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瞑目
縁側に仲良く座る老夫婦を一人の女性がずっと見詰めていた。
老夫婦と女性の間には穏やかな風だけが流れていた。嬲られる女性の前髪の奥の双眸には、老夫婦への感謝と労り、そして後悔の色が浮んでいた。
その双眸は二人を悼むようにゆっくりと閉じられる。
やがて日が西の端に沈みかける頃。その双眸は再び開かれた。
「ごめんなさい」
その女性がぽつりと零す。
「ありがとう」
女性が懐から何かを取り出す。
「お返しします」
懐から取り出した漆黒の何かを、女性は老爺の手に握らせる。
「さようなら」
そう告げた女性は名残惜しげに老夫婦を見る。何時迄も傍に居たいその想いを断ち切るように女性は老夫婦に背を向けた。
「もう一度やってみる」
女性の瞳には決意の光が灯っていた。
「今度はディアナ・セレスティルとしてではなく、榊月子として」
そう宣言した女性の声は、その姿と共に宙へと消えていったのだった。
終
最後までお読み下さった皆様、本当にありがとうございます
最後の二話、少々走りすぎて抽象的になってしまいましたが
このお話はこれで完結となります
更新無しにも拘わらずアクセスして下さった皆様のお陰で最後を迎える事ができました。
重ねてお礼を申し上げます。
本当にありがとう!




