表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
第4章『武器入手』
41/47

武具を手に入れよう5

高熱で投稿できませんでした。どうぞ

「・・・これ、どうなってんの」


ペラペラと布のように薄くなった山羊の角を見て俺は言う。背中に背負っているフレキちゃんも驚いたように「ほえぇ〜」と簡単な感想を漏らしていた。

先ほどとまでの硬い角とははまるで変わって、材質をも変化したように見えてしまう。

マジで一体どうなってんのこれ?

すると俺の表情で察したのか、店長が説明してくれた。


「スライムは獲物を溶かして食事をするわけなんだが、見ての通り『食べカス』を残すんだ。それがこれだ。」


店長はそう言ってペラペラと薄くなった角を左右に揺らしてみせた。

図鑑で読んだだけだがスライムは単細胞生物でその細胞の周りを薄い透明な膜で覆ってる。

実はこれは強酸性の消化液で、体をコーティングしている。これを「※プラズマレンマ」と言うらしい。


(※主に実際のアメーバが仮足などに持っている透明な層。作品内のスライムのような強酸性などは無い。)


要はスライムに有機物質を与えると溶かした栄養分をプラズマレンマ越しから吸収して、その残りが皮となって排出されるということだろうか。原理がどうなっているか知らないが、スライムがそういう性質を持っているのだろうと納得しておく。

細かい説明は抜きで頼む、ワシは勉強が嫌いじゃ。


「それじゃぁ、灰原さんとフレキちゃんのローブはデットスネークの甲殻を溶かして作ったものなんですか?」


相羽君の問いに店長が答える。


「あぁ。アイバの鱗鎧(スケイルメイル)とは違って、こっちは鱗帷子(スケイルホバーク)って種類になる。」


ホバークということは、俺が革鎧の下に着込んでる楔帷子(くさびかたびら)に近いものなのだろう。楔帷子は英語で確かホバークと言ってた筈だ。

なるほど、鉄の代わりに甲殻を使ってるから「鱗甲殻(スケイル)」なのか。


「これはスライム防具製法と言ってな、耐久力をほぼ残した状態で布を作るきちんと確立されてる製法だ。これで作ったマントやローブはそんじょそこらの刃物で破れやしねぇ。デットスネークで作ったコイツは尚更だ!上位呪文喰らっても殴られたぐらいのダメージしかねぇ。」


最後に「だが布の分、多少の打撃耐性は落ちるけどな」と不満そうに言い付けてから締めくくった店長だがそれは仕方のない事だろう。

なんせ殻から布にまで薄くなるのだ。

例えばナイフで刺したとしても、鱗鎧(スケイルメイル)なら弾き返せるだろうが、この鱗帷子(スケイルホバーク)の場合怪我はしないが打撃に近いダメージは受ける羽目になる。

刺突されれば、皮は破れなくても肉にめり込んでくるだろうな。

だがその分破れたり壊れにくいし、尚且つ軽いから細かい動作もできるだろう。

しかも俺(というより人間(ヒューマン))には死んでも蘇る《ヤタガラスの加護》があるのだ。

防御力も耐久力も素早さも確保できる・・・軽剣士や魔法使いには丁度いい装備になるハズだ。・・・某RPGの経験値モンスターを思い浮かべたが即抹消した。

ちなみに店長の言う「上位呪文」ってのは、この前ギルドの依頼でフレキちゃんがブチかました《炎の弾(ファイアーバレット)》のような中規模呪文だ。

いや、あれはバレットというよりバズーカだったな。ファイアーキャノンでも良いかもしれない。どうでもいいか。

まぁそれは置いといて、あれを喰らっても生き残れるなら十分だろう。

あれ以上求めるのは戦車に耐えられるマントを作ってこいと言ってるようなもんだ。んな装備ギルドにも置いてるワケがない。

ギルドといえばギルドマスターのフェンスさんの部屋に竜の甲殻製のソファーがあったな。柔らかい割に頑丈だったし、あれもこの鱗帷子スケイルホバークと同じかもしれない。用途は様々だが、贅沢である。


