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大日本帝国海軍兵器列伝~一式ライター出撃ス~

昭和16年十二月十八日に

米国と開戦した日本は快進撃し、

南方を容易く攻略した


そして米軍の反撃を防ぐべく

ソロモン方面へ進出したが、

ミッドウェイでの敗戦により失敗する


結果ニューギニア戦線で

一大航空消耗戦に巻き込まれて行くーーー





海軍航空隊基地



一式陸攻が10機ほどズラリと並んでいる飛行場を

一人の男が煙草を吸いながら見ていた



「ふぅ・・・」



煙草の煙を吐き出しながら、

小林(こばやし) (きよし)中尉はため息をつく



「どうかしましたか??小林中尉??」



小林がため息をついたので心配して

声をかけたのは山崎(やまさき) 広国(ひろくに)一飛曹だ



「ん??あぁ、ちょとな・・・」



そう答えて再び飛行場を見た



「だいぶこの飛行場も

寂しくなったなぁと思ってな・・・」



彼は日華事変で陸攻に乗ってから

色々な戦線に参加しており、

最近ではここラバウルで

反撃してきた米軍と死闘を繰り広げている


しかし味方には搭乗員や

機体の補給が少なく、

敵は倒しても次々に新たな部隊を

送りこんでくるので

もはやこの飛行場から部隊が

消えつつあった



「確か昨日の出撃でも未帰還が

六機もでましたよね・・・」



昨日は一式陸攻六機と護衛の零戦七機が

敵輸送船団撃滅のため出撃して行ったのだが

敵の待ち伏せにあったらしく

零戦四機、一式陸攻二機が撃墜されたのだ



「もうちょと補給があればな・・・」



そう思っていると急に

飛行場が騒がしくなり出した



「どうしたんだ??」



すると誰かが走ってくる



「中尉~、明日の搭乗員割りが出ましたよ」



そう言ったのは中田(なかた) (たけし)二飛曹

向山(むこやま) 元久(もとひさ)一飛曹で

彼らは最近配属された一式陸攻の

機銃手である



小林は駆け寄って来た中田に聞いた



「明日は誰が行くんだ??」









翌日、ソロモン諸島の蒼空に

一式陸攻四機と零戦七機が飛んでいた



「暇だなぁ~」



小林が運転している一式陸攻の

後部機銃座で中田は愚痴っている



「我慢しろ、基地からガタルカナルまで

かなり距離があるからな」



そこを機内電話で小林に叱られた


彼らはガタルカナルの

飛行場を爆撃すべく出撃した


しかし基地からガタルカナルまで

距離があり長い航続距離を誇る零戦でも

わずかな時間しか戦えないので心細い



「でも頼りになりますよ

僅かな時間でも護衛してくれるんですから」



前部機銃座にいる向山が言った



「確かにな・・・」







そしてさらに飛ぶこと数時間、

目標の島が見えてくる頃だった



「もう少しでガタルカナルか・・・」




小林が気を引き締めなおして、

ふと計器を見たら背筋がゾクっとした



「み、右の発動機の油圧が落ちている!!

