第四話 やっとこ動き出す腰の重い俺、ッつーか、用意もせずに冒険なんてできるか!
遅くなってすいません、やっと最新話を投稿します。
今回もほとんど進んでません。なにやってたんだか…。
今回も私の駄文を読んでくれる方々へ
ありがとうございます。期待にこたえられるかは解りませんが、精一杯がんばりますので今後ともよろしくお願いいたしますね。
それでは第四話をどうぞ!
この世界は、トロメイア、エヌシア、オクタンヌ、シュベルデーン、南極、北極の六大陸といくつかの列島諸国がある。大陸の中でも最大なのがシュベルデーンである。次いでオクタンヌ、エヌシア、トロメイアとなる。主にこの四大陸に数多くの人種が生存し、長い間繁栄を続けている。
世界には、大きく分けて機人、亜人、精霊、魔人、神人、人間の六種がいる。さらに人種にて細かく分かれるが、ひとまず止めておく。
この世界において人間の格は決して高くない。むしろ低いほうだといえる。それはあまりに人間が貧弱であるからであり、亜人が人とは比較にならないほど強力な力を持っているからでもある。
人の優れたる点はその繁殖力と適応力であるが、それを上回る程の能力が亜人には存在していた。たとえば、亜人種の獣人族では一般の女性であっても、鍛え上げられた成人男性と力比べをすれば、圧倒的大差でねじ伏せることができる。また、手練の傭兵が神人種の光翼人族の幼子に害を為そうとしても、彼らを守る神の加護を突き破ることなどないに等しい。力を補うための知識、技術も機人種の機人族や精霊種の森精霊には遠く及ばないでいる。
人間はその数の多さによって何とか他種族との均衡を保っていられるといった状況であった。そのため、人間が奴隷となり他種族の労働力として扱われていることも少なくない。
「人間であるというだけで生き辛い世界というのもつらいね。」
「さっきからぶつぶつ何言ってるんだ?」
「単なる独り言なので聞き流してください、親方。」
ワタクシただ今労働奉仕中でございます。
そして未だにレグタントでございます。
俺は幸喜たちを探す気があるのかと疑問に思うしだいでございます。
いや、探す気はあるのだけど、俺には主人公属性ないから「とりあえずお金もなく街飛び出す」なんてことしたらBADENDまっしぐらなんだよ。
都合よく、親切な人が助けてくれたりするイベントなんて発生しません!今までの異世界でそれを十分に経験してきた俺です。
そういうわけで、レグタントのダドリー工務店という工房で事務の仕事してます。一応社会人だったので、こういった仕事は十分できる。この世界ではどうやら学校に行くのは貴族か金持ちか、頭のよいヤツだけで、一般的なものではないらしい。基本的には親が教えていくのだが、それができるのも商人や村長の家の子程度で、ほとんどが読み書きできないという。だから、読み書きそろばんができて、それなりの知識のある俺は結構重宝されているらしい。聞いた話だけど。
「だからさっきから何ぶつぶつ言ってんだ!口動かすじゃなくて手を動かせ。」
「分ってますって、そんなに怒鳴らないでくださいよ。」
「遊ぶのは仕事終わってからにしろよ。」
「実際、もう終わってるんですけどね。」
「だったら知らせろバカ!」
親方に殴られました。
「いちいち殴らんでください。ちゃんと仕事できてるでしょうに。」
「お前、仕事速いし、優秀だけど、何か頼りないんだよ。」
ため息つかれた。
ここの売り上げが上がったのは俺のおかげなのにひどい言われよう。
まあ、売り上げがあがったのは、今までの運営がザルであったのが大きいのだけど。
親方のダドリー・ウォンペットは亜人種の土妖精という種族である。土妖精の種族的な特色なのか、どうも鍛冶師や大工、細工師などの職人が多い。この町の職人の8割が土妖精。そして職人気質の人がほとんど、豪快というか、大雑把というか、とにかく金勘定がへたくそすぎる。
「まあ、ええわ。今日はもう上がってもええぞ。」
「わかりました。親方は?」
「ワシも上がる。だから、さっさと帰れ。」
「帰れって、俺この工房に住み込みで働いてるんですけど?」
「土に返れ。」
「俺に死ねと?」
「冗談、冗談じゃよ!これくらい笑って返せ。」
悪い人じゃないのだけど、たまにむかつくことをしてくるのが厄介な人です。
「そういや、シンヤ知ってるか?」
「何をですか?」
「何でも、近々勇者様が妖獣退治にいかれるんだとよ。」
