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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
第4章『武器入手』
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武具を手に入れよう1

テスト終わったのにまだ忙しいです・・・

アルフ王国《ガルン商店街》にて営している鍛冶屋では相変わらずの激しい打撃音が鳴り響いている。思わず耳に指を突っ込んで音を遮断したくなるほどにだ。

足下ではマスコットキャラかりお馴染みとなってしまったフレキちゃんが耳を手で折り畳んで嫌そうに目をつぶっている。


なぜこんなところに来ているかというと、以前専用注文(オーダーメイド)した装備の品々が完成したという連絡が入ったからである。

昨日の夜頃、窓から使い魔っぽい鳥の魔物が入ってきたのだ。

家に進入されたが、敵では無いとわかったのは口に手紙を咥えてなおかつ丁寧に俺に渡してきたからである。


そこには《頼まれた品物はできた。明日の朝、受け取りに来てくれ。》と書かれた紙を持ってきてくれたのだ。

口調や、頼んだ(オーダー)と言う言葉で俺はすぐに鍛冶屋からだと察した。

そしてまた向かう途中人混みに流されるのが嫌だったので朝早くから出掛けたのだ。


武具なんて付けてもマトモに戦う気など一切無かったが、それでも俺は男の子である。装備と聞いてワクワクしないハズがなかった。

これでも実はこの数日間結構楽しみにしていたのだ。

というわけで朝一番に鍛冶屋へと向かい、何とか到着した。

まぁ相羽君が俺達より早く到着していたのは予想通りである。相羽君はちょっと中二病なのかもしれない。


しかし朝早く着いたにも関わらず、鍛冶屋内では未だに鉄を打ち合う激しい音が響いていた。

流石制作バカドワーフの職人である。まだ町の皆が起きてるか起きてないかくらいの時間帯なのに、既に鉄を叩く喧しい音が店に充満していたのだ。おそらく昨日の夜から作業を行っているのだろう。

本当にある意味恐ろしい種族であるドワーフとは。


鍛冶屋に入って、受付にいた職員にオーダーメイドの件を伝えると暫く待っていてくれと言い、そのまま店の奥に行ってしまった。

因みに受付さんは女性である。おばさんっぽいしゃべり方だったのに容姿は幼女であった。

それはそうとして、受付さんが戻ってくるまで騒音に耐えていたのだが、俺の腰にしがみついているもう一人の幼女が限界を迎えていた。


「・・・頭が、クラクラ、してきました。」


フレキちゃんがそう根を上げる。我慢強いフレキちゃんにしては珍しい。

少なくとも俺達よりは耐えると思っていたが、よく考えてみれば元々獣牙族は野性的で肉体的感覚はどの種族よりも優れている。

要は五感がすごく発達しているのだ。

それは聴覚としても例外ではない。フレキちゃんにとっては、喧しい音が響く鍛冶屋はあまり得意では無いのだろう。きっと俺と相羽君以上にうるさく感じているだろう。


「み、耳がぁ~」


「確かにこの音は参りますよね。」


ケモ耳をギュッと押さえつけて耐えるフレキちゃんに、黒髪の少年・・・相羽君が同調するように頷いた。

うるさいのは主に鉄を叩く音のせいである。

まぁ鍛冶屋で武器や防具販売の専門店である以上、仕方のない事なのだろうけど。

しかしだ、前回来た時より音が激しくなっているのは気のせいだろうか?

