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大日本帝国陸海軍兵器列伝~富嶽飛翔ス~

タイトルでピンときた方いますか??

「西方において収めた勝利は

東方においても収めなければならない!」


1945年4月12日に死去した

フランクリン・ルーズベルト大統領の

後任者のハーリー・トルーマン大統領は

そう演説した


つまり独逸が無条件降伏したのと同様に

日本も無条件降伏させなければならないと

言ったのだ


さらに1945年7月26日に発表された

「ポツダム宣言」に皇室がどうなるかに

ついての文言がなかった


当時軍部は軍の自主解散や

皇室を護持できるか否かの他に

戦争犯罪人の国内処理、

保障占領をしないなどの降伏条件があれば

降伏してもよいと考えていた


それだけあって「ポツダム宣言」には

大きな衝撃を受け、これらを何とかすべく、

兼ねてより考えられていた作戦が

大本営に認可された


これは国体護持の為、家族の為に出撃した

一機の爆撃機と4人の搭乗員の物語である






北海道某秘密飛行場ーーー


そこでは一機のとある爆撃機が

暖機運転をしていた


その爆撃機は今まで帝国陸海軍の

どの爆撃機をも大きく、いや世界中探しても

これほどの大きさの航空機はなかった


その名はZ機、又の名を「富嶽」と言った


「富嶽」とは必勝防空計画という

米国本土爆撃計画の為に作られた機体で、

最近やっと試作機一機が完成したのだ


では今回富嶽を使った作戦とは何か??

