#73
それから3日間程引きこもり書庫で情報を漁った。結果を言うとプラナについての記述はあった。しかし、資料に表記されていた名前はプラック。
その資料を読んで特性が似ているなぁ、でも名前が違うなぁと再度プラナを鑑定すると括弧プラックとか出た。マジいい加減。認識しないと分からないとか・・。
うん、まぁそれは良いか。この素材はトンデモ素材だ。魔晶石を作る時のように魔力を許容量以上込めると変質。魔晶石のいくつかの機能の代用となる。それに込める魔力量も少なくて済み魔晶石と違い量産可能だ。プラナの種類によってその特性も変わる。
これは言わば半導体、魔導半導体だ。更に記憶媒体として魔晶石を使う分には米粒の半分で大容量の記憶媒体として使用可能だ。
この資料が作られた時代は古代でも後期と見られてこれ以外の資料や他の物に使用された資料や文献は見られなかった。勿論、まだ書庫内全部に目を通したわけでは無いがこれは広まる前に文明が滅びたか何かあったのだろう。利権絡みで闇に葬り去られたとかね。
まぁその辺はもうこの時代には関係ないから思い切り使うよ。あとはロブやアッカがついて来れるかだね。
でもこれは革命的な技術だ。なんとか物にしたい。まずは研究して特性を掴み物にしていく。これは完全に秘匿事項だよ。オラ、ワクワクしてきたぞ。
そういえばロブとアッカといえば、最近ロブは錬金術をアッカは鍛治スキルが生えたらしい。ミッテも錬金術が生えたとか。これには見習い達も俄然やる気を出しているとか。良きかな良きかな。
あとは通信についてもとっかかりが出来た。何気ない日常会話から通信は何故念話にしているのか?という質問をされたからだ。そういえばそうだ、あの時は書庫の資料からたまたま念話の記述を見つけて採用したのだったか。
ならば魔力で音声そのものを送受信するか、データとして送り文字として再現するか、それとも音声に変換すれば良いのではということになって現在開発中だ。すまん、通信距離が伸びなかったのは俺が念話通信にこだわったからだな。反省反省、視野が狭い。
前世の記憶がある俺が気が付かなければいけないのにな。前世では、あれだけデジタル通信とかアナログ通信なんて事も知っていたのに情けないし悔しい。実際、念話はデータを受け取った後に念話に変換すれば良いことだよね。魔法陣は複雑になるけど問題無い。文字で送ればメールのような使い方も出来るしな。
魔法陣の構築だけなので多分遠征には間に合う。今回はシンプルに音声通信だけで良いと思う。
数日が経つと通信の試作魔導器が完成。かなり小さい。実際に運用してみるとEOとライズ間で約500㎞の距離との交信に成功。音声もはっきりくっきり聞こえ、まだまだ通信距離は限界に達していない。1000㎞の距離で通信できれば帝国に侵入した際に帝国領内とライデンで通信が可能だ。
今後はデータ通信の研究を行い、文字で送受信することが出来るようになる事を目指す。すでに目処が立っているのでこれもすぐに実現するだろう。
何か進展速度が恐ろしい。
この国の王城と公爵領には遺跡で発掘された大規模な通信魔導具があると言われている。1回の通信に膨大な魔力を消費するらしいが、こちらの物は魔力消費は軽微で多分その魔導具よりも高機能だ。何かすまん。
電波の概念を知っているだけでかなり魔力消費量が削減できる。魔力で電波を模倣なんて考えはこの世界の人は出来ないのだろうな。これにプラナを使った魔導半導体があるので単価も下がる。
プラックの加工方法の説明には魔力をプラックに許容量以上込めて維持するとプラックは高次元結晶体になる。その中の次元は高位次元となり結晶構造が5角形で立体で構成されているとか。なるほど分からん。これは魔晶石も同じだ。この現象が見られるのはプラックと魔石のみだという。魔石は高機能だが高次元結晶化するまでに大量の魔力が必要になるために簡単に出来ないので貴重な物となっている。その点プラックは機能は落ちるが高次元結晶化するまでにかかる魔力量は少なくてすむ。問題はプラック(プラナ)だが、幸いにしてライズの山からかなりの量が産出すると見られている。他の鉱石より深い位置にあるらしく、それなりに手間だが大したことはないだろう。
この魔導半導体だがプラナを高次元結晶化した物なので“プラクリス“と名付けた。単純にプラスチッククリスタルの略だ。プラナやプラックのクリスタルと考えてくれてもいい。
キングラプターの内部も完成した。今はカル爺の指導の元、アルカスとマルスが操縦訓練を行っている。この調子なら遠征の出発には間に合うだろう。
魔導通信器もナンバーが割り当てられてライデンの領主館、騎士・兵士待機所、ライズの工房、ポセイドの騎士・兵士待機所、大型工房。EO各機、兵員輸送車、ランナー各機に装備された。勿論、キングランナーにも搭載されている。
この電波を魔力で模倣したものを魔力電波とする。そしてその応用として魔力波レーダーを開発した。これはまだ試験段階だが全周囲半径300㎞の魔力を持つ物を探知可能だ。キングランナーには試作器を搭載している。今回の遠征ではこれの試験も兼ねている。
あと数日で遠征だ。準備も済んでいる。待ち遠しい。
ポセイド騎士・兵士待機所。
「カル爺、アルカスとマルスはキングラプターには慣れたか」
「ハイ、マリス様。もう大丈夫です」と笑顔。
「出発は明後日だ。それまでは十分に休んでいてくれ。遠征に出れば4人で交代で操縦しなければならないからな」
「そうですな。アルカスとマルスにも伝えておきます」とにこやか。
「なぁカル爺」
「なんでしょうか?」
「何かモラニデにいた頃が遠い昔に思えてならないよ」
「はははは、それはここでの暮らしが充実している証でしょう」と豪快に笑いながら話す。
「そうか、そういうことなんだろうな」
「マリス様はそのまま安心して進んでください。ワシらはその後ろから必死でついていくだけですな」と笑う。
「そんなもんか?」
「ハイ」と良い笑顔。この笑顔のためにも頑張ろう。
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