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帽子心中

作者: 石川 瑠佳

 帽子は、いつも主人の頭にのっているんだ。長い間使った帽子は、持ち主の気持ちに寄り添おうとしても、おかしくはないじゃないか。


 私は、男物と女物の帽子が仲良さそうに、池の真ん中で浮かんでいるのを見てそう思った。


 しかし、心中なんて、江戸の時代劇とかでしか聞かないな。令和どころか、平成でも聞かない。

 そりゃ、そうか。今時、カップルで心中なんてしない。するなら、せいぜい駆け落ちだ。家族が行きづまって、一家心中という悲しいものは、あるが。


 もっと嫌なのは、カップルのどっちかが、気にくわないことがあって、どっちかを殺すことだ。


 恋人を殺すことで、解決することなんだろうか?酷い、暴力を受け続けていたとか?それなら、ちょっと気持ちは、分かる。執着されたら、大変だ。

 ここは、科学の力と法律の力で、監視と近づいたら、もっと条件を厳しくして、それでも破って行くなら、懲役刑に処すとか。


 私は、帽子を見ながら、そんなことを考えていた。

 すると、男の方の帽子が、急に沈み始めた。


 持ち主が、世間から、受け入れられない愛に、耐えきれなくなったのだろうか?

 それとも、沈むなら、一人でと、考えたのか?


 沈んでしまった。


 帽子の持ち主は、どうせ元気だろう。

 そもそも、こんなことを考えるのは、私の恋が他の人に話づらい内容ということだ。

 きっと、私の恋愛内容を分かりやすく話せば、彼女は、ただ留まっているだけで。やり取りする相手がほしいにすぎず。付き合っているとは言えないと、言われてしまう内容なのだ。結婚する気もないだろうと、見られる。

 しかし、本当は彼女は私にぞっこんで、あり。私も、彼女のことを、凄く愛している。これが、現実。


 そりゃあ、本当に、完全に偽物の恋。暇潰しや、貢がせたい目的とか。詐欺の場合だってある。気を付けたいものだ。


 恋愛とは、相手を自分の家庭にふさわしく育てるものな気がする。結婚未満ということが、未来に向かって動きやすくするというか。

『こういう人が、好き…』や『こういう風にする人が好きなんだ』と、あんまりはっきり言うことは多くないが、やっていることはこんな感じに違いない。いや、もう相手がかもし出しているのを察するのだ。こういう恋愛作業を行っているにも関わらず、説明すれば留まっているだけ。

 淋しい。私は、少しは、のろけたいのである。


 ああっ、女の方の帽子も、沈んでいった。


 私は、ただ、明るく恋がしたいのだ。

難しいよね。恋愛って。もうちょっとだけ、風通しが良くてもいいかもしれない。

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