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ノンストップ・オフライン  作者: ケモナー@作者
止まらない固有空間《ノンストップ・オフライン》
1/47

召喚。

カップラーメン美味しい。

 『お前たちは地球には帰れない!ここで新たな文明を築いてもらう』


 塗りつぶしたように黒い羽を羽ばたかせ、三本足の(カラス)が俺たちにそう宣言した。

 自分達(にんげん)は、奴にとってのゲームの駒でしかないのか?そもそも奴に生き物として認識されているのか?

 ただ一つ言える事が・・・そこに情はないということだ。

 中性的な声に恐怖心が煽られる。


 『どの次元(サーバー)にも接続できない。この世界は完全なる固有空間(オフライン)だ。まぁせいぜい死なないように頑張れヨ』


 俺達の意志を聞きもしないその理不尽な言葉は、俺たちの心をへし折るには十分だった。

 元の世界に帰れない、この完全に独断によって決定したルールは何の為に作られたのだろうか。

 なんの希望も持ち合わせてはいない異世界へと放り込まれた俺たち人間は、この理不尽な世界で生きていかねばないないのだ。


 夢だと思いたい。でも夢だと思っても覚める様子はない

 台風の目のように空中に放たれる同族の罵倒と暴言は匂いが感じられた、酷く醜い匂いだ。


 そしてこのバカげたゲームが現実だと再認識されると、途端に全身から力が抜けた。

 今自分が立ってられるのが不思議なくらいだ。あたりを見渡すと尻餅をついて倒れてる人が何人か見られた。

 それを見ても何も思わない。自分でも怒りを覚えてるのか放心しているのかわからない。

 ただ様々な感情がミキサーの中に放り込まれたように混ざり合ったような、なんとも言えない感覚が全身を襲いはじめるのは自覚できた。


 なんでだよ・・・どうしてこんなことに・・・?



