第七話 「皇女に会う」ことは碌でもないイベントの発生条件
大変間を空けてしまい申し訳ないです。
いやね、就活と卒論と忙しくて、書く時間が……。
だれか俺に内定をくれーーーー!!!
と言った感じでいっぱいいっぱいです。
何とか一ヶ月以内に一話を投稿できるようにしていきたいと思いますが、それも解らず。ホントすみません。
今回も少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「流石エヌシア大陸最大の都市、王都エリテラント。何がすごいって、良くぞこんな狭い場所にこれだけのものを建てたと思うよ。東京の下町だってここまで密集はしてないだろに。」
パッセトを出発して3日で中央皇国エリツィドの王都へとたどり着くことが出来た。
乗合馬車に乗ってしまえばたいした時間もかからず来れるのだとフェリトールが言うものだからためしに乗ってみたら、「一ヶ月かけてここまでがんばろうとした俺は馬鹿みたいじゃないか!」というほどに早く着いていた。
いや~、文明の利器というには疑問があるが、それでも道具って使ってなんぼだな~としみじみと感じてしまった。
「ここはまだ王都の外延部だ。中央に行けばもっと広々としていて美しい。」
「外は密集しているのに、中は整備されていると?」
「もともと外延部の平民住居区は王都が完成した後、平民が勝手に増築、開拓で広げられた地域に住み着いたことによって出来た地区だ。区画整備などはしていないし、下水整備も後付けでしたのだ。雑多なのは仕方がない。」
「――なるほどね。なら、入ってくるときの城壁もか?」
「そうだ。王都の第二城壁の外に町が作られていったものだからな。急遽建てられたものらしい。………といってももう半世紀以上も昔のことだがな。…もう少しすれば、第二城壁が見えてくる。」
フェリトールが先頭に立ち、その背を追うようにして俺と新條が王城へと続く大通りを上っていく。
新條や俺が疑問の声をあげると一つ一つ律儀にも答えてくれる。こちらを見もせず、歩き続けたままだが。
「まあ、それはそれで良いとして、お前達は変装もせずに堂々と王都に帰ってきても大丈夫なのか、逃げ出して来たのだろ?」
「――もともとはフェルエミーナ殿下の命によってマキナにこの国を見てもらうという目的で連れ出したのだ。王都にさえいれば奴等とてうかつな真似は出来ないだろう。」
「…なるほどな。」
「……すごい屁理屈のような気がします。」
「そういった建前も政治のうえでは必要なことさ。清濁合わせもつが故に人間ってね。理由がどうあれ、襲われないのならそれに越したことはない。」
「それじゃ、ここいらで俺は失礼するよ。」
「…え、あ…あの、一緒に行かないのですか?」
王城に行き、王族しかも皇女に会うのは主人公の務めです。
俺の役目じゃないし、絶対碌でもないことになるのは目に見えている。
「皇女に会う」なんてイベントフラグ立てておきながら何だけど、絶対に会いたくない。
「………マキナ、それは出来ません。いくら命を助けていただいたとはいえ、身分の明らかでないものを殿下の前にお連れするわけにもいきません。」
フェリトールさん、ナイスアシスト!