とりあえずこの鱗帷子(スケイルホバーク)が優秀なのは理解できた。

しかし、俺には一つ疑問が残ってたので、それを口にした。


「フレキちゃんはともかく、なんで俺までこれなの?」


俺は人差し指で自分を差して尋ねる。

俺は軽剣士と言ったが、別に相羽君の様な軽鱗鎧(ライトスケイルメイル)で戦えないわけではない。

だが店長はそれにカラッと簡単に答えた。


「そりゃお前、んなモヤシみたいな体で鎧着れるわけねぇだろが。サイズが合わねぇんだよ少しは鍛えろ。」


おっしゃる通りにございます。着る以前の問題ですた。


「全くよぉ、スライムでの防具製法を知らないってだけで髭抜かれる俺の身にもなってくれよ。」


「返す言葉もございません。」


流石に悪いと思ったので素直に謝罪しておく。

だけど最初からスライム防具製法のことを言ってくれずに巫山戯て茶化した店長も悪いと思うんだ俺。


「ほわぁ〜・・・」


突然足元から緩い鳴き声が聞こえてきたので視線を落とすと、紫色の髪と白い狼耳の後頭部が目に映った。

フレキちゃんである。いつの間にか俺の背中から降りたのだろうか、気がつかなかった。まぁそれはいい。

フレキちゃんは何故かペラペラとなった山羊の角の近くまで寄って見上げていた。目はキラキラと輝いている。

好奇心が刺激されたのだろう。気になって気になって仕方がないと言いたげに尻尾をブンブンと振らせている。餌付けされてるワンコのようだ。

だがフレキちゃん。それは家畜の角・・・要はゴミだぞ?今君が着てるデットスネークの鱗帷子(スケイルホバーク)の方が余程高価だぞ?

なんで子供は珍しい物を見つけるとゴミでも欲しがるのだろうか。納得はする、かつてそんな時代が俺にもありました。


「お、嬢ちゃんこれが気になるか?」


マジックハンドで角を持っていた店長がフレキちゃんの視線に気づいたのか、フレキちゃんの聞き始めた。フレキちゃんはそれにコクコクと頷く。


「欲しいか?」


おいやめろオッサン。


「ほ、欲しいです!」


店長はフレキちゃんの目の前で左右に角を振らせる。フレキちゃんはそれを目で追いながら激しく頷いた。

だからやめろよオッサン、絶対ゴミをフレキちゃんで処分するためだろ。だめだよそんな純粋な子供にゴミを渡しちゃぁ。


「そうかそうか、ならやろう。大事にするんだぜ?」


「本当ですか!?やったぁ!」


満面の汚い笑みを浮かべて角を渡す店長に、ピュアなフレキちゃんは喜々として尻尾を振りながらそれを受け取る。

その姿はさながら、詐欺師に騙される被害者と連想されていた。

フレキちゃんの中では店長の好感度はグーンと上がって、まさに鰻登(なぎのぼ)りの勢いだろう。だが、違うんだ君は騙されてる・・・単にゴミを処分しただけだぞあのオッサン。見ろあの悪そうな山賊面とバイキングみたいな髭を。「計算通り」といった風に笑っていやがる。

大人の汚い一面を見たような気分であった。


「見てくださいカイハラさんっ!店長さんから貰ったんですよっ!」


こちらを見上げてくるのは瞳を宝石のように輝かせるフレキちゃん。心底嬉しそうにペラペラの角を見せてくる。

その姿はまさに文字通り玩具をもらった子供で・・・


「あ、あー。ヨカッタネ。」


思わず棒読みで返してしまった。こ、こんな純粋な子供を騙すなんて・・・この店長、恐ろしい子っ!!


「ちなみにフレキちゃんとカイハラさんの装備のデザインが一緒なのに理由はなにか理由があるんですか?」


可哀想なフレキちゃんの頭をナデナデしていると相羽君が店長に向かってそんな事言っていた。

確かによく見るとフレキちゃんの装備はトンガリ帽子以外は全く違いがない。色も俺が赤黒いだけでフレキちゃんは黒いだけの大した差もない。

・・・俺剣士なのになんで?

そんな疑問はすぐに店長が答えてくれた。


「そりゃお前、ペアルックに決まってんだろっ!」


このオッサンぶん殴っていいかな?


「・・・ぺ、ペアルック・・・」


下手すれば聞き流してしまいそうになるほどの小さな声が足元から聞こえてきた。

見ると紅潮して緩みそうな頬を両手で包み、尻尾を振っているフレキちゃんがそこにいた。そんなに

嬉しかったのか?


「おーいフレキちゃーん、何喜んじゃってんの。」


俺は膝を折って、俺の腰くらいまでしかないフレキちゃんの視線に合わせる。そしてぼーっとするフレキちゃんの肩を揺するも反応はない。

この距離だと必然的に顔との至近距離が少し近くなるが仕方ない、俺は両手でフレキちゃんの頭を掴んで(正確にはトンガリ帽子のケモ耳部分)、そこをグラグラと頭ごと揺らす。が、これにも反応は無し。

ダメだ完全に意識がトリップしてやがる。


「・・・店長さん気づいてたんですか?フレキちゃんの事」


「・・・まぁあんなに露骨な反応してればわかるだろが」


少年とオッサンが小声で話し合ってるがシラネ。

しかしその間にフレキちゃんが正気に戻ったのか、それとも続けて頭を揺すり続けたお陰か、急にハッとした様子でいつものフレキちゃんに戻った。

やぁお帰りなさい。無意識トリップはどんな気持ちだったかい?


