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第二話  初めてのことにはやっぱり驚く

異世界冒険なのに未だに異世界に行きません。次話ぐらいには異世界に主人公を飛ばしたいと思っていますのでもう少しの辛抱を!


それにしても、何か思っていたよりも話が複雑になってきたような気がするゾ?

おかげでぜんぜんな話が進まない。どうしよう?


いろいろ付け加えたせいで、わかりにくいかも知れませんがそれでもよいという方はお進みください。


それではどうぞ。




「まあそんな感じに、とりあえず行ってくれないでしょうか?」


「いろいろ端折りすぎだろ。」




何をどうすればいいのかが全く分からない。その新しく生み出された世界に行って俺にどうしろというのか?


「とりあえず、幸喜たちが巻き込まれたのはわかった。連れ戻したいという気持ちも理解できる。」


そこまでは良いとする。


「でもよ、今までなら、誰かが迎えに行ったことなんて無いだろ?俺が巻き込まれたときは3回とも自力で戻ってきたぞ。なぜに今回に限り迎えに行くという選択肢が出てきたわけよ?」


俺の経験上誰かしら知り合いが途中から巻き込まれた記憶は無い。


「それは今まで何も問題がなかったからです。物語が終われば勝手に戻れるようになっていたからね。」


「…?なら今回も話が終わるまで待っていれば自動的に戻ってくるんだろ?」


なぜに迎えに行くのか?

俺必要ないだろ、あいつら主人公特性ありすぎてほとんどの問題が裸足で逃げ出すぐらいだし。逆に俺が行くほうが問題を解決できなくなるだろ。基本的、あいつらにとって俺はお荷物だし…


自分で言って悲しくなってきた(泣)



「それが問題あるのですよ。」

「どんな問題よ?」


もったいぶるな。さっさと言えよ。朝の貴重な時間を割いてやっているのだから。後1時間もしないうちに出勤しなきゃいけないのですよ俺は。社会人として遅刻なんて許されないのだから。わかる?



「実は、もう物語は完結しているのさ。」



何だと?


「物語は終わっている。続きもない、外伝もない、そのさきのお話なんて書いてもないし、考えたこともない。なのに彼らは戻ってきていない。忌々しき事態だね(笑)。」



…笑えない。

こいつは問題しか俺のところに持ってこないのか!


「どうしてそうなった?解決策は?」


もうヤダ。やっぱりこいつと付き合うの考え直すべきだった。これじゃあ命がいくつあっても足りません!

リアルチート夫婦のやつらと一緒にしないでほしい。あいつらと同じことなんて逆立ちしても無理よ。


「理由としては、帰れない状況に至ったのだろうね。」


「例えば?」


「死んでしまったとか?」


「……。」




あいつらが死ぬ?悪い冗談にしてもたちが悪すぎる。


「…本気で言っているのか。」


「冗談で済ませられるような事態じゃないってことだよ。」


「…死んだかどうかはまだ確実にはわかっていない。ただその可能性もある、と考えろよ、と?」


「そう、その通り。その可能性はゼロじゃない。だけど僕はそのように物語を書いていない。ハッピーエンドで終わらせた。だから、あまり深刻に捕らえすぎないでほしいけどね。」



物書き(ライター)はそういって笑う。そもそも深刻なことを言い始めたのはお前だ!と言いたかったが、止めた。言ってもしょうがないし、話が先に進まないからな。




「僕は今回の物語を書き上げるに当たって、今まで書いてきた三つの物語の設定をすべて含めて新しい世界を描いた。そして、登場人物も君たちでなく、一から新しく生み出し、物語を進めていった。全く新しい世界を描き出したんだよ。」


物書き(ライター)はあったことを話していく。ただ、そのときの顔がなぜか泣いているように俺は見えた。実際には泣いていなかったし、無表情であったのだが、俺は泣いていると感じていた。どうしてなのかは分からなかったが…。


「最高の出来だと思った。君たちのおかげで出来た作品だった。だから、君たちに見てもらいたくて幸喜君たちに連絡を取ったんだ。そこではじめて、彼らが行方不明だと知った。」


「そのとき嫌な予感がしたんですよ。だからすぐに書き終えたばかりの物語を読み直したよ。そして驚きました。」


アイツはまるで、言いにくいことを言うように息を整えると重々しく口を開いた。


「……何せ主人公とヒロインの名前が幸喜君と雫さんの名前に書き換わっていたのですから。」









「僕はね、皆さんに感謝しているんです。貴方たちのおかげで最高の物語がかけました。そして勝手に僕の物語に登場させられて死ぬ目にもあったのにもかかわらず、未だに私と交流を持ってくれている。僕と友達でいてくれている。それがとてもうれしいんです。」


今までにない、必死に物書き(ライター)は俺に訴えかけてきた。


「だから、助けたい。そして、こんな私のわがままに今まで付き合ってくれてきたことに感謝したいのです。」


「お前…」


「ですが、今回の物語はあまりにも色が違います。今までは作者として物語に干渉することが出来ました。」


確かに、何度か物語の中にいながら物書き(ライター)と連絡とって、話を自分たちの有利になるように手助けをしてもらったことがある。そのときは「何たるチート」と思ったのだから。楽をしたのだから文句を言うのは筋違いだろうけどな。




「この物語はもう終わっています。完結しているんです。それは、世界が出来上がっているということ同義なんです。いくら私が作者、創造神だとしても干渉することが出来ないのです。もし干渉したら、どこかしら不都合が起きて世界が崩壊してしまいます。だから干渉できません。よって物語の中の幸喜君たちと連絡が取ることが出来ません。」



かなり大事な話になってきたぞ、これは。


「なら、どうしたら良いんだ?」


そんな縛りがあっては、一般人である俺にはどうしようもないような気がするのだけど?


