表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

大日本帝国陸軍兵器列伝~たろ坊とロタ砲~

1945年4月1日、

沖縄本島に「鉄の暴風」と呼ばれる程の

艦砲射撃と爆撃で米軍が上陸してきた


迎え撃つ帝国陸海軍は戦車や野砲、

多数の航空機を用意し、

米軍を撃滅しようとした

しかしそれは明らかに無理であった


野砲は米軍と比べると明らかに少なく、

戦車はもはやお話にはならない程の脆弱、

航空機に至っては旧式機の割合が大きい


さらに歩兵部隊も予備役の老人や中学生、

女学生を現地招集して集めたものばかりで

装備も年代物しか持っていなかった


対する米軍は

軍艦およそ1500隻

航空機1700機

兵力55万

大東亜戦争最大の兵力だった


しかしそれでも帝国陸海軍は

特攻やゲリラ戦で米軍を苦しめ粘ったものの大本営の積極攻勢命令や、

米軍の装備や数の差により押されて行き、


1945年6月23日、第三十二軍の

牛島満司令官の自決により、

沖縄の日本軍の組織的戦闘は終了した


しかしそれでも沖縄各地で

戦闘は続いていた・・・





「おい、たろ坊あれを見ろよ・・・」


「なんだなんだ??」


彼らは鉄血勤皇隊の田辺(たなべ) 四郎(しろう)