「―――そんな」
「主君を守る騎士としては当然の発想だな。」
「―――ですが、私達の事情を知ってしまったあなたをこのまま放置するわけにもいきません。」
おっと、めっさ嫌な予感……。
フェリトールは俺の首に剣を突きつけ、キッと俺を睨みつける。
「キリシマ・シンヤ、すまないが一時的に拘束させてもらう。」
「――強制連行かよ。」
やっぱりついてない。
そんなこんなで、王城の地下牢に送り込まれた。
「可もなく不可もなく、想像通りの地下牢だな。湿っぽいのがなんとも、懐かしい。」
本当に懐かしい。昔はよく放り込まれたものだった。今でこそ、そんなことはめったにないが、幸喜達と冒険していたころはよく勘違いやとばっちりを受けて捕まったものだった。
そしていつも思うが、地下牢はどこでも黴臭い。
慣れているとはいえ、あまり長居をしたいところではない。図書館以上に静かで落ち着く場所であるとも思っているけどな。
「それにな…。」
さっきから、熱源センサーに「牢屋内に反応あり」と脳内アラームが鳴り響きやがってうるさいことこの上ない。
誰かに知られる恐れがないセンサーの一つだから、先手を打ったり、ひそかに情報を集めたりするのに便利である。熱源センサーは+αで「かくれんぼ鬼最強」となれるという特典付きだがな。
まあ、自分の命を削ってまで手に入れたものだからそれくらい便利でなければ意味もないのだけど。
便利なことは間違いないが、頭痛にも似たアラームが鳴り響くのは頂けない。
地味にイライラさせてくれる。
「誰か居るんだろ。隠れてないで出てこい。」
実際には何も見えていない。牢屋は六畳一間といった広さしかなく、隠れる場所などない。だから、ほかに誰かがいるとは思えない。
だというのに俺の熱源センサーが反応するのは誰かしらが隠れているということだろう。間違ってもセンサーが壊れているわけではない。
これ手に入れるのにどれだけ苦労したと思っているんだ。端から「壊れる」といった概念が利かないセンサーなんだよ。
「―――まさか気付かれるとは思わなかったよ。」
そう言いつつ目の前の暗がりから出てきたのは一体の大型犬であった。
ところどころ金属で覆われていたことを除けば、間違いなく犬であった。
……見た目は。
「……ロボットか。」
「私は機獣族だよ。」
そのまま床に寝そべり、俺を見上げるようにして会話を続けていく。
「私は形式番号PU-008UWXガルム、名をハウンゼン・ウルチネチット・ポイトザーンという。気軽にハウザーとでも呼んでくれたまえ。」
「俺はシンヤ・キリシマといいます。……それにしてもまたご立派なお名前で。」
ちょっと皮肉で返す。
「褒め言葉として受け取っておこう。」
「犬の名前にしてはご立派だ。何処かの誰かさんたちが好きそうなニュアンスだし。」
「犬ではなく、モデルは狼だよ。」
「そりゃ悪かった。……パッと見、区別がつけられなくてな。」
「良くあることだ。気になどしていないよ。」
……意外と理性的な大人だった。
ハウンゼンの姿は大型犬とほぼ同じ大きさであり、狼というよりレトリーバーといった姿であった。色は真っ黒であったからラブラドールといった感じ。
「それでキリシマ君は何故捕まったのかね?」
「…不振人物だからかな?」
「それはまた、自分で言うことではないと私は考えるがね。」
ハウンゼンはクツクツと笑い、続きを促してくる。
「よくわかっていないのが本当のところですが、貴方は何故です?」
「私は俗に言う『思想犯』というやつだ。」
………ロボットにも思想犯というものがあるとは思わなかった。
「それにしても、このような時期に捕まってしまうなんて、キリシマ君も運がないな。」
「…何かあるんですか?」
「知っているとは思うが、勇者の召喚が行われてしまったからね。」
「…されましたね。ついでに、魔王討伐の旅に出るとも聞きましたけどね。」
「このような情勢で他国に戦争を仕掛けるなど、皇国の貴族どもは一体何を考えているのだろうかね。」
「さてね。………そんなにやばい状況なんですか?」
「この国では勇者が2人も召喚されてしまった。それはつまり皇国の権力闘争がいよいよ本格化してきてしまうということ。内外に憂いを抱えていたからこそ抑えられていたものが、抑えられなくなってしまった。……その結果何が起こると君は考えるかね?」
「内乱、反乱、謀反、民族紛争、戦争……とにかく、一般市民にはうれしくないこと目白押しってな感じになると思いますけど?」
