オフライン
ちょ、深夜のテンションでかきますた。
「「「覚醒スキル・・・?」」」
カラスの言ったスキルにここにいる全ての人がハモった。勿論俺も含まれている。
なぜか知らないが、鴉の声が聞こえた瞬間、さっきまで感じてた怒りや混乱が消えて、楽しいような気分になりだした。
無意識な急な感情の改変で変な感じがするが、まぁ大丈夫だろう。
改めてカラスを見上げると『これがナカナカ凄いんだぞ』とか言っているが、とりあえず俺に言えることが
いい加減頭から降りろ。
『そうだっ!これこそ我らの秘術!新たな生命の誕生にも匹敵する伝説のスキルだ!!』
「「「で、伝説のスキル・・・!?」」」
カラスは空中を回転しながら効果音とかをつけて、まさに「バーン!」と言い放った。
それにしても皆さん?乗せられないでください。
ここに居るのは俺たちを拉致した張本人だぜ?
まったくどうしたんだか━━
ゾクゥッ!!
すると突然肌を舐め回すような気持ち悪い感覚が俺を襲った。
意識を確かめると、さっきまで感じていた高揚感がいきなり一気に冷めている。
冷静さを取り戻して頭が正常に物事を考え始めた。
(何だったんだ今の)
そんな俺の問いに答える者など誰もいなかった。
周りを見れば誰もが鴉野郎に憧れの眼差しを向けていた。
数分前まで鴉に脅えや怒りを感じていた者達すべてだ。
おかしい、まるで操られているような・・・
そんな事を考えてる頭の上で鴉はくつろぎ始めているのを感覚で感じ取れて、俺の思考はこの鴉にへと移った。
何コイツ、俺の頭はお前の指定席ですか?
取り敢えず、また何か喋り出す気配がしたのでもう少し様子を見ておく事にする。
『それじゃ覚醒スキルの特徴を説明しようか』
カラスはそう言うと、頭の中にゲームのステータス画面みたいなのを展開された。
まんまゲームのチュートリアルみたいな画像である。
画面は頭の中に映し出されていて、目の前に展開されている形ではなかった。
視界の邪魔にならず、なんというか頭で何か妄想しているような感じに似ていた。
正直すげぇと見て驚くが今更なので割合する。
『覚醒スキルは簡単に言うと・・・「作成スキル」または「創造スキル」と言われるモノに近い、と言ってもお前等は知らないだろうな。名前からして効果を想像してくれ。
この二つのスキルは文字通り、オリジナルのスキルを作りあげることができる。ここだけ聞けば魅力的な効果だろ?だがどこにでもそんなうまい話がある訳じゃない。
この二つのスキルはスキル完成まで10年やら20年やらの長い年月がかかる。スキルの発動条件から回路まで、効果範囲やら細かく性能を固めてスキルがスキルとして独立するまでを一から作成する訳だからな。さらに痛い事に完成したとしてもそれが「使える」かが問題だ。変なスキルを作ると自爆するぜ?例えば瞬間移動とかやったら体が空気抵抗や圧力に耐え切れなくなって粉々になるからな、あの世界にいたお前等なら物理法則とかでよく解るだろ』
纏めると「作成・創造スキル」はどうやら一から『プログラムを作る』ようなもので尚且つ『現実でできる範囲』が絶対条件らしい。
確かに素人がプログラミングをゼロの知識からしても完成まで相当な時間がかかるのだろう。
そして効果もある程度『できる事』でなければ自分の体が耐えられなくなるのは元の世界での知識として頭に入っている。
覚醒スキルはここが違うそうだ。
『さぁて、こっからがチートだぁ。「覚醒スキル」はまず、自分で効果が決められないデメリットがある。
まぁ聞け、「覚醒スキル」はその人間の生き方によって覚醒する。』
鴉はそう言った。正直「?」である。
生き方によって決まるってどういうことだ?
