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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
第二章『それぞれの命』
13/47

呪い

デットスネークの素材と死骸丸ごとを乗せた荷車を押す

俺達の乗ってた馬車のように荷車は移動を続ける


荷物は回復ポーションや他の狩りグッズを含めて体長15メートル以上にもなるデットスネーク丸ごとがこの荷車の上で運ばれている。

重量もそれなりに重いかと思ったら生活必需シリーズの中にある「タフネススキル」を使うことでスムーズに動かす事ができた。何だかんだでスキルは便利だ。

それに荷車には車輪がしっかりと車体を動かしてくれるので重さ関係なく舗装されてない道でも荷車を動かすことができた。スキルと車輪すげぇ


荷車の動かす時の配置は、俺が荷車を前から引いて相羽君が荷車の後ろから押すという方法で荷車を動かすことにした。


荷車の移動の際、後ろからも力が加わり樹海からは意外と早く抜ける事ができた。


まぁもうすぐもう夜だけどさ・・・


俺はもうすぐ沈む夕日を見て心の中でそう呟く


辺りが大分(だいぶ)暗くなってきた。俺は狩りスキルを発動させて夜目を使う、完全には辺りを把握できないけどあるかないかでいうとあった方がいい。

松明を使えば良いのだろうがそんなもの付けても少し先、判型3メートルくらいしか辺りが見えないし、荷物を運びながら松明を使うなんてモンスターや盗賊に「ここにいますよー!」とメッセージを送っているようなものだ。

それなら赤外線ライトのように見える夜目を使って歩いた方が安全だと俺達は判断した。


ファンタジーの世界だからこういう夜道とか盗賊に襲われるんじゃないかと少しビビる。あれ?これフラグじゃない?

と思ったがそれが発動する事が無かった


その理由が相羽君が狂戦士(バーサーカー)の「溜め」を使って周囲に殺気をまき散らしてるからだ。

モンスターや盗賊が見たら多分鬼でも出たんじゃないかと思って逃げ出すだろう。

案外、相羽君の狂戦士(バーサーカー)は護衛用に向いてるんじゃないだろうか・・・



そうやって樹海からちゃんと舗装されてる道を通って約一時間、俺達はアル村に到着した。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「あ!カイハラさん!アイバさん!」

村の入り口に到着するとスーオさんの娘のスリフちゃんが松明を持ちながら出迎えてくれた。

あれぇ?1人で待ってたの?


「うぃ~っす」

「ただいま戻りました~」

だが俺はそこまで元気に返答できずに気の抜けた返事をした。しっかり者の相羽君も語尾が不抜けている返事をする。

流石にタフネススキルを使っていても疲労から脱することなどできるはずがない。何10キロも歩いて、しかも大荷物を運びながら来たんだ

デットスネークとはまた別の意味で疲れが貯まっていた


やっと村について安心した俺達は疲れた身体を休ませたそうに地面に座った。

そんな俺達の様子をスリフちゃんはクススと笑った。


「お二人共無事でよかったです」

そう言ってスリフちゃんは座り込んだ俺達と視線を合わせるように膝を曲げた。

松明のお陰で夜目を使わなくても表情が見える

その顔は子供らしい笑顔だった。


「ありがとさん、しっかしマジで疲れたぁ~」

ロリっ子の笑顔を堪能した俺は両手を上げて背中から地面に倒れて寝っ転がる、それを見てまたスリフちゃんはおかしそうに笑った。


「みんなー!!お二人とも帰ってきましたよー!」

スリフちゃんは出来るだけ大声で村の中央へと大声で呼びかけた。すると「おぉー!」「無事でしかたぁ!」との声が聞こえてきた


そして荷車を運ぶのを手伝おうとしたのか、小さな体のスリフちゃんは荷車に向かった

・・・のだが乗ってある荷物に驚く


「こっこれがデットスネークですか!?こんな怪物を倒したんですか!?」


俺達に顔を向けて驚いた声を出していたスリフちゃんだけど、しっかり目は巨大なデットスネークの死骸に釘付けになっている

倒したっちゃ倒したけどさ・・・


「相羽君のスキルでギリギリ勝てたよ、そのデットスネークは規格外の大きさらしいけどね」

「灰原さんだって銅の剣でぶっ刺してたじゃないですか、それに灰原さんの「フラグ」のお陰で僕も「狂戦士(バーサーカー)」が使えたんですよ」


相羽君を誉めると誉め返された。

確かに無事フラグ使えたけどさ、それ結果論じゃん、ヤタガラスの加護無かったら死んでたよ俺?