「そうだな。遅かれ早かれ、いつかはそうなるだろう。」
「……それにしても、まるで教師のような台詞ですね。」
「これでも私は元教師だよ。」
ロボット犬が教師とは………
少しどんな授業風景だったのか見てみたい気がする。
*****
霧島さんが投獄されてしまった後、私はエリゼナに連れられフェルの元へと向かっていた。
エリゼナが霧島さんにしたことは未だに納得は出来ないけど、霧島さんの存在を他の貴族や王族、特にフェルと対立している派閥の人たちに感づかれたら厄介なことになるという恐れからの行動と理解はしている。
今ここで霧島さんの存在を失うわけにはいけない。
彼を失ったら私はもう二度と元の世界に戻れないかも知れない。
フェルやエリゼナには悪いと思うが、ここで変な政変になんかに巻き込まれるわけにはいかない。私は、私と同じように召喚された勇者のように魔王退治なんて引き受けることなんか出来ない。
「………ナ、……キナ、…マキナ、マキナ!」
「…え、……な、何。」
「さっきから話しかけても上の空なのだもの。どうかしたの?」
フェルが私の顔を覗き込んでいて、
「って、顔が近いよ。」
「私の話を聞かずにボーっとしていたのだもの。何かあったのかと思うでしょ?」
霧島さんと別れてすぐに私達はかなり絢爛豪華なフェルの私室へと通され、フェルと会っている。
つまり、エリツィド皇国第三皇女フェルエミーナ・フォン・ロステンダールとお茶しているわけである。この国で数少ない信頼できる私の友達の1人と。
「でも、なんの怪我も無くよく無事に帰ってきてくれたわ。…本当に良かった。」
「……フェル。…うん、ありがとう。でもエリゼナや霧島さんがいなかったら本当にここにはいられなかったと思うよ。」
「…そうなの。あなたも、ありがとうエリゼナ。」
「もったいなきお言葉です。」
フェルの真後に直立不動で待機していたエリゼナが頭を下げる。
私達しかいないのだからそこまで硬くならなくてもいいような気がする。
「一応、エリゼナの報告があったからある程度は知っているけど、その『キリシマさん』とやらは貴方たちを助けてくれたのよね?そして、あなたが元の世界に帰る方法を知っているという。本当なの?」
「……多分、知っていると思う。」
「………いくら命を助けてもらったからといって、信じられるのかしら。」
「少なくとも、何かしらの情報を持っていると考えられます。私には理解できないことも話していましたが、マキナには通じるような内容でありました。」
「そうなの、マキナ?」
「霧島さんが日本人であることは間違いないと思うし、勇者として召喚された人でもないと思うよ。でなければ、あんなにも正確にこの世界のことを把握しているとは思えないもの。」
「彼が言っていたという『マキナたちの世界の人間によってこの世界が創られた』という話のこと?――にわかには信じられないわ。」
そう言ってフェルは顔をしかめる。
「だって、私達は作り物で、人形でしかないと言われているのと同じことよ?それが本当なら私達は生きてすらいないわ。彼の言葉は、女神どころか私達の存在まで否定していることと同義だわ。」
確かに、フェルの言っていることは当然の反応だと思う。
エリゼナもそうだったが、無理も無い話しだと私も思う。
今まで信じてきた宗教、価値観、倫理観は所詮作り物で、自分達のすべて偽者だといわれている。霧島さんの話を全部受け入れたら、自分達は創られた人形でしかないと認めることとなってしまという。
私だってそんなこといわれても信じることなんて出来ないだろう。
「どちらにしろ、ここで何か言ったって変わるわけでもないからとりあえず置いておきましょう。」
「先に、マキナの封印を解くのが先かと。」
「…そうね。でも、本当にいいの?」
フェルは本当にやさしい。
もし、力が戻ればもう1人の勇者と同じように私は戦場へと送り込まれてしまうだろう。帰ることどころか、逃げることも出来なくなってしまうかもしれない。
力が無いただの一般人という逃げ道が無くなり、私は皇国の兵器として扱われることとなるだろう。フェルが今までのように私を守れることなどできなくなり、下手をしたら私の力を隠していた件で立場が危うくなる。
今までのことで、フェルとエリゼナには返し切れない程の恩がある。
けれど、それでも、私は元の世界に帰りたい。
