第三話
だがよく分からなかったルカは想像するのは辞めた。そしてルカはいつか母親から父親のことを聞けることを願った。けれども願いが叶うことはきっとないだろう。母親はいつも何かを隠したがっているのだから。
フレンチトーストが出来るのに数十分、時間がかかるというのでルカはリビングに行ってテレビを見ることにした。テレビの前に座ってリモコンを手に取る。
確か今日は最近面白いと評判が高いアニメがあるはずだ。そう思ってルカはテレビをつけた。
「そうです。最近はおかしな目撃情報が相次いで目撃されています。実際に見た人にお話を伺いましょう」
「私は確かに見ました。傘が飛んでいたんです。綺麗に宙に。あれは風ではありません。魔法です。きっとこの世界には魔法使いが存在するのです」
最初に映ったのはニュース番組であり得ないことをお腹が出ているおじさんが真剣そうに語っている。だが驚いたことに見た人はおじさんだけじゃなく他にもいるのだ。ただ肝心なことに証拠の動画はないらしい。
つまり見た人しか分からないと言う訳だ。見ていない第三者からしては信じようがない。アナウンサーもあきれた様子で見ている。
「そうですね。信じようがありませんが目撃したという人は今世界中で発見されています」
魔法……魔法なんて存在するはずないのに——
少しワクワクしたルカだったが直ぐに現実に戻り好きなアニメ番組を変えた。小学6年生、12歳のルカでも分かる。魔法が存在しないということは。魔法が存在していればきっと人生も楽になる。だがそうじゃない。皆、苦労して生きている。
近所のよく飴をくれるおじいちゃんはいつも腰が痛いだのお金がないだのつぶやいている。魔法があればきっとそういうことも簡単に治せるはずだ。
「そうだ。俺だってこうなりたくてなったんじゃない。俺だって生まれた環境がお前たちみたいに恵まれていたら違った」
急にテレビの画面が真っ黒になった。もしかしてテレビが壊れたのだろうか。ちょうど悪がしゃべっているところでいいところだったからルカはリモコンを取ろうとする。だがなぜかあるはずのリモコンはなくてきょろきょろするとリモコンを持っている母親がルカの視界に入った。母親は後ろに立ってルカをじっと見つめている。
「ルカ、もしかしてこんな乱暴なアニメを見ているの??ルカにはまだ早いわ」
ルカはなぜ見たらいけないのか疑問に思った。だって学校の人たちは皆このアニメの話をしているしもうルカは小学6年生だ。弱虫な子どもじゃない。
「学校の人たちは皆見ているし、早くないよ!!」ルカは珍しく母親に反発した。
すると母親はしばらく考えるように黙り込んで「そうなのね。とりあえずフレンチトースト出来たから食べましょう」と言った。
ルカは母親が怒っていないか不安になって母親のほうを見たけど母親はにっこりと笑ってくれたのでルカは安心した。
キッチンの前にある木で出来たダイニングテーブルに座るとひよこ色の美味しそうなフレンチトーストがルカの視界に入った。ルカは母親のフレンチトーストが世界一だと思っている。昔喫茶店でフレンチトーストを食べたけどやっぱり母親の作ったフレンチトーストのほうがふわふわであまいけど甘すぎずちょうど良かった。
「いただきまーす」
「さあ召し上がって」
ルカはふわふわなフレンチトーストをホークで取り口に運ぶ。
「うーん、本当に美味しい」ルカは満面な笑顔で言った。
母親は嬉しそうにルカを見つめながらルカが幸せならそれで良いと思った。
その時だ。
パリンッとリビングの窓が割れた。台風が来た時も割れなかった窓が割れるとは。ルカは不思議に思って見つめた。そして母親に話しかけようとした瞬間ルカは固まることになる。
何とその時ルカの視界に入った母親はすごく怯えていたのだ。まるで何かを知っているように。ルカはそんな母親を見たことがなかった。
「お母さん、大丈夫??もしかして今のって」
──パリンッ、パリンッ、パリンッ。
次々に割れていく窓ガラス。




