埴輪と旅する女①【会津若松編】第022回
『Mikiko's Room(https://mikikosroom.com/)』で連載した、会津若松への旅行記(原題は「単独旅行記Ⅶ」)です。
み「いざ参らん」
ハ「頼もー、ってか?」
み「チェックイン中は、話しかけるなよ。
混乱するから」
ハ「けっこう高級そうなホテルやないか?」
み「おうよ。
素泊まり、6,350円じゃ」
ハ「なんや。
大したことあらへんがな」
み「東京だったらね。
でも、会津若松だぞ。
バカにするわけじゃないが……。
普段なら、この値段のホテルには泊まらないと思う」
ハ「今日は“普段”やないのかい?」
み「県民割が効くのじゃ」
ハ「別の県やろ」
み「近県は大丈夫なの」
ハ「いくら引かれるんや」
み「2,500円」
ハ「ちょびっとやないか」
み「喝!
6,350円が、3,850円になるんだぞ。
大違いじゃないの。
しかもさらに、フロントでクーポンが2,000円分もらえる。
ここら周辺で、今日明日のうちに使っちゃわないといけないみたいだけど」
ハ「アホか。
そんなら、チェックインした後で……。
クーポンの使える店で、夕食を買えばよかったやないけ」
み「まだ、お酒と明日の朝食を買ってないでしょ。
2,000円なんか簡単に使っちゃえるよ。
コンビニでもオッケーなんだから。
さあ、改めて、いざ参らん」
当然、チェックイン中の写真はありません。
県民割が適用されるためには……。
フロントで、新型コロナワクチンの接種証明を提示する必要がありました。
スマホのアプリから、証明書を表示できます。
ハ「エラい無愛想な姉ちゃんやったな」
み「あんたもそう思った?
わたしも、ちょっとびっくりした。
東京のホテルとは大違いだ。
向こうだと、蕩けるような顔してくれるからね。
それがいいってわけじゃないけど。
でも、あれほど無表情なフロントは初めて見た。
アンドロイドかと思った」
ハ「けっこう美人やったけどな」
み「確かに、お武家顔だったね。
むやみに歯を見せるなっていう土地柄なのかね」
ハ「今どきか?」
み「ま、いいや。
無愛想だったけど、別に不愉快なわけじゃなかったから」
み「おー、立派立派。
さすが、6,350円のホテルだ」
ハ「額面はな」
み「さて、入りましょう」
ハ「カードキーやな」
み「お財布に入るから便利だよ」
み「おー、さすがセミダブル。
広い広い。
6,350円だけのことはある。
これなら、落っこちる心配いらないよ」
ハ「落ちる方がどうかしてるわ」
み「深酒けしなきゃ落ちないんだけどね」
ハ「今日は、するつもりやな……」
み「冷蔵庫、チェーック。
ときどき、電源が入ってないホテルがあるからね。
お、ちゃんと入ってるじゃない。
無愛想だけど、こういうところはきっちりしてる。
さっそく、買い出した夕食、入れておこう」
ハ「電源が入ってへんかったら、悪くなるとこやで」
み「電源入れておくかどうか、季節にもよるのかもね」
み「お、使い捨てスリッパだ。
ここらあたりまでも、浸透してたんだね」
ハ「コロナで、一気に広まったんやないか?」
み「かもね。
折りたたみ椅子まである。
何に使うんだろ?」
ハ「座るんやろ」
み「椅子もベッドもあるじゃない。
あ、そうか。
荷物置きだ。
床に直接置きたくないって声があったのかも。
あんたを置くかな」
ハ「わしは荷物か!」
み「バスルーム、チェーック」
ハ「ごく普通やな」
み「ま、ここはそれでいいのよ」
み「トイレットペーパーホルダーが、2段になってる。
下痢の人用か?」
ハ「アホか。
予備のペーパーを、そこらに置いとくより……。
ホルダーにつけておいた方が、便利やからやないか」
み「なるほど」
■会津の気質
福島県は、3つの地域に区分されます。
「浜通り」「中通り」「会津」です。
新潟県も、「上越」「中越」「下越」に分けられますが……。
気候も風土もそれほど違いません。
しかし、福島県の3地域は、大きく違ってます。
まず、「浜通り」は、太平洋側です。
福島県で一番人口の多い、いわき市(人口35万人)が中心でしょうか。
お天気はほぼ、仙台や東京と一緒だと思います。
冬は毎日晴れ。
羨ましい地域です。
「中通り」は、福島県の真ん中で、平坦な地域。
県都の福島市(人口29万人)や郡山市(人口34万人)があります。
お天気は、ほとんど浜通りと同じのようです。
なので、福島市や郡山市も、冬期は晴れ続き。
以前、うちの事業所が郡山市にあったことがあるんですが……。
そこに冬場、出張した人の話だと、東京みたいだと言ってました。
ただ、郡山は風が強いと聞いたことがあります。
1年中吹くようです。
当然のことながら、冬は寒いでしょう。
晴れるから、放射冷却もあいまって、朝など相当冷えると思います。
いくら晴れても、風が強いのは、ちょっとねー。
で、これらの地域とまったく異なるのが、「会津」。
中心は、会津若松市(人口12万人)。
山に囲まれた豪雪地帯です。
夏場は、猪苗代湖周辺など、リゾート地になりますけどね。
冬は大変ですよ。
この旅行は初夏でしたが……。
街のそこここに、冬の生活を思わせる佇まいがありました。
今後、そんなことも含めて、書いていきたいと思います。
で、その会津人の気質。
会津へ転勤した人から生まれたという……。
「会津の三泣き」という伝え話があるそうです。
1.会津に来たときはその閉鎖的な人間関係に泣く。
2.なじんでくるとその人情の深さに泣く。
3.去るときは会津人の人情が忘れ難く泣く。
わたしのような一見さんでは……。
「1」だけ感じて帰ることになるのかも知れません。
ホテルのフロントのお嬢さんに感じたみたいに。
決して突っ慳貪ではないのですが……。
笑顔のないフロントってのには、初めて出会いました。
ま、でも、各地でいろいろな気風と接するのも、旅の面白さでしょう。
もう、次の旅行に出たくなってきました。