「勇者ってあれですか。2ヶ月ほど前に話題になった中央皇国エリツィドの勇者召喚が成功したってヤツですか?」
「そうだ、それだ。」
中央皇国エリツィドはその名の通り、エヌシア大陸のほぼ中央にある大国だ。その領土はエヌシア大陸の6割程を治め、多種多様な種族の集まる多宗教多民族国家となる。現代に置き換えるとするならば中国にあたる。その広大な土地から取れる豊富な資源に加え、人より優れる人種を数多く抱えるために人材の宝庫でもある。そのためこの大陸で比類ない程の力を持ち、世界を担う超大国の一つがこの中央皇国エリツィドであるということだ。
ただ、いいことばかりという訳でもない。あまりに領土が広大すぎて、中央監査の目が届かない地方は不正と汚職で腐りきり(中央も腐っているが)、民族が多すぎて他民族同士の衝突が相次ぎ、宗教対立から内部紛争になったことも数知れず。中央集権国家であるためにさらにその問題は加速気味。ことが起これば中央王国軍がそのつど鎮圧するため、地方と中央の溝は深まり、人種・種族格差も広がり、問題は山積みな国でもある。
そんな爆弾抱えた国が勇者を召喚だなんて、まず間違いなくこの勇者が今回の主人公なんだろうけど、絶対碌でもないことになるね。俺の全財産賭けてもいい。
これで勇者が現実からの転生者でチート能力持ちであってみな?自らのエゴとご都合主義的展開で、世の中をかき回すだけかき回して、俺の死亡フラグを乱立してくれるから。きっと(泣)。
「で、そのエリツィドの勇者がどうかしたんですか?」
「何でも魔王退治に出るんだとよ。」
なんとまぁ…
「…ありきたりな話ですね。」
「まあ、勇者の仕事って言ったらそんなとこだろ。」
「それに魔王って、東トルステア帝国のイズベイル王ですよね。」
「そうだろうな…。」
東トルステア帝国とはエヌシア大陸の隣、シュベルデーン大陸の東方にある中央皇国エリツィドと並ぶほどの大国だ。その特徴は住んでいる人種の比率が異なるが、ほとんどエリツィドと似たりよったりだ。そして、昔からライバル同士というか、同属嫌悪というのか、両国は仲が悪いらしい。
エリツィドも東トルステアも大国という以外にこれといった特徴が無い。たとえば、<神星教国フォーティア>はレスティア教の教えを守る宗教国家であり、騎士国家の<カラド王国>の王は騎士王と呼ばれ、カラドの騎士はこの世でもっとも栄誉ある騎士とされている。魔術至上主義国家<ハルピュア連邦共和国>などは世界で屈指の魔術技術を持ち、魔術師であることがステータスとなる国だ。
そういった国々と比べれば、両国とも大国であるという以外に特徴が無い。いや、むしろ特徴が無いからこそ、ここまで巨大な国になったとも言える。好き嫌いなく、飲み込んでいけばいいのだから。その分、国がまとまらないといった問題があるが。
「戦争でも起こす気ですかね?」
「さあな、だが遅かれ早かれ、結局は戦争が起きるだろうがな。」
戦争というのは政治の札の一つであるのだ。もちろん、戦争には相手が憎いからという理由や文化的な対立から発展することもある。宗教の問題も中世ヨーロッパあたりでは存在した。しかし、領土確保、資源確保といった側面が無いわけではなかった。つまり、政治手段としての戦争、経済発展のための戦争というものだ。
日本の特需景気というものを知っていうだろうか。
簡単にまとめると、朝鮮戦争で、占領時下の日本を中継基地とした米軍が日本で物資調達のために大量の米ドルを投下したため、日本に多大な利益をもたらし、敗戦国で多大な戦時負債を抱えた日本経済が、急激に回復する一助ともなり、この特需がのちの高度経済成長の足掛かりともなった。
あくまで一時的なものだが。
不謹慎だが、戦争をするとある意味軍需産業にとっては儲かる部分があるということだ。
だが、まあ今回の場合は経済効果を求めての結果だけではないと思うけど。
「国民の意識統合と内部分裂の回避といったところが大きな目的かな……。」
「何じゃそりゃ?」
「勇者を召喚した理由ですよ。」
現在中央皇国エリツィドでは、中央と地方での格差が激しい。中央で政治を取っている大多数が人間であり、その他の種族が淘汰されている傾向にある。そんな中で、反発が起きないわけがない。人間以外の大部分の種族は地方へと移り、独自の文化圏を形成している。それが余計に中央と地方の溝を深める結果となっている。
この状況を打開するためにはどうするべきなのか。
