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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
第4章『武器入手』
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ファッションのススメ

テスト終わりました!

ファッションとは人のセンスが試される試練の一つである。

様々な服の中から多種多様の組み合わせを生み出し、一つの作品を作り上げる。

・・・ある意味芸術にも似たものだと俺は思う。


服のデザインなどは作る人によって十人十色。

それぞれの見た目は違えど、使い方次第でどれにも負けず劣らずの作品を生み出す事ができるのも魅力的だ。


だが・・・やはり服も大事だが"素材"も重要である。


どれだけ素晴らしい服を着せたところで、着ている者が努力せねば意味がない。

黄金に輝く(宝石)だって、ちゃんと宝石の原石を磨いたりと、加工しなければ良い指輪にはならないのだ。

まぁ人にはそれ相応の対処の仕方がある、めげないでくれ。


(ケモナー@作者はめげた脱落者。)


地味な人間でも高みにいけるのがファッションというものなのだ。実際、おっさんでもその人に似合っている服なら幾分かマシに見えるのだ。

まぁ何が言いたいかというと・・・元々素材が良い人は更なる高みへと上るわけで


「わー!お似合いですよお客様!」


俺達は今、《ガルン商店街》にある古着屋に居た。

もちろん、これから生活するのに普段着がなければ行動しにくいし、予備のストックも買わなければならないからだ。


それに俺なんて、フレキちゃんがいるから家に居る時は一日中パジャマ姿なんてだらしない格好はできない。

そんな生活は明らかにダメ親父である。

それに洗濯だって前の世界とは違って洗濯機などという便利な物はない。乾くのにも時間かかるし、それなりに数を揃えなければならない。


今日はギルドとか結構用事があったのだが、武具の注文も早く済んで、実はまだ時間はあった。

なので服を買いにここまで来たのだが、ここの店は古着屋といっても中々質の良い物が多い店だった。


安い服を物色していると、エルフの女店員さんの黄色い声が店内で響いた。

気になったので目を向けると、その声に向けられているのは真っ白なワンピースを着たフレキちゃんだったのである。


紫色のサラサラな髪と白いワンピースは互いの色を強調しあってよく色を目立たせている。

背もまだまだ小さいので、その姿はまるで可愛らしくも上質な人形のようだ。

しかし当の本人は顔を真っ赤にしてあわあわしているだけである。

マスコットキャラクターみたいな可愛らしさがにじみ出てる感じである。


「ほ、ほわぁっ!は、恥ずかしいですよぉ~」


フレキちゃんはそんな事を言ってスカートの端を着かんでまだ未成熟な太ももを必死に隠そうとしている。これで天然なのだからあざとい。

ちなみにこのワンピース、むき出しの肩とか鎖骨とかが妙に艶めかしくて・・・特にスカートが短いから太ももとかをよく強調している。


・・・露出が多少高いのである。

見ている方は眼福だろうが本人からしたら恥ずかしいことこの上ないだろう。

可愛らしいが、フレキちゃんにはまだハードルが高すぎたようだ。

忘れてはいけないが、彼女はまだ10才なのだ。そこを忘れてはならない。


あまりにも恥ずかしがっているので、見てると悪いと思った俺は、すっとフレキちゃんから目をそらし、販売している別の服へと目を向けた。


「うわっ高いなこの服。」


「少しは感想言ってあげたらどうです・・・?」


一着2万Gする革服に驚いていると相羽君が後ろからそう言ってきた。


「恥ずかしがってる女の子を見て笑う趣味は俺はないよ相羽君?」


「なんで笑う前提なんですか!?よく見てあげてくださいよ可愛いじゃないですか!!」


「・・・え?もしかして相羽君、ロリ」


「ああああああああああああああああああ!!!」


俺が冗談で言い返すと真に受けてしまったのか、相羽君は喚くように俺の台詞を遮って睨んできた。

いやごめんて。

すると俺と相羽君のやりとりでエルフの店員さんがこちらに気づいたように話しかけてきた。


「お客様!どうでしょう?お嬢さんはとても可愛らしいお姿になられたと思いますが!」


「か、かわわわ!?ひゃぁ~!!」


エルフの店員さんの満面な笑みによるベタ褒めが俺の前に現れた。

その背後からはエルフの店員さんの声にフレキちゃんが照れまくって恐縮しているような呻き声が聞こえてくる。

言っとくが、この店員さんはエルフ族なので勿論美人だ。ふむ、その彼女がそこまで言うなら今度はしっかり見てみるか。


俺がチラッとフレキちゃんを改めて見てみると、フレキちゃんは恥ずかしそうにしながらもこっちに格好を見せようとしているのか、少し潤んだ瞳を上目遣いにしながら俺を見返してきた。

て、天然なんだよな・・・?


