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第九話  現状認識と情報共有の大切さについて考えていこう。

更新が遅くなり申し訳ありません。


遅くなった理由については、活動報告にて述べたいと思いますので、気になる方はそちらをごらんいただければと思います。


こんな小説でもお気に入り登録にしていただいたきありがとうございます。そして更新がこんなも遅くなりお待たせしてしまった皆様方にはお詫び申し上げます。すみませんでした。


これからは何とか月一でもがんばって更新したいとおもいます。

この小説が読者の方を喜ばせたり、楽しんで頂けることを願って。


よろしくお願いいたします。











「…………ぅ、ん……ぁ」




はじめに意識できたのはひどい頭痛と背中の痛さであった。

そこで自分が寝かされていると気付き、一気に意識が戻り始める。


ゆっくりと目を開くと、墨を落としたかのような暗い空と赤く照らし出された木々が視界を覆っていた。

ようやくそこで火の暖かさを感じ、目を向ければ男性が一人私のすぐ隣に腰を下ろしていた。


そこまで認識して、


ああ、寝かされていたのか。

そう思いながら、上半身だけを起こしキリシマさんへと。



「……気がついたか?」


「どこか痛むところは無いかね。何かあったら気にせず申し出てくれたまえ。こう見えても私は教師でね、それに若人を教え導くのは生きがいでもあるのだよ」




身を起こした私に話しかけてくる犬っぽい生き物がいた。




「…………犬が喋ってる」


「ふむ、君の世界では話す動物はいないのかね? まぁ、そう言っても私自身は機獣であって動物とはまた違う種族なのだがね」




(意味がわからない)

率直に言ってしまえばそんな感じであった。


奇獣って何?動物が喋るってありえないでしょ。「君の世界」って言うのは、私が違う世界の人間だって知っているって事?そもそも、犬が教師って何よ?

(なんて考えているのだろうな)

と眉間に皺を寄せて考え込んでいるマキナを横目で見つつも、「面倒なので放置」とキリシマは焚き火に目を向けていた。


ここで詳しく説明することも出来たが、説明することに意味はなかった。

この世界では、犬が喋ろうと鳥が喋ろうと、人となんら変わりないものとして認識されている。ここにおいて知的生命体―言語を使用し、意思の疎通を図る存在―と認識されている以上、そこにあるのは種としての差でしかない。

そのようなモノなのだと認識してしまえば良いのである。深く考える必要は無い。




「まずは自己紹介しよう。――私は形式番号PU-008UWXガルム、名をハウンゼン・ウルチネチット・ポイトザーンという。皆からはハウザーと呼ばれているよ」


「……はぁ、そうですか」


「これから君と共に旅をする仲間となる、よろしく頼むよ。……そうそう、これでも私は教師の端くれ。マキナ君はこの世界については分からないことも多いだろう。何か疑問に思ったことや不思議に思ったことがあれば何でも遠慮なく聞いてくれたまえ。


「…………ありがとうございます?」


「……いや、俺に不思議そうな顔を向けられても困るのだけど」




マキナは混乱の真っ只中から抜け出せないようであった。


ある程度マキナが落ち着いた上で、どのようにして彼女がここにいるのかという経緯をあらかた話した上で、彼女からの疑問や質問に答えていった(ハウザーが)。

だってさ、この世界のこと聞かれても俺がハウザー以上に何を知っているというのか。「所詮俺は異世界人なのよ」と自己弁護をしたところで誰にも攻められないはず!と考えていたのは今から考えるととても恥ずかしいことなので黙って心に秘めておくのが吉。

決して話に入っていけないから疎外感を感じたわけではない。そんな訳ではない。




「あ、……キリシマさん、ちょっと話は変わるのですけど」


「なんだ?」




ちょっと二人の会話から外されていたので、話かけられてちょっとうれしさを感じてしまい、「あれ? 俺ってここまで寂しがりやだったか?」と自分を心配する26歳の男がいたとかいないとか。




