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ホワイダニット

『キャラの仮面と素顔、その間にある“動機”――ホワイダニットで読み解く人物設計』



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こんにちは。今回は、私の創作経験から「キャラクターが仮面を被る理由」についてお話してみようと思います。


物語に登場するキャラの中には、明るく振る舞う裏で深い悩みを抱えていたり、無口で冷たい態度の中に優しさを隠していたり……いわゆる“仮面を被っている”キャラクターがいますよね。


でもその仮面、なぜ必要なんでしょう?



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■ 仮面は「嘘」ではなく「意思」


たとえば、いつも元気なヒロインがいたとして、その笑顔が本心とは限らない場合があります。

悲しみや罪悪感、恐怖を隠すために、あえて明るく振る舞っているのかもしれません。


ここで大事なのは、仮面=嘘ではなく、選択の意思であるという点です。

「そうするしかなかった」「そうすることを選んだ」

――この背景にこそ、そのキャラクターの“真実”が詰まっているんです。



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■ キーワードは『ホワイダニット』


推理小説では「犯人がなぜ事件を起こしたのか?」を重視するパターンを**ホワイダニット(Why done it?)**と呼びます。

実は、これってキャラ造形にもそのまま応用できます。


仮面キャラに必要なのは、「なぜそういう性格を演じているのか?」という“動機”です。

過去のトラウマ、誰かのための選択、自己防衛……その理由があるだけで、キャラがぐっとリアルに立ち上がります。



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■ 読者にとっての仮面キャラは“謎”である


読者の側から見れば、仮面キャラは“何かを隠している存在”です。

「この子、なんでこんなに軽口ばっかり言うんだろう?」

「笑ってるけど、本当に楽しそうじゃないな……?」

――こうした違和感こそ、読み解く楽しさの入口。


仮面の裏にある“動機”に気づいた瞬間、そのキャラへの共感や理解が一気に深まります。

一種の“キャラミステリー”として楽しめるのが仮面キャラの醍醐味です。



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■ 創作者の皆さんへ:仮面はゴールじゃない、“始まり”です


よくあるミスとして、「仮面キャラ=ギャップがあればOK」と思ってしまうことがあります。

でも本当に必要なのは、**「なぜ仮面を被るに至ったのか」**を設計しておくことです。


・仮面を被ったきっかけ

・本音を見せない理由

・仮面を剥がす時、何が起こるのか


ここまで掘り下げてこそ、仮面キャラはただの設定を超え、“物語そのもの”になっていきます。



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■ そして読者の皆さんへ:ちょっとだけ想像してみてください


もし「うざい」「軽すぎる」「冷たくて感情移入できない」と思ったキャラがいたら――

ちょっとだけ、**「もしかして何か事情があるのかも?」**って想像してみてください。

その一歩が、作品をより深く楽しむ鍵になることもあります。



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■ 最後に


仮面は「隠す」ためだけのものじゃありません。

“本当の自分”を守るため、“なりたい自分”であろうとするために必要な装備でもあります。


そして、仮面の理由を“動機”として描けた時、キャラクターは本当に物語の中で生き始めます。

読者の方も、創作者の方も、ぜひ“ホワイダニット”の視点で仮面キャラを見てみてください。


物語の“もう一つの顔”が、きっと見えてくるはずです。

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