断言しよう。絶対に気のせいではない。


「あー、うるせぇ」


「灰原さんはなんでそこまで大丈夫なんですか?」


激しい鍛冶の音に耳を塞いでる相羽君がそう聞いてくる。よく見たら顔色も少し悪そうだ。


「大丈夫って何が?」


「いや、こんな大音量ですよ!?平然と立ってられるのがおかしくないですか!?」


鍛冶音に負けないくらいの大声で相羽君が俺にツッコミを入れてくる。フレキちゃんもコクコクと首を立てに振って無言の肯定を示していた。

ふむ、相羽君は騒音にもう限界なのか、既に腰を下げて地面に丸まるように座り込んでいるし、フレキちゃんも俺の服を必死に掴んで何とか立っている状態と言って良いだろう。

まともに直立しているのは俺だけだ。

こらっ、ドサクサに紛れて匂いを嗅ぐんじゃありません。


「う~ん、だって俺、これ付けてるし?」


隠す必要もないので、俺は自分の耳に詰め込んでいる(・・・・・・・)それを指した。

それを見た瞬間、二人の顔は驚愕に染まる。


「「み、耳栓!?」」


二人の台詞がハモった。

二人の言うとおり、俺の耳にはギュウギュウに詰められた耳栓が埋め込まれていた。

これは冒険者ギルドで販売していた使い捨ての道具の一つだ。

なんでも、叫び声・・・いわゆる咆哮を使ってスキルの『威圧』のような攻撃を仕掛けてくる魔物がいるらしい。

そういう対魔物対策用に雑貨売場で売られていたのだ。

ゴムのような素材で出来ているが、これの原材料は樹脂であり、それを固めて作っているらしい。いわゆる天然ゴムのようなものである。

この耳栓は、耳の中に入れると密着するように形が変形して耳穴に収まるそうだ。

そうして伝わる振動を吸収して威力を軽減させるという仕組みだ。全くよく考えたものである。


「ずるいですよ灰原さん!そんなもの持ってたんですか!?」


相羽君が声を荒げてくるが、何がずるいものか。これは俺が予めこうなることを予想してわざわざ用意していたのもだ。

決して大音量の作業音に苦しむ二人が見たかったわけではない。


「フレキちゃんも持ってないの?」


「僕を無視しないでください!?」


ショックを受けたような後輩のツッコミを軽く流して俺はシッカリ者のフレキちゃんに視線を向けた。

まぁ今付けてない時点で持っていない事は明白なんだけどね。いちいち持ち歩かなくてもフレキちゃんなら知ってるくらいはあると思ってたんだけど・・・。

フレキちゃんは俺の方へ顔を上げると、ニヒルに笑みをひきつらせて絶望的な声でこう言った。


「・・・わたしのサイズがありませんでした。」


「「・・・ドンマイ。」」


人と比べるとフレキちゃんの大きな耳を見て、俺と相羽君はハモった声で慰めの言葉を投げかけた。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆





「待たせてすまなかったな、流石に三人分の全装備となると時間がかかっちまうからよ。」


暫くして店の奥から受付さんが店長のドワーフを連れてきた。

どうやらこんなに早く来るとは思わなかったらしく、慌てて装備の最終調整を行っていたらしい。

通りで前よりうるさかったハズである。耳栓持ってきて本当によかった。

まぁ調整と言っても汚れを落としたり強度の確認といったすぐ終わるようなものだったみたいだ。

というか、それでもうるさかったのは実は調整と全く関係なく、慌てたドワーフが転んだり剣や鎧が収納されているスペースで大きな音を立てたりとそんな理由だったらしかったのは呆れた。そりゃぁ、普通に鉄とか鍛えていたドワーフも居たみたいだけど・・・

