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大日本帝国海軍兵器列伝~斜銃の零~

今回はこの小説で始めての

帝国海軍の兵器の物語です。

それではどうぞ!!

1945年四月になると、

鉄壁の防御を誇ったはずの

大日本帝国の帝都"東京"にも

B29が襲来し焦土に変わりつつあった

なぜなら米軍は容赦なく

焼夷弾を次々に落として行くからである


しかしそれを大日本帝国陸海軍の

航空隊が黙って見逃すはずがなく、

敵を撃滅すべく出撃していった






ヴヴヴヴ!!というサイレンと共に、

夜の静寂が破られる


音と一緒に闇夜が

いくつもの光の筋に照らされ、

光の筋の先には四つのプロペラを付けた

銀色に光る物体が飛んでいた


それを追うかのように一機の双発機が

闇夜を切り裂くように飛んで行くーーー






「畜生!!」



大日本帝国海軍の誇る夜間戦闘機 月光に

乗っている宮田(みやだ) 重蔵(じゅうぞう)は彼は眼下の街を見てそう叫んだ


宮田はニューギニア戦線で

零戦乗りとして活躍しており、

あのB24なども撃墜した人物である


彼はその戦歴を軍上層部に買われて

本土防空の部隊に転属してきたのだ


街は今"超空の要塞"と呼ばれている

B29の爆撃を受けており

街は至る所から火の手が上がって

大惨事になっていた



「中尉!!前方にB29が飛行中!!」



航法士である渡辺(わたなべ) 隆弘(たかひろ)が言う


渡辺は宮田が本土に来た時、

零戦から月光への機種改編の際に知り合い、

いまでは旧知の仲のように仲が良かった



「絶対アメ公を撃墜する!!行くぞ!!」



そう怒鳴りB29の下部の爆弾倉に

月光が装備している20mm弾を

叩き込むべく接近する


もちろんそれを米兵が

黙ってみているはずがなく

容赦なくB29から機銃弾を撃ってきた


ときおり弾が当たったのか、

機体が揺れる



「大丈夫か!!」



「はいっ!」



その時だった


ガガン!!という音と共に

風防ガラスが突然割れたのだ



「うわっ!!」



思わず腕で顔を隠す

そして後ろにいる渡辺の安否を確認すべく

声をかけたが・・・



「おい!!だいじょ・・・・」



そう言い振り返るとそこには

頭の右上が吹き飛んでいる渡辺がいた



「・・・お、おい!!しっかりしろ!!」



そう呼びかけるが返事はなかった



「くそっくそっくそっ!!!!!!」



彼はそのまま操縦桿を握りしめ

B29へ機首を向けた



「貴様も道ずれだ!!」



すごい弾幕をくぐり抜けていくと

B29の機首に何かの絵が見えるほど

接近した


しかし突然プスップスッと音がし、

横をみるとプロペラの回転が

遅くなっている



「ここでエンジンがいかれたのかよ!!」



なんとかしようとしていると、

みるみるうちに、B29と距離が離れて行き

たちまち追いつけなくなった


そして彼はただ一言叫ぶ



「チキショォォォォ!!!!!」







軍病院ーーー


彼はあの戦闘で気づいていなかったのだが

胸に大きなガラスの破片が

刺さっていたため軍病院にもう数週間いた


といっても胸の傷はもう癒えており、

退院できるのだが渡辺の事を引きずって

いるため、体調不良という事でここにいる


彼はそこで飛行場をただずっと見ていた



「渡辺・・・」



あの後エンジンがなんとか直って

そのまま基地へと戻り、

医者に渡辺を見せたが助からなかった



「絶対仇をとってやる・・・」



宮田はあの夜のことを思い出す

機首に書かれたあの絵ーーー

今でははっきりと何の絵だったかが分かる


書いてあったのは髑髏(どくろ)



髑髏(どくろ)か・・・」



するとふいにコンコン、とドアを

叩く音がしたので「どうぞ」という


ドアを開けて入ってきたのは

この基地の司令官である松本(まつもと) 達也(たつや)大佐だ



「松本閣下!!どうなされました!!」



いきなり基地の司令官が来たので、

慌てて敬礼をする



「元気そうだな」



そこで松本は少し間を置いてから口を開いた



「宮田のことをまだ引きずって

おるのか??」



「・・・」



「なんじゃ、だんまりするか

まぁいい」



そして再び間を置いて松本が言った



「・・・ええか、単刀直入に聞くぞ

お前、仇を取る気はあるのか」



「・・・その・・・」



「お前、医者から聞いたぞ

もう治っていると」



「・・・・」



「なのになぜこんなとこにいる??

ここにいれば仇のB29が落ちるとでも

思っているのか??」



「いえ・・・・あの・・・」



「答えんかバカモン!!!!」



部屋に松本の怒号が響き渡った



「自分は・・仇をとりたいです!!」



あまりの迫力に驚くも勢いで答える

その答えを聞いた松本は、



「よし!!いい返事じゃ!!