お父さんやお母さん、ちょっと生意気な妹と弟、家族がいる。学校に行けば友達がいる。10年間一緒の親友がいる。
恋人はいないけど、これからつくっていきたいし、デートだってしてみたい。
私には帰るべき場所がある。
帰りたいと望む場所がある。
霧島さんと出会って余計にそう思うようになった。
フェルやエリゼナは私にとってこの世界ではじめてできた大切な友達だ。
それは間違いないし、これからも大切にしたいと思う。
けれど、やっぱり、この世界は私の現実じゃない。
フェル、エリゼナ、私にとって二人は理想の友達だよ。
…でも二人の存在、それはとても現実感の無い、薄い、まるでただ流されるBGMのような感じでしかない。
そのわけを今やっと感じ取れた。
一つ壁をはさんだ向こうの劇を見ているかのような作り物感を感じていたんだと思う。
霧島さんは「物語」と言った。
私は「誰かが望んだ『虚構』がそこにある」と言われたのだ。
*****
牢屋暮らしは想像するほど酷いものじゃない。
現代のものを思い浮かべられては困るけれど、こと中世的な世界の物において清潔さとはかけ離れた場所(現実においてもヨーロッパの中世という時代が絢爛豪華で清潔な世界と思うのはまず間違いだが)だが、監視カメラも無ければ、番兵もほぼ見回りに来ない。牢屋内では自由に振舞えるのだ。よって肉体的には辛いが、精神的にはそれほど負担は無い(ただし、この臭気やじめっとした不快感に耐えられる精神があること前提)。
まあもっとも、基本的に人権とか無い時代であり、人間扱いされているわけじゃないからこれ以上ひどいところなんていくらでもあるけれども。
一応一国の王城の牢屋だから、そこいらとは比べ物にならないほど破格の待遇と考えるべき、食事が出るだけマシと思うべきなのである。
「しいて言うなれば、端から牢屋に入るようなまねをしなければ良いという話なのだけども。」
「何の話しかね?」
「たいしたことじゃありません。」
独り言は傍から視ると痛い呟きです。
呟いたのは俺なんだけどもね!!
今日で、この牢屋に入って三日目となる。
相部屋?の片割れハウザーは元教師だけあってか話上手で、なかなかにいろんな話が聞けたのは有意義な時間であった。こんなことでもないとこの世界の政治経済や歴史なんぞ知る機会なんか無いからな(実は物書きから送くられてきた資料にはこの世界の概要が無かった)。
最も、牢屋にいるのだから実際には何も出来なくて、話すことしか暇つぶしが無いのが最たる理由なのだけども。
出来事としては、昨日の昼過ぎに城が大きく揺れた以外に何も無かったしな。
地震では無かった。何かが爆発したみたいな衝撃だったが。
「……暇だ。」
何時までここに入っていれば良いのか。
正直なところ、さっさと幸喜たちを見つけて帰りたい。
この世界の行く末なんぞ、主人公達に任せてしまえばいい(幸喜たちを除く)。
ドロッドロの権力闘争や国家間のイザコザ、人種間戦争に巻き込まれるなんて真っ平ごめんである。勇者の魔王退治なんてその最たるものだね。
英雄願望なんざ自殺願望と同義よ。
まあ、そんな英雄じみた力なんぞ持ち合わせていないから関係ないのだけど。
「――――シンヤ、誰か来るようだぞ?」
ハウザーに呼びかけられて、意識を牢の出口へと向けると、確かに誰かがこちらへと向かうコツコツという足音が聞こえてくる。
「巡回の時間……にしては早すぎるか。」
「夕飯は先ほど配られたからな。」
固いパンに薄い塩スープのみの夕飯だったが、出ないよりマシと言っておこう。
当たり前だが、圧倒的に現代のパンのほうが旨い。
と考えているうちに足音が俺たちの牢の前で止まり、次いでガチャンと牢の鍵が開けられるような音が響く。
「出ろ。」
外から簡潔に一言命令される。
どうやらイベント進行したみたいです。
*****
「そう睨んでくれるな。三日も風呂に入れず、あんな誇りっぽい牢屋にいたんだ。匂いが酷いのは仕方が無いだろう。」
応接室に通した人物の初めての言葉はあまりにも軽いものでした。
これでも何度か対等もしくは見下されるように話しかけられたことはありますが、その誰もが私よりも身分が上か、同等の人々でありました。
少なくとも平民にこのような態度を取られることなど今までに一度も経験がありません。
マキナと同じく異世界人であり、身分制度が無い世界の出身であるということなのでしょうか?それとも元からそういう人物ということなのでしょうか?
