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第八話

 門の中に入れば再びガラガラと錆びたような音がして振り返れば大きな門が閉まっている。もうルカとエナは後戻りができない。

 二人は怯えた子猫みたいにぎゅっと身を寄せ合い少しずつ片方の足を前に出す。

 辺りはシーンとしていて本当にこの先に家があるのか疑うほどだ。周りを見ればカラスだけがいてルカとエナをじっと見ている。それでも二人はシーンとした森の中を歩き続ける。

「本当に大丈夫かな……。この先に家があればいいけど」

「エナ、きっとあるよ。大丈夫さ」ルカは明るく答えた。

 ルカの自信はどこからくるのだか、とエナは思った。ルカを見れば不安そうな様子があまりなさそうに見える。でもそう見えるルカも実はいうと不安で仕方なかった。手は汗でびしょびしょで胸はドキドキでいっぱいだ。出来ることならおうちに帰ってまた朝のフレンチトーストを食べたい。だがその気持ちはきっと叶うことはないだろう。ルカはそのことを理解していた。

「お母さんたち、死んじゃったのかな」

 ふとぽつりとエナはつぶやいた。エナの瞳は暗く生きる希望すら見えない。エナの視界は涙であまりよく見えなかった。

「……大丈夫だよ。きっと」

「分んないじゃない……。どうやったらそう確信できるの」

——カーカーカー

 シーンとした空気にカラスだけの声が響き渡る。ルカは何も答えることが出来なかった。それでも二人の足は止まることなく歩き続ける。ルカとエナはすでに限界だった。

 その時だ。森の奥にかすかな太陽の光が見えた。

 ルカとエナの息は一瞬止まった。

「ねえルカ。今の見た??」

「ああ!!」

 二人は無我夢中で走り続けた。光に追いつくまで。

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