中田、確認しろ!!」



「プロペラが止まりかけています!!」



中田からの報告に機内はてんやわんやの

大騒ぎになる



「お、落ちるぞ!!」



「かぁ~ちゃ~ん」



「そう簡単に一式陸攻が

落ちるわけないだろ馬鹿ども!!」



そしてそうこうしていると

何時の間にか編隊から外れてしまった



「中尉、編隊指揮官から外れるな、

との事です!!」



「黙ってろ、と伝えとけ!!」



そして何とか再びプロペラが回りはじめた



「な、直ったか」



しかし完全に編隊から外れてしまった



「外れちゃいましたね・・・」



「大丈夫だろうか・・・」



そう思っていると横に何かがきた



「零戦が二機、

残ってくれたようです・・・」



隣にいる山崎が安心したのか

疲れた様に言った



「今頃味方はどうしてるんだろうか・・・」



今頃遅れていなければ、爆撃していた頃だ

しかもこれだけ遅れていると

敵が防備を固めているところに

突っ込むことになる


小林はそう思うと、緊張してきた



「中尉、見えてきました!!」



そう言われ目の前をみると

目標のガタルカナル島が見えた


その島の上空はさかんに光っており、

味方が爆撃を始めたことがわかる


やがてガタルカナル島上空に来ると

高射砲の砲弾が周りで炸裂した



「照準どうだ!?」



「目標よーそろ!!」



その報告を聞いた小林は叫んだ



「てっ!!」



爆弾倉が開き爆弾が次々に落ちて行く



「戦果報告!」



「飛行場に多数命中した模様!!」



「よし逃げるぞ!!」



そして旋回したその時、



「零戦が増槽を落としました!!」



思わず見上げると三機の特徴的な翼を持った

航空機が急降下してきた



「コルセアか!!」



刹那、零戦一機が火を吹いて落ちて行った

いつも通りの一撃離脱だ



「零戦一機、撃墜されました!!」



「そんなことよりさっさと撃ちまくれ!!」



一式陸攻が装備している多数の機銃が

火を吹いた


しかし戦闘機動をとっている戦闘機に

簡単には当たるはずがなく、

たちまち距離を縮められる



「敵戦闘機、一機きます!!」



すると機体はガガガッ、と揺れた



「ひ、被弾しました!!」



「発動機は大丈夫か!?」



一式陸攻にはインテグラルタンクという

燃料タンクの構造を採用しており、

一応前後桁と燃料タンク側面に

防弾ゴムが付けられているものの

これでは不十分であり、簡単に火を吹く


あまりに簡単に火を吹くので一式陸攻には

"ワンショットライター"という

不名誉なあだ名がついているほどだ


なので小林が思わずエンジンへの

被弾を心配したのも無理はない



「両翼ともに燃えておりません!!」



その報告に小林は安堵した

しかしこのままでは撃墜されるのは確実だ



「零戦はどこにいる!!」



「み、右にいます!」



隣で小林をさっきから必死に補佐している

山崎に言われ右に向いた


そこでは零戦とコルセアが

一騎打ちをしていた

一式陸攻に来たのは一機だけなので

二機を相手取り一機撃墜した零戦乗りの

腕はすごいと思う


そしてその一騎打ちはもう少し時間が

かかりそうだった

それまでは待っていられない



「どうする・・・どうする・・・」



小林は左へ右へと逃げ回りながら

この状況を打破する方法を考えている



「・・・そうだ!!」



「どうしました!!何かいい方法でも!!」



山崎は思わず聞いた



「ちょとみんな我慢しろ・・・

向山!!俺が撃てといったら撃ちまくれ!」



「え、りょ、了解!!」



そして小林は操縦桿を力の限り引く



「ぬぉぉぉぉ!!」



それを追うようにコルセアも来た

しかし陸攻が進む方向の先にーーー



「ぐえ、眩しい!!」



山崎が太陽を見て

悶え苦しんでいるのをよそに

小林は何かに集中している



「米兵ども、見てろ・・・」



小林が呟くと突然天井と床が逆さまになった



「えぇ!!陸攻で巴戦!!」



そして陸攻は瞬く間に

コルセアの後ろにつく



「今だ!!てっ!!」



合図と共に7.7mm機銃弾が飛んだ


コルセアは何がおきたかわからず、

そのまま弾を多数浴びたからたまらない


そしてコルセアは煙を吹いて落ちて行った



「やったぞ!!」



「し、死ぬかと思いました・・・」



すると空戦を終えた零戦が

横に来て翼を降ってきた



「零戦乗りも今の見て

驚いていたでしょうね」



「あぁ・・・」



そして小林は一式陸攻の機首を

基地に向けた



帰投途中には夕日が美しく沈んでいく

これからの苦難の道を示すかのように・・・

どうも横山上等兵です。

今回登場した兵器は帝国海軍の

"一式陸上攻撃機"です。

一式陸上攻撃機は1941年4月に採用され、

対米戦全期間に渡って使用されました。

一式陸上攻撃機は4000km以上の航続距離を

誇りましたがその分被弾すると

簡単に燃えて撃墜されてしまうため

「一式ライター」とあだ名されました。

しかし運動性能はなかなか軽快だったそうで

大型機とは思えないほどの

軽快な動きができたそうです。


次回は最近新作を執筆しているため、

遅くなるかもしれませんが、

よろしくお願いします。

それではまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしています

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