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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おはよう

作者: ピノン

多くは語りません。


駄作です。

 「おはよう」という言葉は知っているだろうか。


毎朝のスタートを切る言葉であり、人と人とのコミュニケー


ションを取ることの出来る便利な言葉である。


しかし、少年はこの言葉が嫌いである。


それは、少年にとっては物語の終わりを指す言葉だからである。


両親のいない少年が、その言葉を使うのは毎朝バス停で待ち合わせをしている少女だけである。


少年は朝起きてから、朝食を食べ、歯を磨き、服を着替えて、バス停に向かう。


いつも通り、もうずっと繰り返したルーティーンを、、


少女を見つける。


「おはよう」と、少女は言いながら少年に手を振っている。


少年がどんな気持ちでいるかも知らずに。


瞬間、バス停にバスが突撃した。


ブレーキとアクセルの踏み間違いだ。


巻き込まれたのは2人。何も知らない者と、全てを知っている者。


少女と少年は死んだ。、、、、


 少年は朝起きてから、朝食を食べ、歯を磨き、服を着替えて、バス停に向かう。


何回目なのかはわからない、わかるのは、運命を変えることはできないということ。


いや、少年だけが助かるというならば運命を変えることは可能だろう。


だが、それをしないのは少女の為、いや少年自身の為なのかもしれない。


前を向くことは辛い事だろう。上を向いて歩こうという歌があるくらいだ、人間は現実を見たがらない。


少年は考える。一度は諦めてしまったが、もう一度だけ運命に抗ってみようと考える。無理でもやるだけマシだと考える。


もうずっと前に置いてきてしまった情熱を、また心の中で燃え上がらせる。


少女を見つける。


「おはよう」と、少女は言いながら少年に手を振っている。


少年は逃げたかった、辞めたかった、諦めたかった。


でも、もう決めてしまった。


少年は走り出した。走って、走って、少女を突き飛ばした。


バス停にバスが突撃した。


巻き込まれたのは1人、全てを乗り越えた者。


もうその者に朝は来ないけど、朝食を食べたり、歯を磨いたり、服を着替えることもできないけれど、、、


その者は最後の力を振り絞って喋った。始まりの言葉を、そして、物語の終わりを告げる言葉を。


「おはよう」




              〜完〜























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