「僕が考えうる解決方法はひとつ、この物語の続きを書くことです。」


「終わっていない物語ならば、お前の創造神としての力で、物語に干渉が出来るということか。お前は確か自分の物語の中に入ることが出来ないんだったよな。」


「そうです。そして、新しい物語の主人公として貴方を置きたいのです。そうすることで、僕の意図を信哉君が汲み取ってくれるでしょうし、僕も信哉君の意図を読み取って話を進めることが出来るはずです。そうなれば確実に幸喜君たちを助け出せます。」


「そりゃそうだ、言ってしまえばチートプレイというヤツだろうからな。」



男なら

経験したい

チートマン

      By霧島信哉




馬鹿なことを思ってしまった。







「話は分かった。」


「では、」


「難しいな。俺はもう26だ。今までのように学生じゃない。社会人として仕事がある。長期的にこの世界から抜けられない。そんなことは分かりきっているだろ?もし無事に解決して戻ってきたらリストラされていましたじゃ困る。俺だけじゃない、幸喜たちもそれは同じだ。」


「……。」


「それを、お前はどうするんだ?冷たいだろうけど、善意だけで俺の今後の人生をかけてやることなんて出来ないぞ。」



力にはなってやりたい、幸喜たちは俺にとってかけがえのない親友だし、物書き(ライター)も幸喜たちの次ぐらいに長く付き合ってきたヤツだ。こういった付き合いが大事だとは思う。しかし、今回のことは今までとは違い、即答なんて出来ない。


今回の一件は俺の人生を大きく変えてしまうかもしれないのだ。職をなくすというだけではない。それだけではないと思う。


もしかしたら、俺も戻ってこられないかもしれない。今度こそ死んでしまうかもしれない。いくら手助けが入るからといっても俺自身が超人となるわけではないだろうからその可能性は大いにある。だから簡単には決められない。




戻ってきた後のことを考えればさらに難しい。


まず仕事をなくすだろう。

それはまだいい。もしかしたら、もう死んだことになっているかもしれない。もしかしたら、戻るまでにかなりの年月がたち、俺そのものの存在が入れない社会となっているかもしれない。浦島太郎のような感じだ。


いくらなんでもそれは辛い。




今まではそんなことなかったが、今後ないとは言い切れない。事実、幸喜たちが行方不明になって一ヶ月近くたって捜索願が出されている。物語の中に入ってどれだけの年月が過ぎているのか分からないが、現実と時間の流れが異なっていればそれはそれで大変だ。


こっちでは一ヶ月でも物語の世界では10年とか20年とかたっていたら…




やばいだろ実際?


リアル浦島は辛いだろ?




「すぐには返答できない。今後の人生にかかわってくるからな。」


やっぱり、決めるには時間がかかる。簡単に答えは出せない。


「もし戻ってくるのに時間がかかって、今の会社リストラをされたなら、僕の会社の社員として二人とも雇うよ?」






「………なんですと?」



「○○○○株式会社」


ちょー優良企業なんですけど?

俺の今いる会社より大手企業なんですけど?



「お前どこの子?」


「僕が取締役だもの。そのくらい職権乱用すれば出来るよ。」



初めて知った事実。ご都合主義にも程があるだろう!


「というか、君たちの人生を僕のわがままで振り回してしまっているんだから、そのくらいのフォローは出来るようにしておくよ。当然でしょ?人生かけてもらっているんだ、それ相応のものをこちらだってかけておかないと話にならないよ。」



俺が考える以上にちゃんと考えていてくれたみたい。以外だ。



「僕が精一杯フォローする。それでも、危険なことには変わりない。だから答えを出すのに時間がかかるのも分かる。けど、急がないともっと取り返しのつかないことが起きるかも知れない。」



「だから、お願いだ。今ここで答えを出して欲しい。お願いです。僕の物語に入って、二人を助け出して欲しい!」



そう言って、物書き(ライター)は目の前で土下座した。そのとき初めて生の土下座を見たが、茶化す気にもなれなかった。


アイツの目があまりにも真剣で、これ以上にないほど切実に俺に訴えかけていたから…。




「ああこれは断れないな」と感じてしまった。

不思議なことに、一度そう感じてしまうと今までの悩みを軽く思ってしまい、俺の考えた問題がたいしたことのないように思ってしまう。そんなことはないのだが、心を動かされるということはこういうことなのかなと頭の片隅で思い、俺は…。






















「……わかった。行くよ。」










そう答えた。






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