 悪夢の始まりは、(とき)を数時間前に遡る。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




「・・・いってきまーす」


 電車の定期券が入った財布を手に俺こと、灰原(かいはら)(りょう)は玄関のドアを開けた。

 ガチャッと聞き慣れた音がドアの音が耳に届くとドアによって閉ざされていた太陽の光が全身を覆ってきた。


 眩しいなと思っていると、廊下の奥からは母さんの「いってらっしゃーい」という明るい声が聞こえてくる。

 俺の気怠げな挨拶に対してよくもまぁ律儀に毎日も反応できるもんだ。

 母さんにとって高校生の俺はまだ子供なのだろう。

 だからと言って、別に悔しくはないし苛立つ事もない。そう納得できるだけの存在感を母さんは持っているからだ。

 まあ『母は強し』って言葉があるくらいだし、子供にとって母親とは大きい存在なのかもしれない。

 そう勝手に納得して、いつも通りの声を聞き届けてから俺は玄関のドアを閉めた。


 外に出たと同時に改めて早朝の暖かい光が体に染み渡り、体内時計がセットされていくのを感じる事ができる。本当の意味で意識が目覚めてきたのだ。

 いやぁ太陽の光ってすごいね。「ゾンビみたい」と言われた俺にも暖かい恩恵を与えてくれるのだから。


 早く起きると清々しい気分になるのだと、この時学んだのである。普段は寝過ごしてます、はい。

 すこしまだ肌寒い朝でも、小鳥のチュンチュンと鳴く可愛いらしい鳴き声が今の雰囲気によく混ざり合う。スパイスみたいだ。

 陰険とよく言われる俺でも鼻歌を歌いだしてしまいそうな気分になる。

 まぁ、歌わないけど。


 まぁそう思ってしまうのも、今日はいつもより一時間早く起きることができたからである。

 別に早く登校したからって深い理由はない。ただただ早起きしたからその分早めに学校へ向かおうとしただけだ。


 無理はしてない。昨日はいつもより早く寝たお陰か、体の調子はとても良い。

 なにかいいことが起こるかもしれないと、柄にもなくそう思ってしまうくらいだった。


 そんな有頂天に踊らせれているのも(つか)()、俺はこのあとこの時の自分を呪うことになるのを知らなかったのである。



「マジかよ・・・」


 淡々と、そして切実に俺はそう呟いた。

 学校指定の革靴で見慣れた通学路を歩いていくと早く家を出れたにも関わらず、部活に向かう生徒やら電車に乗るであろうサラリーマンやらが歩行者用の道を埋め尽くしていた。


 例えるならテレビニュースでよく見るデモ隊のようだ。


 ぶっちゃけるよ。なんじゃねこの人数。全く予想外である。

 一時間早く出ただけで普段の倍の人数なのだ。あまりの人の混雑に若干の目眩を感じた。


 なぜだ・・・俺が何をしたというんだ・・・あれか、気分がハイになってるところが、あれはフラグだったの?そうなの?


 誰も俺の幸せを認めてくれないのか、もしこの世界が物語で作者が居るなら跳び蹴りかましたい気分だ。


(てへっ(゜∀゜ゞ))


 あ、ちょっと今の無し。

 あまりに理解不能な場面におかしな自己解釈をしてしまった。

 まぁいいか、しっかしなんということだ・・・

 せっかく早く出発できたのにこれならいつもの時間の方が空いてるじゃん。と、心の中でそう思う。

 いつもはこんなに人はいない。寧ろ殺風景な道路でしかないのに。


 今思えば、いつも人がいないのは他の人より俺が遅く来てるだけだったんだな。と解析できた。

 俺は今更意気揚々としていた自分を呪う。孔明の罠か。


 電車に乗ったら確実に満員電車になるだろう。モヤシの俺には到底耐えられそうにない。だが家に引き返そうにも、俺の後ろからホラー映画のゾンビ並みの大人数の波が押し寄せてくる。

 いやん、ちょっと怖いわ。


(これはアカンやつだろ・・・)


 激しい人間臭が暑苦しい。

 よし、別の事を考えよう。面白いことだ面白いこと、出来るだけベタなやつ。

 溜まった鬱憤を晴らすため、俺は頭の中で妄想することにした。


(この人の数、ここで爆弾を設置して爆破させればギャグマンガみたいな事態に陥るだろうな・・・)


 ダイナマイトでも置いて人がボーリングのピンのように吹き飛んでいるのを想像してみる。

 駄目だ、ちょっと笑っちゃった。

 俺の脳裏には不謹慎ながらも、某空中の城アニメのとある名シーンを思い浮かべていた。


 フッまるで人がゴミのようだ。

そんな時、予想もしなかった人物の呼ぶ声が俺の脳に届いた。


「あれ?涼君じゃない?」


 不意打ちに聞こえてきた無邪気そうな女性の声が聞こえてきた瞬間、俺の肩が反射的に勢いよくビクンと揺れた。

 え!?もしかして!?と、焦って声の方へ振り向くと、黒髪をポニーテールに纏めた美人さんがカバンを手にこちらを見ていた。


 その顔は・・・だめだ見覚えがありすぎる。

 本日最大のピンチにいやな冷や汗が頬を流れた。

 シカトをして逃げたそうとしたが、彼女が俺の存在を完全に理解したのか、再び声をかけてきて逃がしてくれなかった。ちっ


「やっぱり涼君だ〜、珍しいねこんなに早く?」


「・・・俺が早くいるとなんかマズイんスか先輩」


 逃げるのを諦めた俺が嫌み気味にそう言うと先輩は「そんなことはないよ〜」とほのぼのと返答してきた


(先輩・・・ぜってー俺の嫌み声理解してないな)