そんな俺達を見てスリフちゃんは「す、凄いです・・・」と無邪気に驚いて感心していた

きっと彼女の頭の中では絵本の勇者みたいに勇敢に立ち向かってる俺達を想像しているのだろう

俺は今回の戦況を思い出す


奇襲→とにかく叩く→剣折れる→1人脱落→復活そして毒液かける→チートでフルボッコ。


かなりセコいしダサいな俺ら・・・

この事実は絶対に明かさないようにしよう、無理に彼女の想像を壊す理由もない、うん。


数分後、力自慢のドワーフのオッサン共によって荷車は運ばれて俺と相羽君はいつのまにか寝てしまった。





その日の朝、目を覚ますとどこかで見たような木造の天上が目に入った。

横たわっていた自分の上半身を持ち上げてウトウトする目を右手で(こす)る。

体は毛布にくるまれている、隣では相羽君が気持ちよさそうに熟睡していた。

どうやらあの後寝てしまって誰かが運んでくれたようだ。

ってことはスーオさんあたりの人が俺達を寝かしてくれたのだろうか、後でお礼を言わないとな


俺はそのまま眠たい衝動を押さえ込んで立ち上がる、隣ではまだ相羽君が寝ているが・・・

まぁ無理に起こす必要はないだろう、昨日は主力で疲れただろうし


俺は背伸びをして寝室から出る。

机にはスーオさんとスリフちゃんが座っていた

2人は俺に目を合わせるとニコッと笑った、俺もそれに笑顔で返す


スーオさんは俺に向かって無言で自分の隣の席をパンパンと叩いた、座れってことかな?

俺は一回頭を下げてから椅子に座る。


「どうぞ」


俺が座るとスリフちゃんが朝食の野菜スープとパンを渡してきてくれた。


「ありがとう」


俺がそうお礼を言うとスリフちゃんは笑う

そして俺はモクモクと朝食を食べる、うん美味い


「相羽君はまだ起きないのかな?」


いつまで経っても現れない相羽君に疑問を抱いたのかスーオさんが寝室を見ながら俺に問う

それに普通に俺は「疲れてるようなの寝かしてます」と答える。

するとスーオさんは「後で相羽君にも言っといてくれないか?」と言って話を続けた


「村長が礼を言いたいそうだ、昼頃に村長の家に向かってくれないか?」


スーオさんがそう言う、恐らく依頼達成の報酬だろうか?昨日は帰還した後すぐ寝ちゃったし。

昼過ぎにはアルフ王国に出発しなければならないだろう


「あんちゃん達のお陰でこの村は救われた、本当に・・・ありがとう!」


スーオさんに頭下げられてしまった。

俺は焦って両手を端吐(ばたつ)かせる事しかできない。確かに依頼は達成出来て結果的には村は救えたかもしれない、でもヤタガラスの加護が無ければ俺は死んだままだったし・・・てか、相羽君が居なかったら尻尾巻いて逃げてた、決してこの人達を助けようとした訳じゃない、その事実を知らない二人に罪悪感を覚える。

それに人から感謝されるのはあまり慣れてない


「ありがとうございましたカイハラさん!」


何だとスリフちゃんまで!?

やめてくださいぶっちゃけ今回の狩りで俺あんまり役に立たなかったんだからぁ!嗚呼、相羽君早く起きてぇ


「ふぁう・・・おはようございましゅ」


ナイスタイミングで相羽君が起きてきた

まだ眠いのか眠気眼(ねむけまなこ)を手で擦りながらやってくる

グッモーニング相羽君!早くヘルプミー!


「・・・どういう状況ですか・・・」


相羽君の目には今、スリフちゃんとスーオさんの2人が深々く頭を俺に向かって下げているシーンだった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



朝食を食べ終わり、荷物整理等を終わらせてたらあっという間に昼になってしまった

俺は荷物整理の時点で昼時に、村長に会いに行くと相羽君に伝えておいた


俺達はそのまま村長の自宅へと向かい、村長と対面する。

相変わらずの小人のオッサン姿、グリム童話の白雪姫からそのまま出たようだ。

ドワーフって女性は大人でもロリなのに男の人はショタじゃないんだな、理不尽な生態である。


「これが今回の報酬じゃ、デットスネークが特殊個体であった為、難易度に見合った金額に変更、さらに我々の調査報告が完璧ではなかったのも含めて慰謝料として追加しておいた。金額は60000Gだ。」


村長さんはスーパーのビニール袋サイズの袋を俺達に渡してくれる。中にはギッシリとコインが入っていた、一枚100Gだからかなりの量が入っているぞ?

さ、6万円て・・・2500Gから大分跳ね上がったぞ?いいのこんなに貰っちゃって?相方がチートでなぶり殺しただけなのに?


