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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
止まらない固有空間《ノンストップ・オフライン》
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アルフ宮殿

豪華な王宮のような建物の中。俺達はなんだかとんでもなく凄そうな人にあった。

なんか・・・凄い。

何かが凄いお。

出てきたのは漫画や小説でいう"亜人"って感じだ。

体つきは人間だけど所々どこか人間とは違う特徴を持っている。

フルプレート完全装備の騎士団っぽい人達も、もしかしたら人間ではないかもしれない。

とりあえず、興味本位で観察してみることにする。


真ん中に立っている一人は身長180センチ以上の大男だ。漆黒のマントを着飾っており、中には着物を着ているアンバランスな服装だ。

腰からはこれまた黒いロングソードが装備されている。

特徴なのはその体。全身純白・・・ではなく灰色っぽい。

毛皮に覆われており、顔が・・・まんま狼なのである。獣人ってやつだろうか。


もう一人は狼男程ではないが170センチを軽く越えてる金髪の美形男子だ。

だけど耳が尖っていて、目はエメラルドのように緑色に輝いている。色素の薄い肌には狼男とは対照的に白い制服っぽい服を着ている。

武器っぽいものは見当たらないが、背中に杖みたいのを背負っている。

魔法使いなのかもしれない。


最後の一人はなんかちっちゃい。

二人と違って身長は150センチほどのチビ。

顎からは黒いモフモフした髭が生えている。

鍛冶屋のような作業着をしているが外側からでもわかる鋼鉄のような筋肉、そう・・・小さい故に筋肉の塊だ。

手にはドデカいハンマーが握られていて杖のように支えている。


で、その方々の後ろや左右にはフルプレートの数十人ものの騎士団。明らかに日本の光景ではない。

こりゃビビるわ。カラスの言ってた「異世界なのはすぐにわかる」ってのはこの事だったのか?

まぁ確かにわかったけど、これどうすりゃいいのさ?

逃げ場ないし、これを見て平然と対応できたら俺は神と呼ぶ。

すると狼男の人が両手を俺達に差し出すようにしてこう言ってきた。


「ようこそ、新たなる種族ヒューマンよ。我ら獣牙族、エルフ族、ドワーフ族はあなた達を歓迎する。」


ヒューマンってなんだ?新しい種族??

要は人間の事なのだろうが、新しい種族ってのが理解できない。もしかしてこの世界に人間はいないのだろうか?

だからあのカラスは俺達を召還した・・・?


まぁそれは置いといて、あの狼の人めちゃめちゃゴツい声じゃないの。ヤクザみてぇ。

怖いよぉママン。

案の定、誰一人狼男さんに答えようとしない。

俺か?出来るわけねぇだろ!!

なんせ全員ビクビクして動けないでいる。俺もだけど。

そのせいだろうか、狼男さんは両手を俺達に向けたまま石像のように動いていない。

もしかして、元の体勢に戻る間に合いがわからないのだろか?

なんか意外に律儀だな。


誰もが困惑によって動けない中・・・そう、彼が動いた。


「初めまして、人間の相羽という者です。出迎え感謝いたしますが、現在ここの状況をお教え願っても構いませんでしょうか?」


「「「神よ!!」」」


冷s、相羽君は狼男さんに向かって丁寧語で返事をした。

だからそれができなかった俺達は皆彼を神と呼んだ。

みんな同じ事考えてたのね・・・


「「「かっ神!?」」」


そして謎の男三人もその言葉に何故か同様していた。

フルプレートの騎士の方々もザワザワと声を上げ、何か相談しているようだ。

相羽君は「え?え!え!?」とメチャクチャ狼狽えている。


なんだなんだ?顔をしかめていると、狼男さんはゆっくりと、そして震えながら相羽君に指を指した。


「ま、まさか・・・・あ、あ、あなたが創造神様・・・ですか!?」


創造神って、あ~なんかカラスが言ってたな。

もしかして、この世界の象徴とかそんなの?