儂について来い!!」









松本につられて宮田は基地にある

格納庫の一つに来ていた



「閣下、ここは??」



「入れば分かる」



そして格納庫の扉が開き、

そこにあったのはーーー



「ぜ、零戦??」



そう、彼らの目の前にあったのは、

零式艦上戦闘機五ニ型と呼ばれる

帝国海軍の主力戦闘機だ



「まさかこれでB29に

立ち向かえと・・・??」



零戦は米国と開戦した時は、

敵の戦闘機を次々に撃ち落とし

無敵を誇ったが米軍の新型戦闘機が

現れ始める無敵神話がたちまち崩れ、

今では旧式機となっている


しかし帝国海軍では零戦神話を

信じている者がいるため、

後続機が未だ開発されてないこともあって

改良されたのが使用されている


改良といっても弱点の一つである

高高度を飛べないという問題を

抱えているのではっきりいって

B29を撃墜することはできない



「零戦じゃB29が飛んでいる高度まで

飛べませんよ」



「知らんのか??

最近のあやつらは、昼間に低空で

爆撃してくるからこいつでもとどく、

それによく機体をみろ」


松本に言われてよく見てみると

コックピットの後ろから何かが出ていた



「あれは??」



「うむ、あれは斜銃じゃ

実をいうと厚木の方に残っていた

改造してある零戦を無理を言って

もらって来たんじゃ」



「なにやってるんですか・・・」



「まぁいいではないか

それより貴様、月光に乗る前は

元々零戦乗りだっだらしいな」



そこで松本はニヤリと笑った









「来たか・・・」



前方がキラキラと何かが

光っているのを見て宮田はそう呟いた


数時間前に哨戒していた漁船から

"帝都に敵編隊接近中"との通報を受け、

雷電や月光等10数機程で迎撃に出た


そしてだんだん光っているのはB29と

その護衛であるP51なのが分かった


暫く彼が見ていると別方向から戦闘機が

来てP51が迎撃に向かいB29は裸になる



「渡辺・・・見ていろよ」



そう言いスロットルを全開して

B29に近づく



僚機の雷電や月光も同じように

スピードを上げた


すると気づいたのか、B29の編隊は

弾幕を貼ってきた


しかし宮田はその弾幕をものともせずに

B29の編隊に突入する


そして僚機が宮田に続くように突入し、

たちまち混戦になった



「あの髑髏(どくろ)はどこにいる・・・」



目を細めて探していると、

編隊の先頭に機首に髑髏(どくろ)の絵が

書いてあるB29を見つける



「そこか・・・!!」



宮田はそのまま操縦桿を向けて

そのB29に接近した


一方髑髏(どくろ)の絵が書いてあるB29からは

絶え間なく弾が飛んできて数発当たったが

火を吹かずになんとかB29の下部に来れた



「喰らえ!!」



そう叫び、宮田は操縦桿に

ついている引鉄を押す


衝撃と共に斜銃から20mm弾が発射された



「どうだ!?」



いったん離脱しながら後方を見たが

20mm弾が命中したにもかかわらず、

B29に変化はなかった



「だめか・・・」



すると突然上から12.7mm弾が飛んできた


そう、先ほど迎撃機を追い払ったP51が

戻ってきたのだ


零戦とP51では性能に差があり

とてもではないが敵わない


宮田はとっさに回避運動をとり回避したが

P51はそのまま後ろをとろうと

急接近してきた



「振り切れない!!」



いくら回避してもP51は離れてくれず、

撃ってくる



「仇が目の前のいるのに・・・」



もはやこれまで・・・と思ったその時、

雷電がP51に向かって急降下してきた


突然の事にP51は回避できず

雷電の20mm弾を受けて爆発した



「た、助けてくれたのか??」



そして雷電は翼を振ると再び編隊に

突入していき見失った



「何にせよ、ありがたい・・・」



そして雷電が突入していった方向に

敬礼をして再びあの髑髏(どくろ)のB29に向かう


僚機がほとんど撃墜されたのか、

他のB29からも弾が飛んできて、

機体に被弾する


しかしそれをものともせず、

B29の下部に潜り込んだ



「仇だ!!」



宮田はそう叫んで引鉄を引く・・・



すると二度目の射撃でうまく

当たったのか煙が出た


そのB29はどんどん高度を下げていき、

刹那、翼が折れて回転しながら落ちて行った



「や・・・やったぞ!!」








「お~い、誰かが帰ってきたぞ~!」



基地で整備員の一人がそう言った


その声を聞いて指令室にいた松本は

窓に目をやる


窓には着陸した零戦が

プロペラを回していた



「やったか・・・宮田」

どうも横山上等兵です。

今回はこの小説で始めて、

帝国海軍の兵器の物語を執筆しました。

さて今回登場した兵器は

大東亜戦争後半の帝国海軍の

主力戦闘機零戦五ニ型を改造して作られた

斜銃を装備しました零戦です。

この零戦は正規に生産されず、

すべて配備先の厚木基地等の

現地で改造されたもので、

主に昼間戦闘に使用されて夜間戦闘には

少ししか使用されませんでした。

しかしそれでもある程度は

活躍したそうです。


それでは次回の更新も頑張りますので

よろしくお願いします。

それではまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしています

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