「そういえば、私を攫いに来たあの改造人間Aはキリシマさんなんですか?」


「……これまた唐突だな~」


「すみません気になったもので。で、違うんですか?」


「……まぁ、違うな。俺の身代わりみたいなものかな」


「身代わり…………。影武者というやつですね。」


「正確に言えば人型自立機械兵装、“オテロス”12機中の1機、『限定域戦闘対応特殊武装型機械人型兵装カイエ』というのが正式名称らしいけどな」


「…………なんですか、それ?」


「俺もよくはわからないのだけど、ロボットみたいなものだと思っていればいい」


「漫画みたいな話ですね」


「実際この世界そのものが漫画のように創られた世界なんだ。妄想の産物というヤツだな。何が起きても、有ったとしても不思議じゃないさ」




内心ではこのような状況に自分を叩き落してきた物書き(ライター)と幸喜夫妻に非難の嵐ではあったのだが。


キリシマ自身、文学や歴史に傾倒し、日本のサブカルチャーをこの上なく楽しむ人間ではあった。

しかし、それはすべて空想の産物。自身のいる世界とは隔絶された向こうの世界。絵の中の餅であり、決して交わることの無い夢であるという考えが前提にあった。それを覆して夢の中に自分が入り込んでしまうことに大変な不快感をキリシマは拭えないでいた。




「それに、嫌いじゃないからな。ああいった玩具も」




霧島はそのように返してはいたが、実際には先にも述べたようにその存在を楽しむどころか「痛すぎるだろ、その設定は」とかなり引いていた。

ドン引きとまでは行かないが。というか、改造人間Aって何だ?

カイエは一体何していたんだ? と考えていなかったわけでも無きにしも非ずというか、まぁそんな感じで。


このときの反応はあくまで、自身の意思とは別に迷い込んでしまった勇者マキナへの配慮である。彼女が意味も無いことに頭を悩ますことの無いようにと考えた行動であると共に、キリシマ自身に語りかけた言葉でもあった。


過去三回にわたり異世界へと召喚されたことのあるキリシマだからこそ、アニメや漫画のように自身が主人公となり世界をまたに駆けた冒険活劇を繰り広げるなんて事が現代社会の不況社会何ぞよりも難しいということを熟知していたことももちろんある。


しかし、彼の考えとして物語は読者あるいは視聴者の立場として存在するからこそのものであり、もしも物語の中に現代人が入り込んだとしたならば、入り込んだ人物の視点からでは、異世界は現実となんら変わらないものであると常々考えていた。


ご都合主義的な展開はまず起こらない。よって、彼自身は二次作品に多い異世界召喚なんぞ不幸以外の何物でもないと確信している。

最もこれは彼自身の経験から導き出された結論である。

ここで察して頂きたいのだが、キリシマは一度として日の目を見たことが無いというか、良いところは全て同じように召喚された幼馴染二人に持っていかれ、良くてサブキャラに甘んじていた。悪いときなどモブ扱いである。


そのため、キリシマ自身は現状をとてつもなく不幸であると認識しており、またそれが何時ものごとく優秀すぎる幼馴染達の巻き添えであるということも彼の心をより重くしている要因の一つではある。



テレビの前の視聴者であったなら話は別であった。つまるところ、異世界に召喚さえた現状の彼にとって、厨二病的存在―自身の能力も含め―は見たくも無い現実であり、唾棄すべき事実であるである。


彼が言うところによれば、

「異世界に来たからと言って、漫画やアニメの主人公になれると思っているやつは唯の馬鹿。現実を見据えることさえ出来ない、子ども以下の存在でしかない。というか、夢物語だと判っているから楽しめるのであって、現実に起きたら寿命が縮まるだけなんだけど」

である。


そして何より、そんな状況に甘んじて巻き込まれている自分自身に対して一番の不愉快さを感じていた。




「とにかく、今後どうするかを考えていかないとな」


「考えてなかったんですか?」


「行き当たりばったりが旅行の醍醐味ってなものです」


「……それは唯の考えなしの行動というのだよ」


「ありがとう、ハウザー。そういうツッコミは大事だな。日々の会話に潤いをもたらすには必要な合いの手だよな」




その後に聞こえてきた一人と一匹の深いため息は聞こえていないことにした。

人生は何事も程ほどに流していくことが大切、いちいち気にしていたら駄目だと思うのです。と、後のキリシマ自身は振り返り、そう語ることと成るのだが、それはまた数十年先のことであった。


