ドワーフは実はドジという最新の情報を手に入れた。

ドジっ娘の獣牙族のフレキちゃん?違うよこの子はただのもやしです。


「いえ、大丈夫ですよ・・・耳以外は。」


ドワーフの店長さんの謝罪に、相羽君が首を横に振って言うが、最後は苦笑い気味にしてしまう。同じ被害を受けたフレキちゃんもそれに頷いた。

俺は耳栓してたからノーダメージだったけどなー。

二人の苦情に、店長さんは困ったようにポリポリと頬を掻いた。


「そいつぁ勘弁してくれ、元々鍛冶屋は暑くてウルセェ所だからよ。良い経験だとでも思ってくれ。」


「随分と痛い授業料だな。俺は痛くなかったけどさ。」


俺が皮肉めいたようにそういうと、店長さんは「ガハハッ」と豪快に笑い出していた。

すると店長さんはこっちを振り向いて俺の方に声をかけてくる。


「兄ちゃんの用意周到ぶりには驚いたぜ。冒険者が戦闘に使う耳栓を鍛冶屋に持ってくる奴なんてそうはいないからな。」


「・・・まぁお告げがあってな。」


俺がスッと視線を外して呟くようにそう言うと店長さんは腕を組みながら首を傾げていた。

お告げというか、俺には『フラグ』というスキルがあり、それの効果はなんというか、その場の雰囲気や話の流れを察知し後に起きる事態の前兆を予測したりするスキルだ。

一見これだけなら予知能力のように便利そうなスキルなんだけど、なんというかこのスキルは誰かが困る事ばかり予測してくるのだ。

たとえば死亡フラグとか死亡フラグとか死亡フラグとか死亡フラグとか死亡フラグとか。

何かの前兆で頭の中で《フラグ》という文字が浮かぶからそう言うことが起きないように気を付けているのだ。


そして前回ここに来たときにも『フラグ』が発動した。

それは音関係では無かったのだけれど、一応念のためということで準備していたが、まさか本当に役に立つとはな。

むぅ、嫌なスキルだけど助かるっちゃぁ助かるから判別に困る。


「まぁとりあえずよ、防具とか着けて貰いたいから着いてきてくれ。」


「「「は~い」」」


店長のかけ声に、俺達は脱力したように気合いの無い返事をした。

フレキちゃんは魔力を耳に重点的に流して回復魔法をかけている。

こらこら、骨まで治す回復魔法を絆創膏みたいに気軽に使うんじゃありません。病院で寝てる人が見たら血の涙を流すよ?


そんなこんなで前に来た教室のような部屋に移動させられた。

確かここって、前回アンケートのような面接っぽい何かを行った場所だ。

そうそう、面接やりたくねぇと愚痴ってフラグが発動したんだった。

まぁ今は装備を着るだけだから大して気にしないけど。


「装備ってどこですか?」


「あぁ、あの箱の中に入ってる。」


相羽君の質問に店長さんが指を指して答える。

教室モドキには人一人分くらいの大きさの木箱が3つ設置させていた。おそらく俺達の装備が入っているのだろう。

この世界で木箱はダンボール的な扱いなのだろうか?まぁどうでもいいけど。


「木箱ですか、大きいですね。」


「でかすぎね?俺の身長とほぼ同じサイズじゃんか。」


俺達は3つある木箱に近づき、それを確認して相羽君が木箱の大きさに改めて驚いたような声を上げた。

木箱にはよく見ると『カイハラ』と俺の名前が書かれてある。

この木箱の中に俺の装備が入っているのだろう。ワクワクとした少年心が止まらない。

こらフレキちゃん。異物みたいにツンツンつつくのはやめなさい。


「そん中に装備が入ってるからよ。悪いんだがそん中で着替えてくれねぇか?」


店長さんの言葉に驚く。

なんと!まさかこの木箱が更衣室代わりにもなるというのか!通りでデカいハズである。


「更衣室ってことですか。」


相羽君が一人事のように呟いた。


「そういうこった!」


店長さんも大きな声でドンと言う。

俺は別に異論はないのでそのまま木箱の中に潜入する。

箱の中は服屋などにある服を着替える為の小さな小部屋くらいの広さはあった。

中は暗いかと思っていたか魔、天井となっている部分には光の魔石が設置されていて、それなりに快適だった。

外からは相羽君の「すげ~」という声とフレキちゃんの「ほえ~」という声が聞こえてきた。

装備でも見て感嘆の声を上げているのだろうか。俺も見てみようとそう思い、真横に立て掛けられていた装備を目にして。


「・・・は?」


俺は呆れたような、驚いたような、色んな感情が混ざった声を言い、その後は絶句してしまった。



急いで書いたので後で編集します。たぶん。

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