そういや、ファンタジー小説の世界って中世の時代が多いし、ここもそうなのかな?

だとしたら神様呼ばわりしたら大変な事に・・・


ごめん。



「ちょ!違いますよ!!僕はただの一般人です!」


と相羽君は全身を使って否定していた。

あ~あ~そのタイミングでそんな事言ったらぁ


「なんだと貴様!創造神様を偽ったのか!?」


「我らの国教を愚弄するかっ!!」


「天誅をぉぉぉぉぉ!!」


フルプレートの騎士の方々が騒ぎ始めた。

あ~ほらほらメンドクサい事に・・・

こういう時代の人ってなんか宗教大切にしてるんだよね。

相羽君は俺達にジト目で睨みつけていた。

その・・・ごめんね。


すると、ざわめきが大きくなってきた時、耳の尖ってる人が若々しいけど、威厳のある声でそれを制した。


「静まれぇ!!」


突如として叫び上げた大男に俺達はおろか、騎士の皆様まで黙ってしまった。

威圧って感じなのだろうか、ピリピリとした空気が一気に吹き飛ばされた。

尖り耳さんはそのまま話す。


「彼らは異世界から来た種族であるのだぞ!我々とは文化が違うのだっ!黒鳥ヤタガラス様の話によれば、彼らは勇気あるものを「神」「イケメン」などと言い、崇めたそうだ。」


うーん、あながち間違っちゃいない・・・


確かにまぁ、インターネットの掲示板で課金アイテム使ったりして自爆して俺達にメシウマを提供してくる奴らを「神ぃぃぃ!」とか「イッケメェェェン!」などと言ってたが・・・

いや、何で知ってんのあのカラス。どこでそんな情報入手した?

つか黒鳥ヤタガラス様ってなんだよ。中二かよ。

いや、ファンタジーだから良いのか?わからん。


とりあえず騎士達は「な、なるほど」と戸惑いながらそれに納得していた。

そして尖り耳さんは俺達に謝罪の言葉を口にした。


「申し訳ない、この騎士達はあなた方の世界を理解していないのです。

先程の質問ですが、ここはこの大陸の中心国家、アルフ王国のアルフ宮殿、黒鳥ヤタガラス様より、本日新たな種族の転移が行われるとの(めい)がありました。我々はその出迎え及び、住居の提供などをお話するために集まりました。」


尖り耳さんは説明も(かね)てそう言ってくれたが、マジでここ宮殿かよ。しかも中心国家ってなに?

え?もしかして今俺達物凄くビックな大物に対面してるんじゃないの!?

どうしよう、今血塗れの格好じゃん。タクシードとか持ってねぇわ。

と、余計な事を考えていると尖り耳さんが俺達に向かって自己紹介を始めてきた。


「紹介が遅れました。私の名は《アールヴ・エルフ》。エルフ族代表としてここに存在しております。」


ふあぁぁぁぁ!!尖り耳さんはやっぱりファンタジーの定番、エルフだっつぁー!!

あ、やばい少しテンションがおかしくなった。

確かに美男子(イケメン)だもんね!身長もスラッとして高いし・・・。

でも・・・正直言うと女性が見たかった。

何故かって?男のロマンだろエルフって。


「拙者の名は《フェンス・ヴルフ》。獣牙族代表だ。見苦しい姿だがすまぬ。」


そう言って次に自己紹介をしたのは、あの律儀な狼男さんだった。

見苦しいって、ゴツい声と顔も狼なのを気にしてるのだろうか。

てか一人称拙者って・・・忍者かよ。しゃべり方も昔の"和"っぽいし、この世界でもそんな文化あるの?