彼女は俺の通ってる高校の先輩である。

名前はまだない。


嘘です冗談です。そんな事言ったらチョップ喰らわせられる

ちゃんと紹介すると、この人は剣道部部長の華方(はなかた)藍衣(あい)、17才。

つまるところ俺の先輩なのだ。


この人と俺は中学の頃からの付き合いで、何故か先輩が妙に絡んでくる。

周りからはリア充とドヤされたり冷ややかされたが、俺と先輩はそんな関係ではなく、俺「弟」先輩「姉」という謎の暗黙の関係が形成されていたのだ。


それを話すと周りは妬みの目から哀れむような目へと姿を変えた。

あの時は本当に先輩に対して「ヤメテくれ・・・」と感じていたものだ。反抗期を舐めてはいけない。


そんな俺達の中学の頃、先輩は剣道部、俺は帰宅部であったが為に、先輩からは毎日「剣道部に入れー」と追い掛け回され、俺は俺で「高校に入ったらやりますから」と言って逃げ回っていたのは日常と化していた。

その結果、今日までなんとか生き延びてきた。


元々運動オンチであったが為に運動部には絶対に入りたくなかった俺には困った先輩だった。

まぁ俺がこんな後輩だから先輩も相当頭のネジが緩んだ人なのだろう。


ちなみに先輩は高校に進学したあと、音速で剣道部に入部して神速で部員を試合でなぎ倒し2年生で部長に成り上がったバケモノである。


同じ高校に進学した俺は、入学初日に先輩の配下の者共(先輩は美人だったので配下は男部員ばっかり)に連行されて強制的に入部させられた。

さらに驚くことに、いや、どちらかと言うと呆れたことに、先行されて部室に入るとなぜか先輩が女子部員のハーレムを作っていて、男部員はまるで軍隊のように並び立っていた。



「涼君、なんかハーレムできちゃった。すごくない?ラノベみたい」


「なにやってんスか先輩・・・」


という具合である。男子からモテてるのは知っていだが・・・まさか同性からも・・・


恐ろしい先輩である。


そしてなんだかんだで練習に参加させられたのだが、マラソンでは走ってはバテて、走ってはバテての繰り返しで部員に付いていけずに足手まとい。

素振りでは竹刀を振り下ろすとなぜか自分の足にダメージを与えるという俺の謎の「運動音痴バットステータス」が見事に発動してくれたわけだ。


女子部員からは白い目で見られ、男子部員は部長と仲の良い俺を羨む目から「なぜこんな雑魚が部長なんかに・・・」という殺意の目に変わっていった。


結局、退部届けを出したのだが、その時先輩を泣かせてしまい(「にゅわーっ!」と謎の悲鳴を発しながら何処かへ走り去った。)、その日は殺人鬼と化した部員達に追われることになったのだ。


まぁそもそも先輩に運動音痴だったことを伝えてないで尚且つ「高校には入る」などと指切りげんまんをした俺が悪いのだが・・・・

そんな2ヶ月前の出来事も今はいい思い出です嘘ですすいません今もナウ進行形でトラウマ気味です。未だに部員に会うと追われます。ごめんなさい。





そんなことがあったのに次の日から先輩はケロッとしており俺の大罪はウヤムヤになった。

そのときは「吹っ切れ&立ち直り早すぎだろ」と絶句したものだ。

俺の逃走劇は一体・・・

この人の精神状態には呆れることばかりである


そんな回想をしていると、先輩は俺の隣まで歩いてきて頭をワシワシと力強く撫でてきた。

いきなりこれをしてくるのだ。先輩じゃなきゃぶっ飛ばしていた。

ぶっ飛ばすほど筋力ないけど。


「おぉー、よしよし〜」


何がよしよしだペットかワッチは。


「いや、何スか」


「へ?久しぶりに会ったから弟とのささやかなスキンシップ」


「弟じゃねぇぇぇぇ!」


「ちょっ、こんな所で大声出しちゃダメでしょ涼君すいませんウチの弟が」


ツッコミを入れると先輩は周りにペコペコ謝り始めた。いや原因作ったのアンタだからね!?