それは富嶽の長大な航続距離を利用し、

米国首都ワシントンD・Cに神風を起こす、



つまり米国首都への特攻作戦であるーーー



「大本営より入電!!作戦を計画通りに

実行されたし!!」



富嶽搭乗員の一人が

通信員から指令を聞いていた



「いよいよですね隊長」



外で耐寒服を着て待機してた通信員兼機銃手

水井(みずい) 為義(ためよし)は電文を聞いて

目の前の男に声をかけてる



「ああ、いよいよだな・・・」



今回の作戦の為に帝国陸海軍は

航空隊から爆撃機の搭乗員の中から

技量優秀な者四名を選び出していた


なぜ四名かというと、

この作戦が特攻であるということから、

機銃は三丁のみでそれを通信員と照準手が

機銃要員を兼ねるという事に

なったからである


そして水井が声をかけた者の名前は

斎藤(さいとう) 宗一(そういち)といい、日華事変で

重慶爆撃に参加しており、

さらにい号作戦に一式陸攻で生き残った

爆撃機の熟練搭乗員だ


マリアナ諸島に来た米軍を撃滅すべく

あ号作戦に参加したさい、

乗機が地上撃破されてしまい

内地にて搭乗員の育成を行っていた所を

軍部に頼まれてこの作戦に

隊長として参加した



「よしっ・・・搭乗員集合!!」



斎藤が集合の号令をかけると

残りの二名が走って集まってきた



野田(のだ) 良文(よしふみ)っ集合しました!!」



「同じく横田(よこた) 光雄(みつお)っ集合しました!!」



彼らは斎藤の同期で日華事変から

あ号作戦まで共に戦ってきた戦友で

野田は名目上の照準手、

横田は斎藤と同じ操縦士だ



「いいか、この作戦は日本の存亡が

かかっている

何としても成功させるぞ!!」



「「「はいっ!!」」」


やがて彼らが富嶽に乗り出撃しようとすると

整備士や基地の要員全員が手を振ってきた


この作戦は渡洋爆撃になるため、

搭乗員は全員海軍の搭乗員だが、

陸軍はそれでは面子が立たないと言い出し

この秘密基地建造から整備まで

陸軍が請け負うという形になっている


つまり海軍と陸軍が協力しあっているのだ


そしてチョーク止めが外され、

いよいよ富嶽が動きだした



「コンタァクト!!」



やがて富嶽は滑走路を進み出して

それを追うように見送りに来た人々が

走り出した


それに対し斎藤達は操縦席に集まり

敬礼をする



「いって来ます!!」



そして滑走路から巨人機は

離陸していったのだった・・・









「お~い横田、発動機の調子はどうだ??」



「はい、すごぶる快調でとても戦闘機などを

女学生などが作っているなどとは

思えないほどです」



この富嶽は今後の日本国の存続が

かかっているという理由で軍部は

本土にまだ残っていた熟練の人々を集め

富嶽を作ったのだ


さらに燃料も本土に不時着した米軍機や

鹵獲燃料、つまりオクタン価が高いのを

使っている



「まったくすごい爆撃だよ・・・

水井、今はどの辺だ??」



「まもなくアリューシャン列島です」



「アリューシャンか・・・」



「そういえば隊長のお兄さんは・・・」



隣にいた水井が斎藤に声をかけた



「ああ、アッツ島で玉砕したんだよ・・・」



「・・・・・」



「・・・いいか俺たちは決して犬死ではない

祖国のため、家族の為に死ぬのだ」



それに野田が応じる



「やります!!鬼畜米英に

目にものを見せましょう!!」



さらに横田も応じる



「あ号作戦では米軍に戦友が殺されました!

自分だけ戦友より永らえる気は

ありません!!」



そして水井も言う


「米軍がもし本土に上陸してきたら

家族に何をするか分かりません!!

家族を守って死ねるのなら本望です!!」



「・・・水井、横田、野田、貴様らの命は

俺がもらうぞ」



「「「了解!!」」」







アンガレッジーーー



「何だこれは??」



その日当直であった技術兵の一人が

レーダーを見て首を傾げていた


なんとなく日課でレーダーを見たとき

見たこともないような巨大な輝点が

一つ浮かんでいたのだった


その技術兵は目をこすったが、

輝点は消えなかった


そして輝点は600km/h以上の早さで

高度一万二千を飛んでいた



「レーダーに機影、大型機一機、

アンガレッジにアプローチしつつあり

スピード600km/h高度一万二千」



一応その技術兵は上官に報告した



「は??」



上官は報告を聞き思わず笑ってしまう



「おいおい、酒の飲み過ぎじゃないか??

そんな高度でその速さで飛べる航空機なんて

あるはずがない」



「しかしレーダーに反応があります

念のため偵察機を派遣して

確認をした方が・・・」



「いいか、よく聞け

もしそれがレーダーの

故障だったりしたらどうする??

怒鳴られるのは俺なんだぞ」



「しかし・・・」



「どうもこうもない!!

それはレーダーの故障だ!!

後で直しとけ」



そう怒鳴られて電話が切られた


技術兵はもう一度見てみると

先程まであった輝点は消えていた



「・・・やっぱ故障か」







「来ないな・・・」



富嶽を操縦している斎藤は思わずそう呟いた


作戦ではアリューシャン列島を伝って

北米まで飛んでその後カナダに入り、

五大湖からワシントンを

目指すという計画だった


そこで懸念されていたのが、

アンガレッジに差し掛かった所で

迎撃を受けないかということである


今回使用している富嶽には

後部と上部、下部にそれぞれ一丁機銃が

配置されているだけでしかもそれを

たった二人でやることになるため、

どうしても一箇所死角ができてしまい、

迎撃機が上がってくると危険だった


なんとか調べて掴んだアリューシャン列島の

哨戒範囲の情報を使い、燃費節約の為、

レーダー範囲スレスレを飛んでいたが

今の所一機も米軍機を見かけなかった



「まぁ、いいじゃないすか

安全に越したことはありませんし」


横田が応じた



「それはそうだが・・・」



斎藤は不安を隠せなかったが

しかしこの時米兵の怠慢で

迎撃機がこなかったの知ったら

どう思っただろうか・・・










「間もなく五大湖に差し掛かります」



彼らは北米に入った後、そのまま

横切るようにカナダを通り、

五大湖まで来ていた



「まさかここまで来れるとはな・・・」



「やっぱり俺たち悪運が

強いのですかね??」



カナダでは特に迎撃もなく、

無事にここまで来れた


「やっぱりあ号作戦でも

生き残「下に機影発見!!」・・・」



水井からの報告で機内に緊張がはしる



「機種は何だ!?」



「あれは・・・P40ですね」



そのP40は高度九千を飛んでいた


実はカナダを横切った際住民に

飛行機雲が見つかっており

多数が警察に通報した


最初は警察などは取り合わなかったのだが

あまりに通報が多かったため

念のためアメリカに連絡したのである


この時高高度を飛んでいる飛行機は

アメリカ本土では米軍にもなかったので、

飛行場から練習機一機が確認しに来たのだ



やがてP40は急に高度を下げて行った



「発見されたか・・・」



「どの位の数が来ますかね??」


野田が言った



「・・・想像したくないな」






さて米軍では大騒ぎになっていた


確認に向かったP40から無線から

「日の丸がついた航空機

ワシントンに接近中」という

報告が来たからである


これを聞き上官がもう一度確認したが、

同じ答えが帰ってきた


これに驚いた陸軍航空隊は

東海岸すべての飛行場から

P51からP40、P38などを出撃させた


そしてもちろん大統領にも報告されーーー



ホワイトハウスーーー


大統領(ミスタープレジデント)!!ジャップの爆撃機らしき機体が

五大湖からワシントンに接近中です!!」



その報告を聞き第43代大統領トルーマンは

思わず顔に冷や汗が落ちる



「なんだと・・・我が軍は何をしていた!!

