1、地獄の、果て
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☆佐藤徹サイド☆
1月15日。
今日、彼女が寝取られた。
ホイホイ股を開く様な屑だとは思わなかったのだが開いてしまった様だ。
そして多分だけどセックスもしている。
あまりの絶望に俺はラブホから出て来た彼女を見ながら「何をしていたのだろうか俺も大概」と呟きながらそのまま歩き出す。
プレゼントを踏みつぶしてから詰ってからだ。
「ったく。本当に全く。どうしようもないぐらい苛つくな」
佐藤徹という名だから。
徹してでも一途に彼女を愛そうと思ったのに。
その彼女から先に裏切られるとは思わなかった。
これまでずっと楽しませようと必死になっていたのだが。
あっさり裏切られた。
「これじゃ高校にも行きたくないな…というか何もしたく無い」
そんな事を呟きながら俺は踏みつぶしたプレゼントを見ながら土砂降りの中、帰宅を始めながら町中を歩く。
街中はお正月気分を満喫して以降のカップルの姿があった。
次々にすれ違うカップルを見ながら俺は吐き気が湧いてきた。
「何をしているのだか」
そしてよろめいてしまい。
俺はそのまま女性とぶつかった。
慌てて俺は顔を上げる。
「す、すいません」と言いながら。
その顔を見て驚く。
彼女は…知っている顔だった。
学校で噂の究極の美少女の山吹小春さんだった。
他所行きの格好をしており俺に対して涙を浮かべている。
しまった。そんなに大きくぶつかってしまったのか?
思いながら俺はゾッとする。
すると山吹さんは「あ。ち、違うの」と言いながら立ち上がる。
それからニコッとしてきた。
「貴方。私のクラスメイトだよね。確か名前は佐藤徹君だよね?」
「そうですね。覚えていてくれたのですか?」
「そうだね。いつも1人でなんだか寂しそうにしている印象だったから。そんなに格好良い他所行きの姿をしているのが珍しいなって」
「ああ…すいません。実はちょっと色々ありまして」
「そうなんだね」
そう言いながら複雑な顔をする山吹さん。
そして「あ。ご、ゴメンね」と言いながら手を振る。
それからそのまま「じゃあね。また学校で」と言いながら去って行く。
俺は静かに見送りながら「こんな事があるとは」と呟く。
だってそうだろう。
陰キャが陽キャの女子に話をする事が出来るとは。
多少なりとでも神様が俺を見ていてくれたのだろうか。
「…やれやれだな。それにしても」
そんな事を呟きながら俺はそのまま歩き出す。
そしてコンビニで傘を買ってから俺は目の前を見る。
それから釣銭をそのまま握りながら家に帰宅した。
そうしてから玄関のカギを開ける。
「お兄。お帰り」
「よお。ただいま」
「どうしたの?何だか深刻そうな顔をしているけど」
「…まあ色々あったからな。正直ゴミの様な状態だよ」
「もしかして浮気されたの…?!」
「まあな。浮気だろうな。あれは」
義妹の梓はショックを受けながら俺を見る。
そしてギリッと歯を食いしばる。
それから俺を見上げてくる。
「何でそんな真似をするのかな」と呟きながらだ。
俺はその言葉に「分からないな。まさか俺の付き合っている彼女がそうするとは思わなかった」と切り出す。
梓はショックを受けた様な顔をしたまま「ねえ。お兄。復讐は?」と言い出す。
俺は傘を置きながらその手を止める。
「…復讐って何だ」
「このまま黙って居るつもり?流石に有り得なくない?私なら必ず復讐する。有り得ない」
「そんな事も一瞬は考えた。だけどそれじゃ何も解決しないし俺も悪人になってしまう」
「そうだけど!!!!!私はお兄が裏切られたのが悔しいの!!!!!」
「本当にお前は良い義妹だよな。…有難う。だけど俺はそんな気分にもならないよ」
「お兄は優しすぎる」
そんな事を言いながら睨みながら歯を食いしばる梓。
俺はその姿を見ながら「まあ仕方が無いよ。地獄に落ちてもらうつもりではあるけど。だけど今は何も考えられないから」と答える。
梓は「お兄…」という感じで俺を見てくる。
「あくまで許せないのは分かる。だけど今はもう忘れたい。すまない」
「…私は絶対に諦めない。地獄に落とす」
「そうしたら良いとは言えない。俺としてはお前にそんな事をしてほしくない」
「このまま黙って居るとか有り得ない」
「お兄。一つ良いかな」と切り出した梓。
それから玄関に上がった俺を見る。
俺は「?」を浮かべながら「どうした」と聞く。
すると梓は「私はお兄が好きだから」と言ってからそのままリビングに去った。
え?それはどういう。
.....。