それを聞くと村長は頷く。1000Gあれば一週間は普通に暮らせる額だよこの世界・・・日本の価値にしたら一体いくらになるんだよ、怖くて計算できない。


「それと、これもお渡ししておきたい」


村長は懐から紅い液体のポーションを一緒に渡してきた。

少し黒掛かっていてドロドロとガラス瓶の中で混ざり合っている、例えるなら噴火中のマグマだ。

マッドサイエンティストが好きそうな外見だ

俺?ぶっちゃけいらない。


不気味すぎる外見、それでも相羽君は村長さんに

「・・・これは?」と戸惑い気味に答えたいい子

村長さんは目を閉じ、真剣な雰囲気で返答する


村長さん曰く、このポーションはこのアル村が誕生してから存在する謎のポーションらしい、鑑定士に鑑定させても正体がわからない。

捨ててしまえば良いのだろうが、どうも捨てられない理由がちゃんとあるとのこと。


それは鑑定士がポーションを鑑定したとき、たった一つだけ情報がわかったらしい、その情報とは


《本来の生物の性質が全く異なる魔物が現れた時、覚醒スキルを持たぬ討伐せし者に与えよ。》


と置き書きがポーションのステータスの中に入っていた。


性質が異なる・・・恐らく突然変異のことだろう

そしてそれを討伐して覚醒スキルを持たない者にこれを所有する権利が与えられる・・・ってか?


   《フラグ発動》


おいバカスキルやめろ。絶対飲まねぇからな。


「その生物は・・・デットスネークでしょうね、そして覚醒スキルを持たないって・・・」


相羽君がそう呟くとこっちを見る。

すると村長や村長の家の外にいる野次馬村人までもが俺を全方位から眺める。

おいやめろこっち見るな!!オイヤメロッナニオスル!!


「・・・灰原さん、飲んでみては?」

「ぜってぇ飲まねぇからなそんな得体のしれねぇ薬品なんかっ!!」


相羽君のチャレンジャー精神に火がついた模様です、俺を実験台にしないでください。


「しかし、我らの言い伝えで、これに当てはまるのはあなた様しかいないので・・・」

「ぶっちゃけ俺デットスネーク倒してないからね!?盾でぶん殴った記憶しかねぇよ!!倒したのは相羽君っ!」

「何を言ってるんですか、あの時デットスネークに勇敢に立ち向かい、奴の腹を八つ裂きにしたじゃないですか」


相羽君余計な事言うな!!


既に周りからは「飲ーめ、飲ーめ」という雰囲気が完成されている。

メンタルの弱い俺はそれに押しつぶされそうになってしまう、くぅ!なんでそんな怪しい液体なんか・・・っ!!


とその時、相羽君は俺の耳元に口をあて、小声でこう言ってくる

「(大丈夫ですって、どうせ死んでも生き返れますし)」


そう言われると断る理由がねぇよ・・・

相羽君どんけこんなノリ好きなの?今後は気をつけよう


俺はこの空気から何とか脱する為に辺りを見回す、すると偶然外にいるスリフちゃんと窓越しで目が合った。

その目は・・・期待に満ちあふれていた


わかったよ・・・俺も男だ、どうせ生き返れるんだ・・・やりゃ良いんだろやれば!!

俺は村長からポーションを殴るように取ると、ビールを一気飲みするかのようにポーションを飲み干す。

感想は、味がない。空気を液体にして飲み込んだ感じだ。

特になんの変化も起きないので俺は少し呆然としていた。

その様子を見て心配になったのか、相羽君が話かけてくる


「灰原さん・・・どうでしたか?」


聞いているのは恐らく飲んだ感想。しかし自身に何もおこってないので言いようがない、拍子抜けである。


「う~ん、特に何も感じなかったなぁ」

「そうなんですか?・・・そうだ、ステータスを見て見ましょうよ、何か変化があるかもしれません。」

「あぁなるほど」


俺は相羽君のアドバイスに従って画面を開いた

そこに印されていた俺のステータスは・・・



名前

《リョウ・カイハラ》


力・120+50「銅の剣」

耐・130+60「革の鎧」

賢・50

速・40


冒険者レベル1

スキル

「ヤタガラスの加護」

「生活必需シリーズ」

「覚醒スキル・龍皇の血呪(ジークフリート)

「フラグ」



わぁいステータス少し上がってるぅデットスネークの戦いは無駄じゃ無かったみたいだねぇ「賢」が一つも上がってないけどな!でもこのまま頑張ればステータスも上がるんじゃないのかい?


そして喜ばしい事に覚醒スキルも無事開墾してる!

やったぁ!これで俺も強くなれるぞぉ

あはははは・・・

HAHAHAHA・・・



俺は今日から呪われました。

主人公に呪いをかけました

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