岡田(おかだ) 太郎(たろう)というものだ


田辺は親から空手を小さい頃から

教わっていたので米兵相手でも

格闘できるほどの腕の持ち主だ


岡田は親が猟師をやっていて、

教え込まれたこともあって

狙撃の腕は正規兵より上手い


ただ彼は雰囲気が子供っぽく、

周囲から"たろ坊"と呼ばれている


彼らは首里周辺で他の同級生と共にいたが、

米軍の攻撃で部隊が

バラバラになってしまった


しかし彼らは米軍への抵抗を諦めず、

ゲリラ戦を繰り広げていた


そして今彼らが隠れている草陰の

目の前を3人の米兵が横切っていく


「あれは米兵だぞ・・・」


「数は・・・3人か」


「よしっ・・・じゃあ、

いつも通りに行くぞ」


そういった田辺は米兵に隠れながら近づき

すぐそばまで行くと手を降ってきた


岡田はそれを見て持っていた猟銃を

素早く構え引き金を引く


パァン、という音が鳴り響いたと同時に、

歩いていた米兵の一人が倒れた


他の米兵は慌てた様子で

銃声がした方向に銃を向けたが


そこで背後から田辺が現れ、

不意をつく形になり二人の米兵が

あっという間に倒れた


そして田辺は相手が死んだかどうかを

確認し、岡田に向かってまた手を降ってきた


「成功か」


彼らは狙撃により敵を混乱させた後、

格闘戦で敵を倒すという

この方法で米兵を10人程倒してきた


そしていつも通りなら、

米兵から食べ物や弾薬をとって

近くの洞穴に隠れるのだが・・・


ヒューン


その音が一瞬聞こえたかと思うと同時に

あたりに轟音が響き、刹那爆発が起きた

田辺が立っていた場所でーーーー


「田辺っ!!」


岡田は立ち上がろうとしたが、

何かに首根っこを引っ張られて倒れてしまう


「わあっ!!」


「静かにしていろ!!死にたいのか!!」


彼を引っ張ったのは年が30歳ぐらいの男で

筒のような物を担いでいる


「いいか、今の砲撃は戦車からだ

あのまま立っていたら

ここも吹き飛んでたぞ」


するとキュラキュラと

戦車のキャタピラの音と

複数の足音が聞こえてきた


「とりあえずここに隠れてやりすごすぞ」


男にそう言われた岡田はとりあえず

そこに隠れることにしたのだった







戦車のキャタピラの音と

複数の足音が聞こえなくなったあと、

田辺を探すべく砲撃があった場所に

向かったが、見つかったのは

彼のものらしき足が一本だけであった


「田辺・・・」


「残念だったな・・・」


男は彼になんと言ったら

良いか分からなかった


「・・・そういえば名前を聞いてなかったな

お前名前は??」


「岡田太郎です・・・」


「そうか、俺は石川(いしかわ) 五郎(ごろう)というんだ」


そして少し間が空いたが石川が口を開いた


「所でお前はここで何をやっていた??」


「・・・自分は近くの洞穴で米軍に

抵抗していました」


「なに!?まだ洞穴が残っているのか!?」


米軍が上陸してから洞穴や洞窟は

避難民が逃げ込んでいたり、

迎え撃つための陣地なっているかで、

それも米軍が白燐手榴弾や

火炎放射器などで潰されていき、

もう残っているとは思ってもいなかった


「そうか・・・岡田太郎!!」


いきなり大声で名前を呼ばれたので、

思わず立ち上がった


「はっ!!」


「貴様を臨時に我が部隊の兵士として

徴用する!!」


「は・・・??」


あまりにいきなりだったので

岡田は事態を飲めずにいた


「実は我が部隊、と言っても自分だけだが、

敵戦車を一撃で撃破することが可能な

新兵器がある」


「戦車を一撃で・・・??」


すると前田が先ほど担いでいた

筒のような物を出した


「これは四式噴進砲と言って、

命中すれば100mの距離でM4を撃破できる」


「す、すごそうですね・・・」


「俺は元々これを使って米兵共と

戦っていたんだが、装填者がやられてな

ちょうど探していたんだ」


「しかし・・・自分で宜しいので??」


「構わん!!この非常時だ

文句も言ってられん」


「では・・・岡田太郎!!

お世話になります!!」


「よしっ!!じゃあさっそくだが

貴様が言っていた洞穴に

案内してくれないか」






石川を案内した後、そこで噴進砲の

練習を行った


(と言っても三脚を設置したり

ボルトを付けたりと複雑な工程は

すべて石川がやり、

岡田は弾を込めるだけだったが)


そして石川と会ってから数日たち、

岡田がたろ坊と呼ばれ始めたある日ーーー







いつものように外を警戒していると

二つの緑色のした塊が歩兵を連れていた


「石川さん!!起きてください!!」


「う・・・た、たろ坊、どうした??」


「敵です!!戦車もいます!!」


それを聞いた石川はガバッと起き上がり、

外を見た


「いよいよここもばれたか・・・」


「ど、どうしたら??」


「慌てるな、こんなの時の為に

練習してきたんだろうが」


「は、はい!!」


そして彼らは素早く移動し、作業を終える


「敵戦車との距離は100mちょいか・・・」


油断しているのか米兵はまだこちらに

向かってきておらず、


戦車も横面を見せて砲身をむけていた


「油断、大敵だぞアメ公ども!!」


石川がそういって引き金でもある

つり輪を引いた


すると轟音と共に弾頭が戦車に向かって飛び

戦車に命中すると大爆発が起きた


「初弾命中!!敵戦車撃破、次弾装填!!」


そして再び弾頭を入れて構え直す

どうやら敵に対戦車兵器が

あるとは思っていなかったのか、

混乱していた


「次弾装填完了!!」


「よしっ、いいぞ」


岡田が次の弾の装填が終わったのを

報告したあと照準をもう一両の

戦車に向けて、発射する


再び轟音が響き次も命中かと思ったら

弾頭があらぬ方向へいってしまう


「次弾命中ならz「いいから早く弾を

込めろ!!」はっ、はい!!」


すると戦車から火が見えた


「まずい伏せろ!!」


刹那、洞穴の外で大爆発が起き、

二人に大量の砂がかかる


「・・・は、外れたか・・」


「石川さん!!今のうちに!!」


岡田に大声でそう言われた石川は、

素早く構えた


「次弾装填完了しました!!」


その声と同時に砂煙がはれて、様子を伺っている米兵と戦車が見えた


「いくぞ!!発射!!」


そしてまた轟音が響く

そしてーーーー


「やった!!敵戦車に命中です!!」


岡田の歓喜の声が聞こえた

そう、敵戦車に弾頭が命中したのだ


やがて米兵は慌てて来た道を引き返して行く


「何とかやったか・・・」


「石川さん、これからどうします??」


「ここは見つかってしまったんだ

次はもっとすごい数でくるぞ」


「じゃあ、ここから逃げません??」


「しかし連中からは簡単に逃れないぞ」


「大丈夫ですよ

石川さんとこの噴進砲がありますから」


それを聞いて石川は思わず


「そうか・・・」


と言って苦笑してしまった






この後彼ら二人組がどうなったかは

誰も知らない・・・・


どうも横山上等兵です。

今回はいかがでしたか??

今回出てきた兵器は

試制四式七糎噴進砲という兵器で、

ロケットのロと対戦車弾のタを取って

ロタ砲とも呼ばれました。

性能はWikipediaによると100mの距離で

80mmの鋼板を貫通できたそうです。

しかし配備が始まったのは終戦間際で

実戦では使用されなかったそうです。


次回は候補が二つあり悩んでおります。

それではまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