あんたどんだけ俺の姉を演じたいんだよ。

でも、確かに最近遭っていな・・・いや会っていないのは事実だ。


何しろ先輩は夜まで部活、俺は帰宅部で委員会がない限り直ぐに帰ってしまうのだ。

朝の登校も先輩は朝練習で早起きでも俺はギリギリまで寝ている。


というわけでここ1ヶ月ほど会っていない 。

しかし、先輩が寂しがるとは思えない。

大方俺を弄り倒したいだけだろう。


俺が朝早く疲れたようなため息を吐くとゴミを焦っているカラスと目が合った。

カラスは「ざまぁねぇな」とでも言いたげにカァ!と一声鳴いていた。

うっせーばーかっ


「それよりも、さっきの何ニヤニヤ笑ってたの?」


カラスに睨み返していると先輩が突然視界に入ってきた。

どうやら素早い動きで俺の視界に進入したようだ。

女性耐性の無い俺のチキンハートは、それに対して一気にビビる。

童顔の歳不釣り合いな顔はニッコリとした、いやどちらかというとニヤっとした表情を作っているのだが、やはり顔が良いせいだろう。その気がなくてもドギマギしてしまう。

メンタルの弱い俺は精神的ダイレクトダメージをそのまま受けてしまった。


(そのっ上目はっぐぬぅぅ)


ひまわりのような天然の先輩の笑顔に、俺は自分の顔が引きつるのを感じた。


「な、何スか?わ、笑ってた?」


知らん振りしようとしたが思わずドモってしまった。

先輩の言う笑ってたのは、恐らく先ほどの「人がゴミのようだ」の部分だろう。

確かに笑った。うん。

なんせ俺のツボは驚くほど浅いからな。


「あ、もしかしてやましい事考えてた~?」


何やら勘違いしている先輩はニヤケながらそんな事言ってくる。

断じて違う。あれはラピ○タを思い出してただけだ。

事故解釈がオカシい疑いがある先輩の誤解はなんとしても解いておきたかった。


「ちがうっスよ!?」


俺は声を張って否定した。

なんか逆に嘘くささが倍増してる気が・・・その証拠に先輩のニヤケがさらにニヤニヤ度が増す。

これは・・・拙い。

非常に拙い。


「あ、もしかして痴漢とかぁ?えっちぃ妄想?涼君年頃だもんねぇ」


「誰が痴漢なんかするかぁ!!!妄想もしてねぇ!」


や、やばい、つい怒鳴っちまった・・・

だ、だってこの先輩濡れ衣着せるんだもん

やめて、周りの皆さんそんな目で見ないでっ!


「あ、すいません、悪ふざけがすぎただけでこの子は痴漢してませんよ~」


顔を真っ赤にして戸惑っていた俺に満足したのか、先輩が弁護してくれた。

正直に言おう。

ぜんっぜん、うれしくねぇ


周りの反応を見てみると、疑惑をかけられていた俺を見て同情していたサラリーマンの人達はホッとした顔をしていた。

しかし、対照的に女性の方々は無表情で携帯をバックや鞄に戻している。

あれ?通報寸前?

え?したの?してないの?ねぇどっち!?


「いやぁ、久しぶりに楽しませてもらったよぉ」


先輩の顔を見るとツヤツヤの肌が潤っている。

この人は・・・っ!!