解決策として行われた一つが勇者の召喚ということだろう。
おそらく、異世界の勇者による代理戦争といったところが目的だろう。国民共通の脅威を生み出すことによる意識の統一、それによる内部紛争の終結。勇者というカリスマを置く事による王家への不満回避。そうすれば、最悪被害は異世界人の勇者一人ですむし、うまく魔王を倒せば相手国を混乱させられる。
うおっ、えげつなっ。
しかし、これって勇者によるテロ活動を推奨しているみたいだな。
「戦争は害悪にしかならないのだがな…。」
「戦争はもちろん害悪ですが、<勇者の召喚>なんて、こんな思惑を生み出す人間の方が害悪だと、俺は思いますけどね。」
「……ままならんものだな。」
閑話休題
「話を戻すけどな、その勇者様が魔王討伐に出るため、優秀な武具が必要なんだと。だから各地から選ばれた鍛冶師は作品を王都に送るように勅令が出たんだよ。」
「優秀な武器や防具を渡せと言ってきたんですか…。」
「俺も選ばれちまってな、出さなきゃならんのよ。」
そう言う親方の声はどこか疲れたように元気がない。
「それって、政府が買い取るわけではないんですよね?」
「支援しろって言ってるんだよ。」
「タダ働きですか。」
「お上にたて突いたって何の特にもなりゃしねぇよ。黙って従うのが一番さね。」
「親方が良いなら俺は何も言いませんけど。」
とは言ったものの、おれ自身納得いくわけではないし、親方も内心では怒り狂っているだろう。
権力者にいいように振り回されるのはいつだって力のない一般人なのだ。そんなことを言っても仕方ないとは分っているが、納得できないのも人の感情としては仕方の無いものだ。
「…で、何を送るんですか?『原初の大火』でも送りますか?」
「誰がバカ正直に俺の人生最高の傑作を送るかよ。そんなのは適当に見劣りしないようなちょっと高めの業物を送ってりゃいいのよ。」
「良いんですか、それで?」
「良いんだよ。向こうだって、こんな田舎からそれほどいいものが送られてくるなんて思ってもねぇよ。適当で良いんだ。適当で。」
「じゃあ、適当に選んどきますよ。いつまでに送ればいいんですか?」
「明日。」
「明日!?」
「朝一番に王都まで送ってくれ。」
「しかも、運ぶの俺っぽい!?」
聞いてないし、いきなりすぎんだろ!
「俺が運ぶんですか!?」
「ウチの従業員、俺とお前しかいねぇじゃねぇか。」
「いやいや、冒険者か王都に行く商隊に依頼して送りましょうよ!」
「金がかかるだろ?」
金勘定が得意でないことは分っていたが、どうすれば安全で安く済むのか分っていない!素人の俺が運ぶより、専門の人が運ぶほうが早いし安くできるようになっているものだ。そこのところ分っていないのだろうか。
「良いんだよ。とにかく、お前が運ぶように。」
「そんな、急に言われても…。」
「お前、探しものがあるんだろ?」
まだ、俺が突っかかろうとすると突然、親方は真剣な顔をして話し出した。
「いつまでも俺んとこに居たって見つからんだろ。いい機会だからそろそろ行きな。」
「……」
「王都のほうが、こんな田舎より情報が集まる。お前の探しものもすぐ見つかるさ。行きの旅費はこっちで出してやる。退職金代わりだ、気にせず行って来い。」
親方は言いたいことを言い終わるとこちらの返答も聞かずに部屋を出て行ってしまった。
予定外のことに戸惑い呆然としてしまったが、これ以上ここにいても無駄だと思い、俺も親方を追いかけるようにして部屋を出た。
~時間は無常に過ぎ去り次の日へ~
「忘れ物は無いな?王都について仕事を終えたら手紙でもなんでもいい、とりあえず連絡だけは寄こせよ。」
「分ってますよ。これが最後の仕事ですから、きっちりとこなしますよ。給料も前借でもらってますしね。」
次の日の朝、俺は旅支度を整え、って整えるも何も、あまりに急な話だったので準備するほどなにがあるわけでも無かったのだけど。もともとそんなに私物も買ってなかったしな。着替えが増えた程度だな。
俺は運搬物であるダドリー工房製のブロードソードとリュックを背負い直すと、親方に今までの感謝の念を込めて一礼した。
「それじゃ、親方行ってきます。今までありがとうございました。」
俺が頭を下げると、ずいっと、目の前に布包みが突きつけられた。1m60か70はあるだろう細長い包みであった。俺が背負っている剣と同じような感じで包まれているので、おそらく刀剣類だとは思うのだけど。
