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大日本帝国陸軍兵器列伝~陸軍空母彼の海にて斯く戦えり~

今回、1週間近くかかってできたのは、

前話の半分ちょい・・・

サイパン島が陥落してから、

大日本帝国陸海軍は各戦線で

劣勢になっていた


各地で連合軍は攻勢に出て、

九州や本土もB29による爆撃が始まり、


さらに南方地帯からの資源を載せた

輸送船団は次々に全滅し、

挙げ句の果てに本土近海などにも

米軍の潜水艦が現れ商船などの被害が

増大しつつあったーーー








1944年9月、一機の滑空機らしき航空機が

大海原を200km/hにも満たない速度で

飛んでいた


そしてその滑空機が目指している先には

たった数隻の艦隊が航行している


その中の一隻は全通した飛行甲板を

有しており空母のような軍艦であった


しかしこの軍艦は大日本帝国海軍の

所属ではない


この軍艦は大日本帝国陸軍が建造した

揚陸艦でその名を~あきつ丸~という




「ヨーソローッ」


その声と共にあきつ丸に

先ほど飛んでいた飛行機が着艦した


そしてプロペラの回転が終わり、

コックピットから三人の男が出てきて、

敬礼をした



大崎(おおさき)中尉以下三名、

無事対潜哨戒任務完了しました!!」



「よしっ、ご苦労!!」



整備班長の男にそう言われ

三人はその後にする



「今日も一隻も食えませんでしたね」



残念そうな表情で機銃要員である

竹内(たけうち) (こう)が機長に話しかける



「仕方がないさ」



話しかけられた大崎(おおざき) (あきら)はそう答えた



「ほんとにアメ公の潜水艦なんて

いるんですかね??」



鈴木(すずき) 直武(なおたけ)は疑問を尋ねる



「いなかったら、

こんなとこにわざわざこないだろ」



大崎と竹内は九九式軍偵察機の

空中勤務者だったが

今回の実験のために大陸から呼び戻されて

この部隊に配属されていた


なお鈴木は彼らの乗機である

"三式指揮連絡機"の慣熟訓練の時に

初めて知り合った



「最近じゃここらは米軍の潜水艦とかで

被害が大きいらしいからな」



名目上彼らは三式指揮連絡機の対潜哨戒の

運用試験だが、実際は日本本土近海の

対潜哨戒任務だ


というのも1942年頃から商船の被害が増えて

南方地帯の輸送がうまくいかず、

日本本土近海などにも米軍の潜水艦が現れ

商船などの被害が増えているからだ


すでに彼らがいる一帯でも

商船が何隻か沈められている


そこで陸軍は上陸作戦時に戦闘機を

発進させて上陸部隊の支援を行うという

構想で建造した"あきつ丸"に目を付けたのだ



もちろん海軍は素直に認めるはずがなく、

揉めにもめたが、海軍は駆逐艦などが

払底していたこともあって、

船団護衛に手が回らないので

陸軍にも頼る他なく

なんとか試験運用にまで持ち込めたのだ


なお艦を動かしたりしているのは、

陸軍でも熟練の船舶兵が行っているので

心配はない


そして現在この陸軍艦隊は

あきつ丸の他に今回の為に輸送船を

改造して建造した防空専門の

防空基幹船2隻、

漁船改造の臨時駆潜艇5隻の合計8隻が

配備されている



「隊長ところで聞きたいことが

あるのですが・・・」



竹内が大崎に話しかけた



「なんだ??」



「我々は・・あとどの位この任務に・・・」



「もう暫くは続くと思うが、

どうかしたか??」



「いや・・・ちょと・・

着艦してから・・なんだが吐き気が・・」



その後すぐ甲板が大騒ぎになったのは、

言うまでもないーーー











「お~い、どうだ見つかったか??」



この任務が始まってすでに一ヶ月は

過ぎようとしていた頃、

大崎達は今日も空を飛んでいた



「・・・ぜんぜん見つかりません」



最近彼らが飛んでいる場所で、

輸送船から潜望鏡が見えたという

