第十六話
「熱くないですか?」
「はい。大丈夫です」
「美味しいです!」
エナとルカはそれぞれメリンダの質問にそう答えた。
メリンダはルカとエナにあったかいゆで卵とフルーツを用意した。ゆで卵は中が少し半熟で美味しい。そしてとても気遣ってくれるメリンダはゆで卵にかける塩まで用意してくれた。
メリンダはルカとエナの心には美味しいご飯が必要だと思ったのだ。
かと言ってめちゃくちゃ豪華なご飯が作れる訳ではなかったがメリンダにとって誰かのためにご飯を作るのは苦ではなかった。
「そうですか。ゆっくり食べてくださいね」そう言ってメリンダはキッチンの方へ行った。
メリンダが居なくなったから何だか気まずい雰囲気が再び流れる。ルカとエナは黙々と朝ごはんを食べた。
ちらりとルカはチェスターの方を見た。
——まだ真剣な表情をして新聞を見てる。とルカは思った。
正直に言うとルカは新聞が嫌いだった。表紙いっぱいに書かれている文字。意味が良く分からない政治。それを見ただけでもルカは嫌になるほどだった。
見るとしたら端っこにちょこんと書かれている天気と四コマ漫画だけだ。でも今は天気というとテレビのニュースでやっているし漫画はバトル系の少年漫画の方がルカは好きだ。新聞をたとえ見るとしてもたまにだ。
「少年よ。そんなにわしを見てどうした」新聞を見ているチェスターはルカに向かってそう言った。
ルカは驚いてフルーツが喉に詰まりそうになった。だってチェスターはさっきから新聞を真剣に見ていたし一ミリもこちらを見ていなかったからだ。まさか見ていたことがばれていたとはとルカは恥ずかしい気持ちになった。
「えっと……。ごめんなさい」
「なぜ、謝るんだ」
「えっと……」
ルカは言葉が思い浮かばず黙り込んでしまった。
「ルカだったか……。今何歳だ」
「……十二歳です」
「……」
ルカが答えた瞬間、チェスターは険しい顔をして黙り込んでしまったからルカとエナは不安になった。
エナはルカの方を心配するようにちらりと見た。
「エナは何歳だ」
「え、っと。ルカと一緒の十二歳です」
一体歳を訊いてどうするんだろう、二人はそう考えた。でも何度考えてもいまいちよく分からなかった。
「時期的にそうか……。この家では敬語はいい」
「「分りました……」」
チェスターはそれだけ言って席を立ちあがる。新聞を置いてメリンダのいるキッチンの方へと向かった。
「わしは今から狩りに行ってくる」そうとだけ告げてチェスターはリビングを出て行った。
「ルカ、今のって何だったんだろう……」
「うん……」