「最後は俺だな。ドワーフ族代表、《トーキン・ユミル》だ!剣や防具が欲しかったら俺達の町に来なると良いぜ!質のいいモンを提供してやるからよ!」


最後のちっちゃいオッサンは流れ的にやはりドワーフだった。あれだ。白雪姫に出てくる小人や。

ガッハッハッハッと笑ってる様子から気が良いのだろう。

良い人そうだが・・・暑苦しいな。非常に暑苦しい。

それにしても町って鍛冶屋だらけなのだろうか?少し興味があるな・・・

あ、いや、べっ別に中二的な武器を求めてるわけでは・・・っ




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




「と、いうわけであなた方人間(ヒューマン)には是非、我々エルフの都市リョースに滞在してもらいたく」


「おいおいそりゃねぇだろ!エルフの都市って工芸品しかねぇじゃねぇか!そんなとこよりドワーフの都市のドヴェルグはどうだいヒューマン達よぉ!強力な武器がそこらじゅうに販売されてるんぜ!」


「ふんっ!ドヴェルグなど毎日鍛冶のカンカンドンドン鳴る音で眠れやしない!」


「んだとー!!」


「「「・・・・・。」」」


あの後、アールヴさんとフェンスさんとトーキンさんから拠点にする都市を俺達(ヒューマン)から選ばせろ。と、カラスから命令があったらしく、今はその面談をしているのだが・・・

流石に50人という人数を裁ききれないので5人づつ分けてあのお三方と話し合うという事になり、まず最初の組は俺と相羽君と知らないおじさんと知らないお兄さんと知らないJKだった。


・・・のだが。


見ての通りトーキンさんとアールヴさんによるスカウト戦争が始まったのである。

俺達人間側とフェンスさんは黙ってそれを見守るしかできなかった。


「こんの小人め!黙って聞いていればチマチマ(?)小言をいいやがって!貴様は前々から気に入らなかったんだ髭毟(ひげむし)るぞ!!」


いや黙って聞いてないじゃん。


「んだとー!?髭をバカにすんのかー!上等だ表でやがれぇぇぇぇ!!」


髭か?トーキンさん髭でキレるのか?

そう言って一人のエルフと一人のドワーフは部屋の外へとズンズン歩いて出て行ってしまった。

あ~あ~めんどくせぇ事になっちゃったよ。

というか、何でこの人達はそこまで人間(ヒューマン)を欲しがっているのだろうか?

大した理由じゃ無さそうだが。


バタン!と大きな扉が閉まる音を聞き流して、暫くシーンと間があると、そこに相羽君がフェンスさんに躊躇(ためら)いながら訪ねた。


「あの・・・いいんですか?」


明らかに相羽君は苦笑いだ。

するとフェンスさんは諦めた様子でため息を付く。

何だか大変だなこの人も。


「構わん。あ奴等は前々から関係が悪いのだ。流石、ドワーフとエルフといった所だ。仲が悪いのは代表になっても一緒だ。」


あぁ、前の世界でもあの二種族って仲が悪いって有名だった。ここでもそうなのか。

するとフェンスさんは小声で「興味本位でスカウトなどするなあの馬鹿者共」とグチっていた。

やはり大した理由ではないようである。


「拙者としては、まずこの中心国家アルフ王国に拠点を置き、ある程度財産や自分の将来を考えた上で、それぞれの道を歩んだ方がよろしいかと」


「「「「「あ、じゃあそれで」」」」」


俺ら全員そう答えた。マトモだ、この人怖いけどマトモな人だ!


「エルフのリョースは料理や芸術などが有名です。魔法の勉強にもなるでしょう。ドワーフのドヴェルグは鍛冶や農業に向いています。我々獣牙族の都市ワイルフは狩りや戦闘が主です。訓練などにもってこいでしょう。」


さり気なくそれぞれの都市の長所を紹介するフェンスさんマジイケメン。

てか魔法あるんだ・・・この世界。


こうしてとりあえず俺達五人はアルフ王国に滞在することになったのだ。

いや多分残りの45人もここを選ぶだろうけど・・・





一軒家の貸屋それぞれ支給してくれたフェンスさんマジイケメン。

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