はぁ、もういいや。この人は諦めが肝心だって中学で学んだじゃないか。

俺と先輩はその後も他愛もない会話をしながら駅へと向かっていた。



背後でバサバサと羽ばたいていくカラスに気付かないまま━━━━。







「嘘だろおい」


「あちゃ~・・・。」


駅までたどり着いたのだが、満員電車で入りきれなくなった。

次の電車まで30分後らしい。

しかも駅には俺と先輩以外誰もいない。

つまり俺達だけ乗れなかったという事だ。

なんという運のなさだ。人の大軍勢然り、先輩との遭遇事件然り、どうやら俺の今朝の予感は見事に外れてしまったようだ。

もう誰も信じない。


「えっと・・・お、お喋りしてたせいですかね?何かすいません。」


「ううん、普通に間に合わなかったと思うよ?気にしないで~」


無駄話をしてしまった俺の謝罪に、先輩は不機嫌になるわけでもなくそう言った。

先輩はあまり人を責めない人なのだ。人をいじったりするけど。特に俺。


「それにこの時間いっつも満員だから乗れないのは今日に限った話じゃないから」


「そ、そうっすか。」


そう軽く話した後、俺と先輩は駅の椅子に座った。

お喋りは未だに続いているが会話は空っぽのように感じた。なんかぼーっとする。

早起きしたからって眠くない訳じゃないのか。今日の授業寝ないようにしないと・・・

あ、でも早起きしなかったら先輩と合わなかったのか。

う~ん・・・久々に合ったし、まぁいっか。


するとそこで、ふとあることが頭に浮かんできた


(そういや、思えばなんで俺は先輩に気にいられてるんだろう?)


今まで気になんかしなかったが、俺はルックスは普通だと思う。

なぜ?気に入られる理由がないと思うのだが・・・

この際聞いてみるのも良いだろうと俺は思った。


「先輩。」


「ん?何?」


先輩は俺を見て笑って返してきた。

優しそうで、少年みたいな純粋な瞳を俺に向けてくる。

そこで少し息が詰まるものの、なんとか次の声を出せた瞬間・・・


「なんで」




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 


『準備は出来ました。転移魔法は全世界に配置しました。』


『ご苦労様、ヤタガラス。人間は開発技術に長けてるからね、これで僕の世界も完成に近づいていくよ!』


『えぇ、完成はまだ300年はかかりそうですが』


『えー、そんなにー?』


『たった300年でしょう?奴らの生活や冒険見てればあっという間ですよ』


『わかったよー』


『本当ですよね?』


『はいはい。早く発動してよ』


『・・・チッ』


『え?今の何?舌打ち?』


『いえ?何も?』


『そう?』


『はい。』





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




「なんで・・・」


「涼君っ!!」


俺が質問しようとしたら先輩が大声を張って俺に怒鳴った。え?何??今勇気振り絞って出してたところなのに。


と、そこで先輩に手を捕まれる。


「せ、先輩!?」


あまりにも突然の豹変に一瞬あせるのも束の間。

俺は捕まれた手を見て絶句する。


何故か『俺の手が光っていた』のだ。


「え?何これ?サプライズ??」


「りょ、涼君!何で体が消えてくの!?」


「へ?ん?何じゃこりゃぁぁぁぁ!?」


自分の体を見ると、テレビの砂嵐のように機械的にザザザッと体が消えたり浮かんだりしている。

普通では有り得ない事態に、流石の俺も焦りを隠せないでいた。


「涼君っ!!涼君!?大丈夫!?」


「え?えぇと!こ、これが俺の力だというのかっ!?」


「涼君!!!」


「すいません」


開き直ってふざけてみると怒られた。

先輩に怒られたのは初めてだったので怯んでしまう。


「涼君。これ何!?」


「そ。そんなの俺にもわk」




次の瞬間、先輩の姿が消えて駅も消えた。

目の前に広がるのはコンクリート壁のような壁に囲まれた教室のような部屋だった。

そして、大勢の人間の塊。


「な!?なんだよ!」


「ここはどこだよ!?おい!!説明しろよ!」


「誰かぁ!!おい!ここ開けてくれぇ!!」


「助けて!誰かぁ!!」


「私にはまだ仕事があるんだぞ!?こんなくだらないことにつきあってる時間はない!」


その部屋にいるのは俺だけじゃなく、50人ほどの人数の人々が密集していた。

どれもかれも見覚えのない顔ばかりだ。思い思いの悲鳴を叫びあげていた。


「ここは・・・」


俺は唖然としてその光景を見るしかできなかった。

驚きで声もでない。

耳が痛くなりそうな悲鳴はまだ続いている

何がどうなってるんだ?と思った。

するとその時、


『うるせぇぞお前らぁ!叫ぶことしかできねぇのかっ!?』


人間ではなさそうな中性的な声が部屋に響いた。

当然の大声にその部屋にいた俺を含む全員が一点に視線を寄せる。


そこには、足が三本生えてるカラスが宙を羽ばたいていた。


何がおこるやら

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