#60
ライデンに帰ると領主館と騎士・兵士待機所に念話器を設置した。これでライズとの通信が可能となった。
更に携帯用の念話器を作成。これは兵士が背負える大きさの物で巡回の際に兵士が通信兵として背負う事となった。まだ通信距離も40㎞程度だが今後はその距離を倍以上に伸ばして行きたい。
カル爺の協力でイーグルワンの改修が進み、武装も取り付ける事が出来た。
最終的なイーグルワンの簡単な仕様は、
・最大速度:760㎞/h
・最大高度:11000m
・最大航続距離:? (魔石の魔力が切れた事が無いため確認不能)
・定員:1名(2名※複座型)
・武装:13㎜×100㎜魔導機関銃 有効射程2000m(最大射程6000m)連射速度 450発/min
2門装備 装弾数1門4000発 計8000発(空間拡張により格納)
・念話通信機(最大通信距離40㎞)
以上の仕様となる。現在は複座型を作成中。これは近日完成する。現在の1機はカル爺専用機として運用。呼称をEO-01とする。
今後の様子を見て爆弾も作成する予定。
巡回する騎士・兵士から念話通信で航空支援要請を受けEOが爆装して爆撃による攻撃と機銃掃射により上空から支援。敵である複数の魔物を討伐するというプランだ。
今の所、この魔導飛行機を公開する予定が無いため、近くに飛行場が作れないのが悩みどころだ。今のままでは即応は難しい。ヘリなどの垂直離着陸できる機体を作れば良いのだが、まだそこまでの余裕は無いし、技術的な問題もある。まずはじっくりと魔導飛行機を発展させる。
今のままの技術でも十分オーバーテクノロジーなのだ。焦る必要はない。
去年の終わりに来た魔法師1人、錬金術師2人、鍛治師3人、木工師1人の見習い達は、基本的な事を学んだ後は魔法師はアンナと、錬金術師、鍛治師、木工師はライデンの工房で学んでいる。今年中には使い物になるだろう。
ユーボ部隊の4人はせっせと開拓民たちと農地を広げる作業をしている。もう2月になるがかなり広がった。3月終わりまでには現在の1.5倍に広がる。
ユーボ隊のマッキの娘10歳はハルと同い年で元兵士の娘という事で領主館で侍女として働いてもらうことになった。何故かサバスがやる気を出している。
2月の半ばになり1月に来なかったヨネンが来た。今回は子供が4人付いてきている。この子達はモラニデの孤児院の子だ。ハルとサバスからの情報で見込みがありそうな子を男の子2人、女の子2人を連れて来てもらった。4人とも8歳だ。
4人はハルとサバスからの誘いだと知るとすぐに了承。かなりハルに懐いているようだ。サバスは分からん。
この4人はまずは侍女と侍従として雇い、教育を施して将来は内政官として使おうと思っている。最初はハルが先生になり色々教えていく予定だ。これで少し領主館が賑やかになった。
イーグルワンの複座型が完成。これはEOW-01とした。複座とした以外は通常のEOと変わらない装備だ。
カル爺にセキュリティについて意見された。特にEO、EOWは今のままだと盗難の危険性がありもし盗難された場合、他がEOを真似て作ることは出来ないと思うが何かしらの対策は必要と言われた。
あまり考えていなかった。カル爺の言う通りだ。
冒険者ギルド登録時、冒険者カードに自分の魔力を登録する。これを使う。魔力は個人それぞれ違う波長でありそれで個人を識別できる。冒険者ギルドでは冒険者カードと個人の魔力を調べる事により、本人確認や2重登録出来ないようにしている。
ライデンではカードではなく、鍵を作ることにした。これに魔力登録してEO、EOW、トラッター、バイク、ユーボⅡに使うようにする。鍵自体に特殊な加工を施してあり偽造が出来ないようにした。具体的には米粒より小さい極小魔晶石を埋め込んでそこに模倣不可能な魔法陣を書き込んだ。これと登録魔力が必要になり、各魔導機械の始動には鍵を挿して魔力を流すとそこで登録魔力を照合して、登録魔力とあっていなければ始動できないようになった。
鍵も2種作成。トラッター、バイク、ユーボⅡの3種のみ動かせる鍵と3種にEO、EOWが動かせる鍵だ。
これで一応のセキュリティーは大丈夫かな。後は細かなルールを作って運用だ。
夕飯も済みマッタリとした時間が流れる。ハルの淹れてくれたハーブ茶を飲みながら息を吐く。台所では新しく入った子達が片付けをしている。それを眺めながら考える。
最近特に色々と作った。これには訳がある。
帝国がこのまま攻めて来ない訳がないからだ、旧ダイノス王国の統治が進めば攻めて来るだろう。もし急に攻めて来た場合、ここライデンから馬車や馬で向かっても間に合わない可能性がある。そのためのトラッターやEO、EOWである。
多分、帝国が攻めてくるまでには、後2〜3年掛かるだろう。それまでになんとか体制を整えたい。もう少し兵士や騎士も欲しいし、魔導機器に関しては兵員輸送車や大型の魔導飛行機も準備したい。他の魔導兵器にしても考える余地があるだろう。
間に合うだろうか?