周りを見渡すと他の人たちも同じ心情のようだった。冷静くんに至っては顔が「(´・ω・`)」になってる爆発しろ。
鴉はそんな俺たちの反応を待ち構えたように、頭の中に表示されてる画面に、多数の棒人間を映し出し始めた。
その棒人間は剣や杖やら色々持ってるのが沢山。
『覚醒の発動条件は様々だ。総合的に言えることは、修行を積むこと。
例えば、剣で戦う人間がいるとする。すると不定期に「覚醒スキル」が目覚める。剣士は剣技関係のスキルを手に入れられる。
魔術師が修行を積めば魔術関連。
鍛冶屋なら武器作成。
調合師なら薬物合成。
農業なら食材高級化。
そして最大の魅力は・・・スキルは誰かと被る事はない。覚醒したスキルは所持者のみのオリジナル・・・ユニークスキルとなる事だ!!』
カラスが説明すると同時に画面の棒人間がチョコチョコ動いたりゴリマッチョに進化したりと変化が見れた。
説明が終わると人々の中から「おぉー!」とか「やってやるぜ!」などとの声が上がる。
どれも声は若い。おそらく俺と同世代の連中だろう。
オリジナルのスキルか、ようは漫画でよく見る修行とかをして新たな必殺技を修得する事か。
ファンタジーとかに憧れてる奴らからすれば魅力的なのかもしれない。
つか、最近の若いもんはこういうのが好きねぇ-。
いや、俺も十分若いけど。
この中隠れ中二のヤツ多すぎだろ。
まぁこの手の小説とかマンガを読めば「カッコイイ」とか思って憧れるのはわかる。実際俺だってスキルとか聞いてちょっとドキドキワクワクしてしまったし・・・
でもそれは、あくまで「見てる側」だからだと思う。
実際に自分が体験してないから戦いとかに憧れる奴らは少なく無いも思う。
正直小説の主人公みたいに『そうなりたい』とは思っても『参加したい』とは思えない。
俺は調子に乗ってる他の奴らを睨みながらそう思った。
(よく考えろよ、そんな事になったら血みどろの殺し合いとか目に見えてるじゃねぇか)
漫画の通りに上手くいくとも思えなし
それに・・・みんな雰囲気で流されて忘れてるけど、まだ確認はとれてないんだぞ?
元の世界に帰れるか、わからないんだ。
ここはある意味一部の人間には「自分が選ばれた勇者」みたいな感覚をもった奴らもいるかもしれない。
それでも全員が全員、永遠にここにいたいわけではない。
最低でも俺は帰りたい、そう思う。
なぜなら俺には世話して置かなければいけないあの人がいるから・・・
どうやら俺は予想外にも先輩に毒されていたようだ。
そんな自分に自傷しながらも、俺は確認を取りたくて口を開いた。
「おい・・・ヤタガラスだっけ?」
俺は思ったままにそう言う。
これで機嫌を損ねてまた殺されても構わない。
俺は聞かなければならないからだ。
帰りたい、帰らないと、まだあの人から答えを聞いてねぇんだよっ!!
「俺達は・・・元の世界に帰れるのかよ・・・?」
でも、結局怖くてそれだけしか言えなかった。
俺の言葉が辺りに広がるとさっきまでとは違う静寂が訪れていた。
周りの人も俺の言葉に気づいたのだろう。いや、俺と同じ気持ちになった、あるいは元々居たのかもしれない。
よく見れば、みんなの表情は先程までの高ぶっていた感情とは正反対のものだった。
謎の不気味さが彼らを襲った。
俺は言葉を待った。
50人近い人たちも全員黙って鴉の言葉を待っている。
多分、思い出したんだろう。テンションに任せてたから忘れてたかもしれない「故郷」のことを
俺は、後からこれを聞いたことを後悔する事になる
『ハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!』
鴉は俺の問いにただ、笑った。
甲高い笑い声が頭の中で響いて不快な気持ちを生み出させた
『ハハハハッ残念だったな?帰れねぇよ』
聞こえない。
『お前たちは地球には帰れない!言ったろ?ここで新たな文明を築いてもらうってな!』
聞こえない。
『俺はどの次元でも行き来することができる、ようは次元の支配者さ!俺はなぁ、ここに来る時、お前ら人間がスキル使ってでも出ていけないように全ての次元からここを切断してやったよ!
ここはもう、ども次元にも接続できない。ここは固有空間だ。まぁせいぜい死なないように頑張れヨ』
聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない!!!
そんな事認めてたまるかっ!!
絶対に認めない、そんな理不尽な言葉なんか信じない!
俺は帰るんだ!
母さん、父さん、先生、みんなといたあの日々
・・・・・先輩っ!!
