第5話 ゴボウ 私に触らないで
気がつくと、公園にいた。
ベンチでうずくまる。
時計を見ると、まだ9時だった。
今日、どうしよう。野宿したいけど、補導とか危ないよね。
だんだん眠くなってきた。
一旦寝よう。10時頃に起きればいいや。
「君、どうしたの?」
目が覚めると、サラリーマンっぽい男性が目の前にたっていた。
「もう遅いよ?中学生だよね、補導されちゃうよ?」
ニタニタした顔でこちらを見てくる。
「家に来るかい?お菓子たくさんあるよ。」
なんかやばいかもしれない。逃げよう。
「い、いや、大丈夫、です、。すいません。」
その場から逃げようとすると、腕を捕まれる。
「そんなこと言わずにさ、ほら、行こう。」
「やめてくださいっ!!」
腕を振り払うと、さっきまで笑顔だったおじさんの顔は一瞬で悪の顔になった。
「来いって言ってんだろ!!」
また腕を捕まれる。今度は力が強い。無理だ。逃げられない。
「おい、なにやってんの?」
横を見ると、金髪のヤンキーみたいな男の子がたっていた。
「え?、あ、この子とお家に帰るんだよ。邪魔しないでくれるかい?」
「お家に帰る?何言ってんの?こいつお家に帰る顔じゃねーだろ。」
「っ、!うるせえなあ黙ってろ!」
おじさんが男の子を殴ろうとする。
「おい、お前目つぶっとけ。」
言われたまま目をつぶる。
殴る音がする。1分ぐらいたつと、その音は消えた。
「目、開けていいよ。」
開けると、さっきのおじさんは居なくなり、傷だらけの男の子がいた。
「大丈夫ですか?顔が、、。」
男の子はニヤッと笑った。
「これくらい大丈夫。お前こそ、腕大丈夫?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
綺麗に染まった髪、何個も空いたピアスの穴、完全にヤンキーだ。
「つーか、なんでこんな時間にいんの?何歳?」
「12歳。中学生です。」
「は?中学生がこんな時間に出歩くなよ。バカか。」
「…。」
そりゃそうだ。こんな時間に出歩くから危険な目にあったんだ。
「もしかして家出?」
「え、」
「あ、図星だ〜笑」
クシャッと笑った。少しドキッとした。
「やっぱお前可愛い。」
頭を撫でられる。でもなんか、懐かしい気分になった。
「どーせ、野宿するんだろ?」
「は、はい。そうですけど。」
男の子は満面の笑みで言った。
「俺ん家、来ない?」
ゴボウの花言葉は「私に触らないで」です。