頬をほのかに赤く染めて、ワンピースの短いスカートを必死に伸ばして素足を隠すようにしている姿は多分変態(ロリコン)なら大満足したであろう。

少し色っぽく見えるのは気のせいだと思いたい。


今度は麦わら帽子を被っているようで、シンプルなワンピースと麦わら帽子に、なんだか夏の砂浜を背景に思い浮かべてしまう。

そして麦わら帽子からは白い狼の耳がヒョコッと出ており、ピクピクとまるで意志があるかのように動いていた。

ま、可愛いっちゃ可愛いよね。


とりあえず俺は感想を彼女に言う事にする。


「あー、良いんじゃない?」


「「他に言うことあるでしょおっ!!」」


俺がその素っ気ない感想に、後ろから相羽君と店員さんの同時ツッコミをして俺を襲った。

俺はそんな二人を怪訝そうな目で見て言い放つ。


「いや、俺に感想を求めるのは間違ってるからね?」


「だからって何でそんなにぶっきらぼうに言うんですか!?灰原さんてデリカシーなさ過ぎですよ!」


「私もこんなお客様初めてですよ!お嬢さんすっごい上玉じゃないですかぁ!男として何か思わないので!?」


「んー、それ普段着じゃないっすよね?」


「「あなた一生彼女出来ないですよ!!」」


なんで俺がここまで責められなければいけないんだ。

だって俺普段着を買いに着ただけだもん。感想なんてしったこっちゃない。

二人は俺だと拉致があかないと思ったのか、フレキちゃんの方を向いてなな何か言う。


「フレキちゃんも何か言ってみたらどうです!?」


「そうですよ!こちらのお客さんは今から教育しておくべきですよ!?」


相羽君と店員さんは俺の態度に満足できなかったのか、フレキちゃんに同意を求めるようにそう言った。

しかし当の本人であるフレキちゃんは・・・


「えへへ、「良い」。・・・「良い」ですか・・・えへへ」


「「やだこの子純粋っ!!」」


フレキちゃんは両手で頬を包むと、紫色の尻尾をはちきれんばかりに振りに振るっていた。その顔は端から見てももの凄く幸せそうに見える。

その姿を見て相羽君と店員さんのハモったような声が再び店内に響いた。

何気にこの二人意気投合してね?


とりあえず、私服を買うことが目的なのであの二人は放置して服を選ぶことにする。


異世界の古着屋・・・つまるところ中世のレベルだからそこまで材質とデザインに期待はしていなかったが、意外と質は良いようだ。

よく見ると、材料は魔物の素材などと書いてある。異世界様々である。

カラフルな服とかあったし、場違いなような気がするが鎖帷子(くさびかたびら)なんかも置いてあった。


ここにとっては防弾チョッキのようなものなのだろうか?本来鎧みたいに着るものなのだが、これはかなり薄い。

手にとって重さを感じてみるが下着と同等くらいだ。これなら下着代わりに着用するのも良いかもしれない。


まずこれを購入しようかと考えていると、俺のワイシャツの裾から引っ張られる感覚がしてきた。

こうやって俺を呼ぶ仕草をするのはフレキちゃんのはずだ。

俺がそっちに首を傾けると案の定、天使のフレキちゃんがワイシャツを掴んできた。


「どうしたの?」


ちなみにまだワンピース姿である。


「えっと、その、私と一緒に服を見てくれませんか?」


フレキちゃんが少し不安げな目をしながらそう言う。

それ見て断れる男がいると思いで・・・?