『ってかよぉ!!ちょっと前までのテンションは解かれたみてぇだなっ!どうだった?俺がお前等にかけてやった魔法は?不安とか一気に消えたろ?スキルでガキみたいに目を輝かせやがって、ばっかじゃねぇの!?ハハッ!突然消えた高揚感に復活した不安はどうだ?ぎゃはははっ!!』
そう鴉が言っている、さっき感じた不気味な寒気は奴の言った魔法が解かれたからなのだろうか、趣味の悪い魔法である。
「ふ、ふざけんな!帰り道残せよ!」
「言ったろう!私には妻も子供もいるんだ!頼む帰してくれっ!」
「お父さーん!お母さーん!」
「帰りてぇよ!スキルなんかいらねぇから帰してくれ!」
まるで振り出しに戻ったかのような悲鳴の合唱が耳の中へと入っていく。
先程までスキルやらにテンションが上がっていた連中も「帰れない」という理不尽な設定に焦りを感じたようだ。
「期待」が、「絶望」に変わった。いや、戻った。
そんなのが、うるさくて耐えられない。
うるさい、あんなの嘘だ。帰れないはずがない
はずが・・・な・・・い・・・。
自然と頬に涙が流れ始める
会えない・・・?
もう・・・
『凉君っ』
『先輩ですか、何の用で?』
『凉君は、部活入んないの?』
『あ~、面倒ですし。希望もないです』
『け、剣道部どうかな!?』
『先輩のいるとこっすか!?いやいやいや!!』
『あぅ、だめかな・・・』
『ああ!!もう!泣かないでくださいよ!別に先輩が嫌なわけではないっすよ!』
『・・・本当?』
『はぁ~、高校の時入ります。』
『本当!?わぁーい!楽しみにしてるよー!』
『あ゛~・・・』
「殺してやる」
『あぁ?』
誰かが言った。
殺意をもった言葉を
ただ、その言葉だけが、雑音の中、ハッキリと聞こえた。
俺が言ったのか、見知らぬ誰かが言ったのか
わからない。でも・・・俺も同じ気持ちだった。
アイツは、俺達から、故郷を・・・帰る場所を奪ったんだ・・・!!!
殺意は人へ人へ、まるで病気のように伝染していく。
「殺してやる」
「殺ってやる・・・!」
「ぶっ殺してやる」
俺も彼らのようにその言葉を言いたい。
・・・意味を噛みしめて
「殺してやる」
『あ?殺れよ』
グシャッ!!バキュッ!ガリュ!
俺の顔に血が飛び散った。
鉄のような臭いと生暖かい液体が頬に引っ付く。
辺りを見回すと誰が誰だかわからないくらいグチャグチャのミンチ状態の死体が、血の海の中で浮かんでいた。
赤い色の液体が俺の服に染色すりように染み込んでいく。
残ってるのは。俺だけ、俺一人だ。
一瞬にして50人あまりの人間は死体へと変わった。
俺は虚ろな目つきで俺はカラスのステータス画面を無意識の内に確認するように覗いた。
他人のステータスが意識するだけで見えたのは発見だが、今はそんな事に気持ちを感じる事はなかった。
何故なら、そこに書かれていたのは絶望的なまでに差があるステータスが見えたからだった。
《ヤタガラス(神の眷属)》
力・測定不可
耐・測定不可
賢・測定不可
速・測定不可
スキル
「ヤタガラスの加護」×50万
「覚醒スキル・次元支配」
「・・・なんだよ、これ・・・」
『俺を殺したきゃあと50万回殺せ。』
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ヤタガラスは黒い羽を数本残して消え去った。
ガラスに日々が割れるように空中に穴が開き、そこに入っていったのだ。
あれが次元なのか?
俺はただ呆然とそれを見ることしかできなかった。
数分後、人々の体がグチュグチュという音を立てながら死体から再生した。
どうやらヤタガラスの加護は無事起動したようだ。
てか、グロすぎる。俺もこんな感じに復活したの?