「……何ですかこれ?」
「持ってけ。餞別だ。」
そう言って親方は、俺に強引に渡す。
「開けて見ても?」
「ああ、良いぞ。」
親方に許可を得て、包みを解く。意外なことに緊張しているのか思うように空けられず、途中から面倒になって強引に包みを破いて開けていた。
中かから現れたのはやはり剣だった。とにかく全体が真っ赤で、やや幅が細い型の大剣であった。どうやら両手剣のようでこういうのを確か「ツヴァイヘンダー」というのだろうか、どっちかといえば「フランベルジュ」に似ているような気もするけど。刀身が波打ってるし。
とにかく、全体が血を溶かし込んだように紅く、炎のように刀身が波打った、幅細い両手剣がそこにあった。
というかこの剣…
「…これ、『原初の大火』じゃないですか…」
「おうよ!俺の最高傑作よ。そこらへんの武具なんて目じゃないほどの名剣よ。」
「……俺がもらって良いんですか?」
「最高傑作とはいえ、どうせ蔵の肥やしでしかなかったんだ。ここいらの下手な冒険者になんかもったいなくて売れねぇ、だからといって訳の分らない勇者なんかに出すのも気にくわねぇ。だったら、見知ってる誰かが使ってくれたほうがそいつも喜ぶだろうよ。」
「…ですが。」
「お前なら、扱いきれるだろ?」
「…………。」
「解らないとでも思ってたか?お前の普段の生活を見ているだけでもかなりの実力者だというのは解る。動きの一つ一つが洗練されていて、動きに無駄が無い。それに熟練の冒険者と同じような感覚がする。長年鍛冶屋をやってれば見極めることだってできる。」
「親方って以外にできる人だったんですね。」
「年の功ってやつだよ。というより、以外にって何だよ!?」
「いえ、別に深い意味は。」
「…はぁ、まあいい。」
「にしても、親方も太っ腹ですね。」
「王都まで片道一ヶ月もかかる道程だってのに武器の一つも持たせんで行かせたら、自殺させに追い出したみたいになるだろが。それに、お前ならうまく使ってくれると思ったからだ。でなかったら、俺の自慢の作を渡すことなんてしないさ。」
そう言う親方の顔はどこか誇らしく、満足げに俺を見ていた。親方は、なんだかんだ言いつつも俺のことを考えていてくれていた。それだけで心が温かくなり、この人と知り合えたことに感謝した。
親方の心遣いはありがたかった。しかし、貰うだけいろんものを貰ってしまったが、いったい自分は親方に何をしてあげれたのかとふと考えてしまった。
今までに何度も多くの人に助けられて生きてきたが、自分は何を返してあげれたのだろうか。俺も26になり、俺を助けてきてくれた人たちのとの年齢も近づいてきたが、未だに彼らに近づけたとは思えない。彼らに恩を返せずに分かれてしまった。そして、未だに助けられるばかりで、彼らのように誰かを助けて次世代に想いを渡せずにいる。
そして、今回さらにそんな人たちの中にまた一人追加する羽目となってしまった。
本当に人生はままならない。
「ありがたく頂いていきます。この恩はいずれ、返させてください。」
「期待せずに待っとるよ。」
親方は笑いながら頷いてくれた。本当に頭が下がる。いい人にめぐれ会えた。これだけでもここに来たかいがあるというものだ。
「それじゃ、そろそろ行きます。これ以上遅くなってもなんですから。半年間ありがとうございました。親方もお元気で。」
「お前も気をつけてな。お前さんの探しものが無事見つかることを祈っとるよ。」
俺は深く頭を下げ、親方に最後の挨拶をすると振り返ることなく真っ直ぐ街の外れへと歩を進めた。
目指すは中央皇国エリツィド、王都エルファーレン。
片道一ヶ月の小旅行に行ってきます。
更新が遅れてしまったにもかかわらず、未だに冒険の旅に送り出すところで終了。
今回は独自の戦争観らしきものを書かせていただきました。皆様いろんな意見があろうと思いますが、こういった見方もあるものだと暖かい目で見ていただけたなら幸いです。
特に日本の特需云々は私の独自の解釈でやっておりますので、勉強不足が否めません。専門の方からすれば不満がある点も多々あると思いますが許してやってください。もしアドバイスがいただけるならいろいろとご指導お願いいたします。
そんな感じで今回第四話をお送りいたします。何かしら不満やここ直したらよいぞというアドバイスなんかも受け付けております。
どうか見捨てずに今後も読んでやってください。