自分の寝室に戻りベッドに寝転びながら考える。色々と考えていたが、時間を確認すると夜の11時だ。まぁウダウダと考えていてもしょうがないと目を瞑るも眠れない。マップを確認すると皆寝たようだ。
ふと起き上がり台所へと行く。何か夜食でも食べて気分転換しよう。
何を作ろうかと収納を確認する。アレが作れるかと、木のボールを出してそこに重曹、水、塩を混ぜ合わせる。
もう1つ木のボールを出してそこに小麦粉を入れる。そこに先程作った重曹水塩を作った8割ほど、小麦粉の真ん中に窪みを作り入れる。
徐々に混ぜていき大きな塊がなくなるまで均等になるように混ぜる。均等になったらボールに布を被せて5分ほど休ませる。
休ませたら魔力で包み踏んで固めるくらいの強さで魔力を使い揉み込む。これを繰り返し粉っぽさが無くなってきたら、生地を丸めて20分休ませる。
作業台に片栗粉を撒き、その上に丸めた生地を置いて綿棒で伸ばして行く2㎜程度の厚さに伸ばして折り畳む。それを包丁で1㎜の厚さに切って行く。
切った生地を4等分に分けて、それぞれに片栗粉をまぶす。それを収納しておく。
と台所入り口に人の気配。何か壁から顔半分だけ出しているハルがいる。こちら気づいたのが分かると近寄って来た。
「マリス様、こんな遅い時間に何をしているのですか?」と聞いてくる。
「気分転換に夜食でも食べようとしていた。ハル、お前も食べるか?」ハルは少し考えてから、
「はい、食べます」と返事をする。そうかと大きめのお椀を2つ用意。その間にお湯を沸かす。お湯が沸いたらお湯をお椀に入れる。
大きな鍋を用意してたっぷりのお湯を沸かす。そこに2人分の麺を入れて茹でる。茹でている間にスープを用意する。
お椀に入れたお湯を捨ててそこに鶏ガラスープを入れ、醤油、ごま油を入れる。
茹で上がった麺をスープの中に入れて麺をほぐす。その上に切った長ネギを添えて完成だ。
醤油ラーメンだ。
机にラーメンを用意。コップも2つ用意して水を入れる。箸も用意。
ハルと椅子に座りラーメンを食べる。
まずはスープだ。お椀に口をつけてスープを一口飲む。醤油と鶏がらスープの旨味とごま油の風味が出て美味い。懐かしい醤油ラーメンの味だ。
次は麺を箸で掴み啜る。ズズズと啜り麺を食べる。う〜ラーメンだ!重曹がカンスイの代わりになり独特の風味を再現している。美味い。
ちらっとハルを見るとスープを啜り一言、
「美味しい」と言って笑顔になる。ああ、ハルはやはり笑顔がいいな。こんなみんなの笑顔を俺は守りたい。
と今度は胡椒をかけて食べる。「美味い」
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