何はともあれ皆、何事も無かったように起きあがった。無事でなによりだ。
まぁ生き返った瞬間、血塗れの自分達に悲鳴を上げていたけれど。
「いてて・・・なんだったんだ?」
「う~ん、うわっ!!なんだよこの血は!?」
「うわぁぁあぁぁあ!?なんだよこれぇぇ!!」
俺は苦笑いをしながら同胞の様子を見ていると、横で切断された首を修復して意識を取り戻すイケメン君が確認できた。
「ん、あれ?僕達は・・・?」
「・・・あ、起きましたか・・・冷静君。」
「・・・なんだよ冷静君って・・・」
俺は目が覚め、起きあがった皆に何があったかを説明した。
やつが何をしたのか・・・やつがなんて言ったのか
・・・やつのステータスを。
皆が黙ってる。
当たり前だ。殺すと啖呵をきっておいて瞬殺され、そして圧倒的な力の差を見せつけられたのだから。
怖じ気づいた者、復讐を誓うもの。
皆の沈黙はいずれか二つだった。
俺は・・・後者だ。
「とにかく、出口を探りましょう。まずここから出なければ何も始まりませんし、終わりもしません。」
冷静君は生気のなくなった俺達にとりあえず「目的」となる指示を与えてくれた。
彼は自然とリーダーみたいな立場になってくれているようだ。
彼の指示に数人が立ち上がり壁を確認しに向かった。
何かしなければおかしくなると思ったのだろう。
けれども数人が、まだ座ったままだ。
その殆どが先ほど「スキル」とかにテンションが高まっていた子供を含む若い世代だった。
自分と同世代の人を見て俺はため息をつく。
怖じ気づいたか。
まぁ無理もないよなぁ。いきなり死んで生き返るもんよ。
ああいうのはほっといて、時間が解決してくれるのを待つしかないだろう。
「それより冷静君、指示を出してくれてありがと」
俺は隣で脱出経路を探している青年に話しかけた。
冷静君は少し照れた顔をする。
「冷静君ってあだ名やめてくださいよ。僕にもちゃんと名前があるんです。」
そしてムっとした表情を作って言い返してきた。
それは失敬。
「僕は相羽大賀です。」
「俺は灰原涼だ。」
冷静君改め、相羽君とお互いの自己紹介をすませて作業に戻った。
「おい、なんか扉あるぞ?」
部屋の探索をしていた一人がそう言った。その瞬間全員の目がそこにさ集中する
ようやく見つけたのか!?
「こ、ここから出れるのか!?」
もう一人が叫ぶ。
その瞬間、女男子供関係なくそこに殺到した。
最初に扉を見つけた男性は驚きで目を見開いて「く、来るなー!?」と悲鳴を上げながら大人数にもみくちゃにされてしまった。
さらば男性A・・・
俺はそれを見ながら自分のペースでそこに向かった。
そこにはなんで今まで気づかなかったんだろうと思うほど巨大な扉が存在していた。
縦5メートル横10メートルほどの鉄製の扉である。
ただ、ドアノブもなくこちらから開けることは難しいと思える。
「あ、あけてくれぇ!!」
「おーい!だれかぁ!!」
誰もが必死に助けを求める声を上げる。
俺も出来る限り壁を叩いて助けてくれと叫んだ。
もうそれしか、今俺には出来ることしかないからだ。
外に誰かいて、これが聞こえたなら助けを呼んでくれるかもしれない。
そんな淡い希望を持って、俺達は叫び続けた。
すると数分も経たない内にゴゴゴと音を立てながら、巨大な扉がまるで自動ドアのように開き始めた。
人々は安心を表情に露わにする。
恐らく俺もだいぶ顔の表情が晴れてるのだろう。
皆ようやく、ここから出られるという気持ちに包まれて。
その隙間から、眩しいくらい明るい光を漏らしながら扉は開いた。
そこはまるで王宮の中のようだった。
真っ白な壁と高価であろう壷や石像、宝石の原石らしきものも沢山並べられている。
床には高級そうな真っ赤なカーペットが敷かれていた。
例えるならそう、ゲームで王様のお城に来た感じ。
全員が驚きで声も出ない。
そりゃそうだ。血生臭い牢屋みたいな場所から脱出したと思ったら一面にこんなものが目に飛び込んできたんだ。
てか大丈夫かな?不審者に見えないかな?
俺ら今全身血塗れなんですけど。
うん言い逃れ出来ない不審者である。
俺がそう不安になったのは、フルプレートを着込んだ沢山の騎士達が、俺達を取り囲むような形で陣形をとっていたからだ。
捕獲されちまう!!と本能が警報を鳴らす。
ガシャッガシャッガシャンッ!
すると急に騎士達が俺達の目の前に道を作るかのように移動し始めた。
パレードの観客みたいに外側に移動した騎士達。
そして、俺達の前方にはまるで王様のように2人の大男と小柄なオッサン一人が佇んでいた。
俺達が驚きと戸惑いの感情に流されていると一人の大男が俺達に向かって話しかけてきた。
その顔は、人間ではなく狼。
まるでホラー映画に出てくる狼男のようだった。
彼(?)は俺達に鋭い目を向け、そしてこう言った。
「ようこそ、新たなる種族ヒューマンよ。我ら獣牙族、エルフ族、ドワーフ族はあなた達を歓迎する。」
狼男さんは両手を俺達、人間に差し出すと、狼男さんは俺達に歓迎の言葉を発したのだった。
グロかったですかね?
テンションおかしくして書いたのですが。
あ~宿題するか。
(獣牙族・野蛮
エルフ族・知的
ドワーフ族・バカ)