通信を受け、

大崎達は勇ましく発艦したが、

一時間立っても米潜水艦は見つからなかった



「あれは誤報だったんですかね??」



「・・・」



大崎が鈴木の問いを受け、

悩んでいると、



「中尉!!左に航跡!!」



竹内からの報告を受け、

左に旋回すると一隻の輸送船を見つけた



「・・・あれは我が軍のだな」



なんだ、と機内はガッカリした雰囲気に

包まれる



「まぁ、味方でよかったろ

・・・ついでだ翼を振るか」



そして輸送船に見えるように高度を下げる


すると海面に何かが出ていたのを

鈴木が見つけた



「潜望鏡視認!!」



すると突如輸送船に水柱が立った

輸送船はたちまち傾き始め、

今にも沈みそうになる



「あぁ・・・ゆ、輸送船が・・・」



鈴木が悲痛な声を上げる



「・・・あいつだけは絶対逃がさん」



そう言って大崎はフットバーを踏む

先ほど見えた潜望鏡は

戦果を確認したいのか今だ海面に出ている


速度はグングン上がって行き

そしてやっと航空機に気づいたのか

潜望鏡は沈んでった



「今さら遅い!!投下!!」



すると搭載していた爆雷二つの内一つが

潜望鏡があった場所に落ちて行く


そしてドボン、という音を立てて

爆雷は海中に進む


軽くなった機体を持ち上げながら

大崎は怒鳴った



「どうだ!!」



すると突然ドゴォォンという音が

響き渡った



「戦果確認!!」



機銃座にいる竹内は目を凝らして

海面を見ていたが何も浮かんでこなかった


もし撃沈できた場合は油やゴミが

浮いてくる



「だめです・・・」



そう言いかけた時、

海中から潜水艦が水しぶきを上げながら

出てきた



「敵潜水艦浮上!!」



「なに!!」



哨戒機がいるのが分かっているはずなのに

浮上してくるということは、

メインタンクか何かが壊れたのだろう


しかし浮上した潜水艦の艦橋から

人が出てきて装備してある機銃に取り付き

撃ってきた



「ぬおっ!?」



思わず竹内は驚いた


しかし大崎は身じろぎ一つせず、

操縦桿を押し倒す



「もう一発いくぞ!!」



今度はなんと急降下をした

そして爆弾を落とすかのごとく、

爆雷を投下した



「これはオマケだ!!」



ついでに旋回機銃を潜水艦に向けて撃つ



「命中したか??」



そう思い見ていると水柱が消えて

晴れた先には艦橋付近で血を流しながら

倒れている水兵数人と潜水艦だった



「くそっ!!」



そう罵ったつかの間、

艦橋に白旗が掲げられた




「敵が降伏してきました!!」



鈴木がそう報告したーーー











しばらくして連絡を受け輸送船に

乗っていた人の救出と潜水艦を拿捕しにきた

漁船らしき船が数隻やって来た



「・・・やっときましたね」



竹内が安心したかのようにそう言った



「なぁ、俺たちはあの輸送船の仇を

とれたかな・・・」



大崎が尋ねた



「・・・とれましたよ」



「そうか・・・」



そんなことを語り合いながら大崎は

三式指揮連絡機を母艦に向けて飛ばす


次も出撃するために・・・

どうも横山上等兵です

今回は陸軍空母と呼ばれましたあきつ丸と

搭載機である三式指揮連絡機です

あきつ丸は元々上陸作戦の時、

戦闘機を発艦して援護するという

目的で建造されましたが、

実際には上陸作戦には参加しませんでした。

あと、あきつ丸は実際に1944年8月から

11月にかけて運用試験ということで

対潜哨戒任務についていました。

(この間の戦果は不明)


さて次回は陸軍ではなく、

海軍の兵器に着目してみようと思います。

それせはまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしています。

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