ると青い顔を浮かべて黙って見ていた

どうやら相羽君にとっても予想異常だったらしい

知ってたらぶん殴ってたよ


「ありえないですよ・・・体もランクも含めて全てが倍以上です・・・体格だってあんなに細くなくて、ダンゴロムシとムカデをかけあわせた感じなのに・・・まるで蛇だ」


この時の俺は知らなかったが、デットスネークの「スネーク」は蛇みたいな体という意味ではなく蛇のよな毒を持つという意味だったのだ。

だが、目の前にいるバケモノはムカデではなく、蛇のような体を誇っていた。


「どうします相羽隊長、逃げます?」


俺は反応の無い相羽くんに判断を委ねた。

相羽君はしばらくデットスネークを睨むと苦い顔をしてこう言った。


「戦いましょう」



相羽君はハーレムのリア充です(本人自覚無し)

オイラは獣と爬虫類のハーレム作りたいですね。

え?性的に見てるのはオイラだけ?

あっはい。

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