*****
















「結論として、南に向かう」


「……唐突過ぎるのではないかね?」


「何が南なんですか?」


「この場合は逃走経路というべきか、これから俺たちが向かう先のこと」




一通りの質問攻めを何とか防ぎ、マキナが落ち着いたところで今後の予定ともいうべき行動計画についてマキナとハウザーに話し始めるのであった。




「……と言っても西か南しか選択権はなかったのだけどな」


「何故南なんですか?」


「皇国の現状から鑑みての結論。皇国が今他国とどんな状態なのか多少なりとも聞かされているだろ?」




そして、おさらいと称してキリシマはマキナに自分たちが関わっていた国の現状について語ることとなった。もっとも、これから語ることはハウザーから教えてもらったことなのだけどもと前置きがあったが。




このとき、エリツィド皇国は多くの外敵を抱えていた。

皇国は大陸の東方にあり、大陸最大の強国である。もともとは船を使った貿易で成り立った小さな海洋国家であったが、何代か前の国王が優秀だったかなんかで国土が増えたとか何とか、他国侵略したとか、というハウザーのありがたい歴史講釈から始まったが、長いので端折る。



今現在、北のガウデメゾ国、エデルト民主連合と緊迫状態であり、何時開戦してもおかしくない状態である。また南にある隣国シュタットフォルト王国とは昔から不仲であった。今でこそ両国の間に戦などは起きていないが、国境線での小さな小競り合いは日常茶飯事であった。



ガウデメゾ国・エデルト民主連合は立憲君主制ではなく、民主主義の精神に従って建国された国家であった。ガウデメゾ国・エデルト民主連合、両国とも政治は民衆によって選出された議員による議会政治によって国家の運営がなされていた。



シュタットフォルト王国は皇国と同様に他民族他宗教国家であったが、国家の運営は皇国と異なり亜人がなることが多い。というよりも、王国が出来てから四百と数十年一度として人間の王が起ったことはない。

王国の国法では、王は種族や民族のわけ隔てなく“赤”(せき)と呼ばれる存在が王となることになっていた。この(せき)とは時代にたった一人だけ現れる王としての資質を備えた人物であり、概念であり、また精霊の一種であるとされている。現代の赤が死ねば、時代の赤が変わるようにして王国国内に生まれてくるという。それにより、シュタットフォルト王国には世襲がなく、王とは一代限りの存在であのだ。何故このような現象が起こりえるのかは未だに判明してはいないが、この“赤”という存在がシュタットフォルト王国にとっての支柱であり、根幹であった。



“赤”(せき)とは人間ではないのである。

ここが皇国との大きな違いであり、人間が王となれない理由であった。



正確には、“赤”(せき)は「人間として認められていない」というのが正しいのだが。



人間至上主義である皇国とは考え方が違うのはこの“赤”という王を立てていることにある。いわば、白は王となるために生まれてきた生命であり、機関であった。それこそ王国を動かすために歯車に過ぎなかった。ゆえに、その考え方は合理的であり、機械的。感情に左右されることが滅多に無いのだという。あくまで客観的な視点しか持つことが出来ず、自らの欲を削ぎ落とした聖人にちかいものがある。

“白”とは心を持った知的生命体でありながら、人間的感情を抑圧し、機械的・盲目的に国家に尽くす行政機関のシステムそのものであった。



このあり方には賛否両論存在するが、この世界において迫害されることの多い亜人や竜種、人間以外の種にとっては、自分達を人と対等―能力によってはそれ以上―に取り立ててもらえる環境は得がたいものであった。ゆえに、シュタットフォルト王国が今日まで人間以外の種の楽園のひとつとして繁栄してきたのである。