「・・・」


「・・・どしたの?」


しかしフレキちゃんはまるで石像のようにその真顔となった顔を動かさない。振られていた尻尾も同様であり、まるでフレキちゃんだけが時間が止まったように動かなくなってしまった。

まぁ、徐々に顔が赤色が差していってるし大丈夫だろうと思い、ジーっとフレキちゃんの目を見ていると、またフレキちゃんは顔を真っ赤にしてしまった。今度は嬉しさというより・・・羞恥心っぽい感じだけど。

なんでだ?と理由を頭で探すとすぐに見つかった。


・・・顔が今めっさ近いですやん。


「あ、ごめんね」


頭から手を話して近づいた顔を離す。異性の顔が至近距離にあったらそらマズイよね。セクハラとかになんないかな?

もしなったら土下座しよう。あとお菓子とかも全力で投資しよう。俺の最高戦力で出陣するしかない。


「・・・いえ、ごちそうさまでした。」


「何が?」


視界の先で俺が見たのは満足気な笑顔を見せるフレキちゃんだったのであった。



★✩★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


キャラクターステータス《回覧したのみ》。


名前

《リョウ・カイハラ》


力・135+50「銅の剣」

耐・158+1100「巨蟲の帷子【亜】」

賢・57

速・63


冒険者レベル1

スキル

「ヤタガラスの加護」

「生活必需シリーズ」

「覚醒スキル・龍皇の血呪(ジークフリート)

「フラグ」


《ヤタガラスの加護》

・一日一回死亡しても蘇る。

《生活必需シリーズ》

・「鍛冶スキル」「狩りスキル」「戦闘スキル」「農業スキル」「家事衣類スキル」「タフネススキル」「料理スキル」が詰まっている。

《龍皇の血呪》

・覚醒スキル。効果は不明。

《フラグ》

・軽い未来予知、主に主人公に起こる不幸な出来事。


名前

《フレキ・フィンリル(獣牙族)》


力・45

耐・33 +900「巨蟲のローブ【亜】」

賢・30

速・25

魔・3961


冒険者レベル1

スキル

「魔力探知」

「料理」

魔法女王(マジッククイン)

炎帝(イフリート)

回復神官(クレリックヒール)

「覚醒スキル」

突然変異(ニューティション)(隠蔽)」


《魔力探知》

・生物、植物、無機物から溢れる魔力を探知する事ができる。探知するだけで操作はできない。

《料理》

・料理スキル。頭の中にレシピなどを正確に記録する。経験を積めば積むほどレベルが上がる。スキルを手に入れるには料理人並の力量が必須。

《魔法女王》

・魔力操作スキルの上級。魔力操作が格段に上達し、魔法威力、効果を倍増させる。

《炎帝》

・火炎スキルの固有スキル。かつて存在した魔王イフリートのスキルであり、炎魔法を全て覚えることができる。使いこなすには莫大な練習時間を必要とする。

《回復神官》

・回復魔法の上級。低級から上級まで使うことができる。

《覚醒スキル》

・無覚醒

《突然変異》

・体が魔族化するスキル。魔力や肉体の底上げ、化物と化す。



名前

《タイガ・アイバ》


力・175+60「鋼の双剣」

耐・110+1150「巨蟲の軽鎧【亜】」

賢・130

速・240


冒険者レベル3

スキル

「ヤタガラスの加護」

「生活必需シリーズ」

「覚醒スキル・狂戦士(バーサーカー)

「罠師」


《狂戦士》

・覚醒スキル。感情を高ぶらせ、敵一体に自分の敵対心(ヘイト)を集中させることで発動。賢を半分まで下げることでその他のステータスを10倍まで底上げするスキル。

《罠師》

・狩りスキルの派生版。罠のスペシャリスト。作ったり解いたりする事に特化したスキル。


名前

《フェンス・ヴルフ(獣牙族)》


力・2360

耐・1821+12「皮の着物」

賢・533

速・3001


冒険者レベル10

スキル

「威圧」

「獣王」

「武闘師」

「覚醒スキル・炎天皇(えんていおう)

「隠蔽(隠蔽)」


《威圧》

・自分の存在感とオーラで敵を威嚇するスキル。使用者によっては、これだけで敵を吹き飛ばしたりショック死させる事も可能。

《獣王》

・獣牙族の長に与えられるスキル。潜在能力を高め、使用者の実力を上げる手助けをする軽いドーピングスキル。

《武闘師》

・武を極めた戦士のスキル。様々な技を使える用になる。自身の肉体の強化や、魔力操作などの効果を持つ。

《炎天皇》

・覚醒スキル。炎の王が持つスキル。ほぼ全ての炎魔法を使用可能。能力は未だ未知数。マグマも使える。

《隠蔽》

隠蔽。一つの物を隠したり変形させたりして、見えないようにし、認知させない。

ステータス機能あんまり活用してない気がしてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