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第一話
「とうとう逃げたか」
そう険しい顔をして老爺は言った。そして老爺は新聞を丸めて乱暴に机の上に投げた。手を組み目を閉じて老爺は考えこむように黙り込む。しばらくしてもう一度新聞を手にしてじっくりと見つめる。再び新聞を置いて険しい顔になった後、老爺は深い息を吐いた。
料理をしていた奥さんはその様子を見て心配になったのか旦那のところへ行き新聞を取り見た。新聞には「黒魔女エリーナとうとう逃げたか!?」と新聞の表紙全体にドカーンと書かれている。
「まさか。逃げれたんですね」
「まあな。でも逃げきれるかは分からん。奴はしつこいからな」
奥さんは不安と心配が混じった表情で再び新聞を見つめる。
「でもわしらは見守ることしか出来ん。それは彼女も望んでいることだからな」
「そうですね」
老爺と老婆は不安な顔をして再び黙り込んだ。