無論、皇国が亜人を蔑ろにしているわけではない。皇国の人口の約3割は亜人であり、貴族の地位に任じられた亜人も少なくない。その理由も様々あり、ここではあえてこれ以上記すことは避けておく。



結論を述べれば、“赤”(せき)が王として君臨する限り、皇国と王国が結ぶことなどありえない。それこそ、未曾有の危機が両国に訪れない限りありえない未来だというのが皇国国民の一般的な認識であった。また逆に、王国においても皇国の王権体制が存在する限りありえない未来であるだろうと考える国民が大半であった。



これだけであるならまだしも、皇国が最大の脅威として考えられているのが海の向こう側に控えているのである。しかし、これはあくまでエリツィド皇国の上層階級、つまり王族や一部の大貴族や将校の間で考えられていただけのことであり、皇国として公式の場においてなんらそのような発言や記録は存在しない。公式には両国ともあくまで不可侵という暗黙の了解が成り立っていた。


これには、海を隔てた異なった大陸にあるということがあったためであったろうし、両国とも内部に火種を抱えていたことも理由の一つであったに違いない。その他にも諸々の事情が折り重なった故の対応であったが、少なくとも今すぐに戦端が開かれるといった情勢ではなかった。



皇国は現在、内に多くの種族・民族を抱え、地方では宗教対立から内部紛争が小規模ながらも起きている状態である。近年になりその回数は減りはした。しかし、皇国政府による事前の対応の早さが功を奏して暴動には至らなかったというだけのことであり、火種が消えたわけではない。むしろ、抑圧された分その反動も大きいものとなるだろう。また怒りが爆発するのも時間の問題であった。ゆえに、皇国は自国領内の問題と今後の国家運営の基盤を固めるために必死となっているのである。




「――とまあ、ちと長くなったが今の国際情勢はこんな感じかな」


「……改めて聞くと、けっこう複雑ですよね。キリシマさんが言うようにこの世界が作り物で、私達の世界の誰かが描いた物語なのだとしたらもっと夢があるのかと思いました。」


「それはあくまで俺たち側の認識でしかないからな~。……この世界がどんな形で生まれたにせよ、人が生きていくということは綺麗ごとだけで済むものじゃない。むしろ、日本人として生まれてきた俺たちからするとこちらの世界のほうが生々しく感じるだろうな」


「生々しく、ですか?」


「常に身近には“死”というものが控えているし、現代日本では考えられないくらいに人の命は軽いものだからな。だから、この世界の人は基本的にその日その日を生きていくので必死なのさ」


「……そういうものですか」


「そういうものだよ」




そう笑いながらキリシマは答えていく。

このとき、マキナにはほとんどこの話を理解できずにいた。いや、正確には理解できなくなっていたというのが正しかった。


彼女自身、この世界に堕されたことは不幸極まりない出来事と捕らえ、元の世界に帰ることを第一の目的としていた。自分に良くしてくれた人は沢山いたが、勇者だの分けの判らない役を押し付けられ、望みもしない戦場へと送り出そうとする人ばかりであった。


そのために呼ばれたのだとは知っているが、望んで来た訳ではない。無理やり連れて来られた、拉致そのものであり、意に副わないからといって殺されかけるなど論外であった。

そのために、彼女はまだ知り合って間もないキリシマについていこうと、ここから逃げ出すと決めたのだ。それは、キリシマの話全てを鵜呑みにしたからではない。しかし、彼は紛れもなく自分と同じ世界の人間であるという確信があった。彼の知識はそれを裏付けるのに十分であったためだ。