なぜそこまでの接近を許している!!」



「検討がつきません!!

そんなことよりホワイトハウスから

退避してください!!」









「た、隊長!!ワシントンです!!」



横田が叫んだ



「ついに・・・ここまで」



まさか本当にここまで来れるとは

思ってなかっただけあって

これは夢じゃないのかと思ってしまう


ちなみにワシントン市内の情報は開戦前に

大使館から入手していたため、

どこにどんな施設があるかなどは

すっかり分かっていた



「いいか、ここまで来たからには

目標はただ一つ・・・

白亜館(ホワイトハウス)だ!!」



「はい!!トルーマンに

我が軍の底力を思いしらしめましょう!!」



野田が言った


すると水井からとんでもない報告がきた



「べ、米軍機接近!!そ、その数多数!!」



「来たか!!」



富嶽を撃墜すべく米軍機は

ものすごい速さで富嶽に接近してくる


そしてまだ遠距離であるにもかかわらず

富嶽のあまりの大きさに

実戦経験皆無である訓練中の搭乗員は

思わず届くと思い機銃を撃ってくる


しかし富嶽との距離はまだあるため、

一発も命中しなかった



「敵発砲!!」



後部機銃座にいた水井が叫んだ



「まだまだこの距離では当たらん!!」



しかしき高速で接近してきたP51が発砲、

エンジンに命中する



「こんぐらいでは富嶽は火を吹かんわ!!」



上部機銃座にいた野田が叫んで撃ちまくった

そして機銃を撃ちながら言った



「白亜館はまだ見つからないんですか!?」



「今探している!!」



斎藤は操縦席から作戦を説明された時に

聞いた白亜館があることを示す

広大な緑地を探していた



そうしている内に次々に弾が命中し始める



「左翼エンジン被弾、炎上!!」



「右翼被弾!!一番エンジン停止!!」



野田や横田からの報告を聞き焦る



ーーー目印はーーー



するとビルの合間に緑色の何かが見えた



「あ、ありました!!

アーリントン墓地です!!」



横田が声を躍らせる



「そうか!!水井、野田!!

見つけたぞ!!」



斎藤は野田と水井に知らせた

しかし返事が帰ってこない



「・・・おい!!野田!!水井!!」



再度叫ぶが返事はやはりない



「くそっ!!」



横田がそう叫んだ



「横田!!あいつらの仇討ちだ!!」



「はいっ!!」



そして白亜館に向かって富嶽は飛び続ける

すでに両翼は炎上しており、

あと少し喰らえば落とされかねない


しかしP51が接近してきて機銃を撃ちつける


そして後ろ半分が黒煙に覆われ、

再びP51が機銃を撃とうとした

その時ーーー


衝撃で後部機銃座で死体になっていた

水井が動き、引き金が引かれる


そしてなんとその一連射は

ちょうど撃とうとしていたP51に命中、

そのままP51は落ちて行く


それを見た米軍機は

驚いて後ろから離れて行く


そしてなんとか撃墜を免れた富嶽は、

白亜館に猛速度で接近していく



だんだんと操縦席に迫り来る白い建物ーーー


「天皇陛下バンザァァァイイイイイ!!!」



刹那ーーーーー









この後、トルーマンが何を考えたかは

分からない


しかし1945年8月15日、

日本は敗戦をむかえた・・・・










どうも横山上等兵です。

今回はいかがでしたか??

今回登場した兵器は

有名な幻の爆撃機「富嶽」です。

実史では日本を飛び立ち太平洋を横断、

アメリカ本土を爆撃、

そのまま大西洋を横断し、

ドイツで補給を受け、再び逆のコース、

または、ソ連を爆撃しつつ戻ると言う

計画で開発が始まりましたが、

1943年にサイパンの陥落などの

戦局の悪化により開発が中止されました。


次回も更新が遅くなると思いますが、

暖かく見守っててください・・・

それではまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしています。

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