彼には皇国の威光といったものが通じていません。これが私でなかったら不敬罪で処罰されてもおかしくは無いというのに。
「失礼しましました。……私はこの国の第三皇女フェルエミーナ・フォン・ロステンダールと申します。このたびは私の友人達を助けていただいたにも関わらず、あのようなことになってしまい申し訳ありませんでした。」
「別にいいさ。たいした問題じゃない。」
「あなた様の寛大なお言葉に感謝いたします。」
この目の前の男性がマキナを元の世界へと帰すための方法を知っていると報告を得ています。見た感じ、一般的な平民と区別がつかない。高貴な身分も者が持つような威圧感も無ければ、特別何かを感じるほど優れた人物とも思えないのです。
彼の印象は普通の平民男性だ。魔力もほとんど感じることが出来ない。魔法も使えないとみて間違いないと思います。
だというにも関わらず、彼は皇国守護騎士の英雄ガシュペー卿のご子息トナーク・エッフェンドを倒し、マキナとエリゼナを助けたのだといいます。彼女達を疑うわけではありませんが、信じられないのが私の気持ちです。
皇国守護騎士の名は伊達ではありません。親の七光りが通用することは無く、騎士団結成から実力主義の世界です。実力が無いものがいられるほど騎士の名は軽い称号ではありません。
あまりにも不可解すぎます。
しかし、今の私に選択権などありません。
もう、時間は待ってはくれないのです。
「シンヤ・キリシマさん、私の友人のためにあなたのお力をお借りしたいのです。」
*****
「シンヤ・キリシマさん、私の友人のためにあなたのお力をお借りしたいのです。」
ホイ来た、本来ならあり得ないフラグが。
何でいきなり皇女なんて身分から、一般ピーポーの俺にお願いが来るわけですか?
「そんなの召喚した勇者とかにやらせとけよ」と心の中で思ったが、顔にも出さないのが社会人というものです。
というより、この状況は自分で蒔いた種だというのはわかっているけども、不平不満を言ってしまうのが俺という人間だと思っておけ。
「それは新條真樹菜を元の世界に送り返すといったことで良いのか?」
「はい、その通りです。…付け加えるなら、今すぐにこの城から連れ出して欲しいのです。」
正直、元の世界に戻すのは別にかまわない。幸喜たちを捕まえれば俺も帰るのだから、そのとき一緒に連れて帰ればいいだけの話だ。
「……帰すことに問題はないのだけど、今すぐにという訳にはいかない。」
新條を帰すことに異議は無い。しかし、それは今すぐに出来るということではない。とにかく幸喜たちを捕まえ、物書きと連絡が取れないことには俺ですら帰ることは出来ない。
「俺はこの世界にある目的で来ている。それを達成しないことには帰ることが出来ない。今すぐに帰すという願いをかなえてはやれない。」
「結果的にマキナを元の世界に帰していただけるなら何の文句もありません。それはマキナも同じ考えです。ただ、今すぐ彼女を連れてこの城から、――いえ、この国から逃げ出して欲しいのです。」
なんかかみ合っていない。
嫌な警告音が先ほどからピーピー頭の中で鳴り響いている。
どうにも俺が考えている以上に深刻な事態に推移しているようだ。
「どういうことだ?」
皇女は真っ直ぐこちらを見ながらはっきりと俺に告げた。
「――――マキナの力が父上に知られてしました。」
何か今回もあんまり進んでいません。
時間をかけた割りになんだこらと怒らないでください。
これ以上の力など、作者には無いのです。
許してくださいな。
というか、プロット以上に内容が多くなりすぎて、終わりが見えてこないといった素人的状況に……。
というか素人なんですけど。
でも何とか終わらせます。
何年かかるかわかりませんが、がんばります。
1人でも多くの人が読んでくれて、楽しいと思っていただけたら幸いです。
これからもよろしくお願いします。