そして、彼はこの世界を「物語」だといった。この話を聞いたとき、安堵とともに自分に起きたこの現象は夢のようなものだと認識をしてしまっていた。


自分が生きる現実ではないのだと。


自分は「物語」を読む読者の一人であり、たまたま「物語」の中から見ているに過ぎないのだと。


マキナはそう自分の心に言い聞かせて封をしてしまっていた。

それは、現実でありながら夢を見ているのだという認識を生み出すこととなってしまっていた。


ゆえに、マキナにはキリシマが言った「生々しさ」などどこに存在しているのかなんて理解できるはずも無かった。


テレビの前の映像に生々しさなどあるわけが無いのだから……。





「――他に何か質問はあるか?」


「これだけの大国に、どうして周りの国々は主立って対立できるんでしょうか? 普通ならそんなことしませんよね。まぁ、属国などのなりたいわけではないのでしょうけど」


「……ハウザー、パス」




唐突に振られたハウザーは、やれやれ仕方ないと口にして、体を起こす。しかし彼の態度は教師としての性が現れたのか、どこかうれしそうにして新しい生徒に解説を始めていった。




「単純に国として大きくなりすぎてしまったというのが理由の一つであるのだよ」


「大きくなりすぎたですか?」


「先にも述べたのだが皇国は中央集権国家をとっている。これは王が力を使いやすく、国を思い通りに作ることが出来るのだ。しかし中央の権力が強大で地方に行くほどその力は弱まってしまうといったことが起きる。そこまでは良いかな」


「はい」


「国が大きくなりすぎてしまい、王の目や手が地方まで届かない。それゆえにいくつかの地方領主が力を持ち始め中央に従わなくなっているのだ」


「……ゆえに、他国にとってはそれが付け入る隙になる、ということですか?」


「簡単に言ってしまえばその通りなのだよ」




このとき大まかな話の流れはキリシマが作っていたが、所々の注釈や内容の肉付けなどはほぼハウザーが行っていた。これは、彼が一番物事を知っていたということである上に、聞き手のマキナとしてもそのことを十分に把握していた。


このときは無意識でしかなかったが、このときの関係からハウザーとマキナには先生と生徒という関係が成り立ち、キリシマとは先輩と後輩といった認識がマキナの中に生まれていたというのは余談である。実際にはそれほど意味があることではないのだから。




「それに、勇者が誘拐されたなんて他国に知られたら馬鹿にされるどころか、国際社会での信用もガタ落ちになるな」


「皇国としてもそれだけは避けたいと考えるはずなのだよ。ならば、この問題は秘密裏に処理されるはずだ。軍隊を動かすような真似だけは避けたいだろう」


「というわけで、北は危ないので無理。東に行っても港は抑えられているだろうから船を使っての国外脱出は不可能」


「…………残ったのは西と南ですか。なら西に行くのが一番安全じゃないですか?」


「そうしたいのだけど、軍隊派遣されたらたまったものじゃないからな~」



「……? 先ほどの話からすると、勇者である私が誘拐されたことを隠すなら軍隊を派遣するといった大掛かりな真似は無いはずですよね?」


「まぁな、皇国は今シュタットフォルトと事を構えるようなまねは避けたいはず。だからまず南ではないだろうな。けど西は別なんだよ」




あからさまに嫌そうな顔をしてキリシマは答える。

そして、それ以上語ろうとしないキリシマに代わりハウザーが口を開く。




「西は皇国よりの地方領主や親皇国派の小国が多い、無理をしなくとも軍事演習など偽って、ある程度は動かせるはずなのだよ」


「……そんなに軍から逃げるのは難しいものですか?」


「無理じゃないというところだろうな。シンヤ君やマキナ君の力があれば逃げ切れないことは無いだろう」




しかし、とハウザーは続ける。




「私達は常に逃げるために動き続けている訳ではないのだ。いずれは見つかってしまうだろう。そうなれば逃げるのも容易ではなくなる。一人の人間に出来ることが限られているかぎり、やはり数の力は偉大なのだよ」


「はぁ、そういうものですか……。でも、南は皇国にとって敵国なんでしょう、入国できるんですか?」


「密入国に決まってんじゃん」




と、当然のごとくキリシマは言い張る。



「え?」


「え?」


「……なにそれ怖い」





















今回も説明がだらだらと多く、伏線をはりまくったのですが、今となって回収できるがどうかちょっと不安になってきました。


何とか収めていくつもりですが、どうか長い目でみて頂けたら幸いです。

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