俺は照れ隠しにボケるように返事をする。


「ん?そのワンピじゃだめ?」


「はっ恥ずかしいですよぉー!!外出歩けませんー!」


正論だ。実に正論である。

明らかにこのワンピース、写真撮影用とかそれ系にしか見えないもんな。

あ、キャバクラで着れば良いかもしれない。ロリキャバ。

うん、変態臭ハンパない。ついでに犯罪臭も。


「良いけど、俺センスとかないよ?」


いちようそう最初に言っておく。実際に俺はファッションのセンスはクソな位だ。

元の世界では私服かんか白いシャツの真ん中に「命!」とか「生きてる」とか文字が書いてある謎の用途不明の服ばっかり着ていた。

休日にその服で先輩と遊んだ事があるのだが、あの時ほど先輩から哀れむ目で見られた事はない。

俺的には大真面目だったのだが・・・


「大丈夫です!わたしもセンスないですし!」


それは無いと思う。

俺は本気でそう思った。

まぁ後悔しないならそれでも良いか。特に断る理由はない。


「わかった。俺で良いなら選ぶよ」


「わぁ、ありがとうございます!」


俺が頷くとフレキちゃんは満面の笑みを浮かべた。

フレキちゃんは俺の手を握ると、子供用の服コーナーに俺を引っ張っていく。俺はそれに抵抗せずに歩幅を会わせた。


目に映るのは手を繋いでる自分より小さな背。それを見るとなんだか妹ができた気分になる。


そう背を見て俺は思う。

この子は俺に懐きすぎじゃないか?ということだ。

なんせ俺と彼女はまだ会ってから一日少ししか経ってないのだ。


疑問に思うのんだけど、いくら助けたといえ、この数時間で懐くものなのだろうか?


俺だってフレキちゃんが俺の所にいると言った時も多少の警戒はしてくると思ってた。

なのにだ、フレキちゃんは警戒するどころか俺に自分の全てをさらけ出している。

まるで、長年一緒にいるような感覚に囚われた。

演技・・・はないか、これで演技だったら俺は軽く人間不信になる。


なんでだ?なんでこうも俺は納得できない?

いやそうじゃない。

俺から見てフレキちゃんが・・・異常に見えるんだ。

何だかフレキちゃんが強く"幸せ"を欲求し過ぎてる気がする。

僅かな精神のズレ。俺はそれを指摘することは・・・出来ない。


「カイハラさん?」


フレキちゃんが俺の方へ振り向き、首を傾げながらそう言ってきた。

そこで俺はハッとする。どうやらいつの間にか足を止めていたらしい。

考え出すと止まらないのは俺の悪い癖だ。


「あぁ、ごめん。気に入った服はあった?」


「あ、はい!これ似合いますか?」


フレキちゃんが自分の胴体に服を貼って似合うかどうか聞いてくる。

フレキちゃんが選んだのは黒いフード付きの長袖の服だ。

ただ少しサイズが大きいのか、多分着ると少しブカブカになるかもしれない。

あ、でも例えるなら、その服にマントでも付けたら魔法使いみたいな感じになりそうだ。着れば紫の髪だし、黒と似合うと思う。


「うん。いいと思う。」


「じゃこれにします!」


早ーよ!少し考える仕草とか間を入れようぜ。

確かに似合うとは言ったが、可愛いかどうかは別だ。

この服、裾も長いから白衣みたくなるし、よく見るとフードの部分にも獣牙族用か、獣耳用らしい尖ってるところが見られたりと、色々特徴はあるが、基本真っ黒の味気のない服だ。

女の子なんだからもうちょっと可愛い服とか選らんだりとした方が良いと思うんだけどなぁ・・・


「それでいいの?」


「はい!これが良いですっ!」


俺が聞くとフレキちゃんはニコッと笑って答える。

むぅ、本人が満足しているなら、それに越した事はないか。

フレキちゃんのほんわかとした笑顔に俺は何も言えなくなってしまった。

結局フレキちゃんはこの服を買って、俺はYシャツを数枚、相羽君はTシャツや上着を買って解散となった。



あ、そう言えば俺鎖帷子を買うのすっかり忘れてた。

・・・・まぁいいか。




ファッションとか意味がわからんので今回難しかったです。

あの服なんて名前だったんだろ?

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