#54
クロイ、アンナ、ミクロに座学で光とは?闇とは?と概念を説明する。
半日の座学では飲み込めないので2日かけて座学と分からない所の質問などに応えつつ頭に入れさせて、3日目に光と闇の属性魔力球を作成に挑む。
光は3人ともなんとかできたが闇属性に苦戦。初めに成功したのはクロイ。翌日成功、斥候として闇の中を気配を殺して探索していた経験が役に立ったのかもしれない。
その翌日にはクロイが成功したのを見たことが良い影響だったのかミクロとアンナも成功する。
これでライデンにはマリス、ハル、クロイ、ミクロ、アンナの5人もの6属性使いが誕生したことになる。実はマリスとハルも1ヶ月程前に光と闇属性を取得したばかりである。もちろん、無魔法を入れると7属性となる。
ハルが覚えた光魔法は浄化の下位互換のクリーン。闇魔法は消音と睡眠。マリスはそれに加えて光魔法で光学迷彩、ライトボール、ライトアロー、フラッシュバン。闇魔法では認識阻害、ステータス偽装、ダークボール、ダークアロー、遮光シールドである。
フラッシュバンは光魔法と区別したが、これは複合魔法で風と光で構成されている。強い光は光魔法で光と共に大音響が鳴るのは風魔法で空気を破裂させて出している。これは結構な空気振動も加わる為、近くで鳴ると鼓膜が破れる可能性がある。
実は闇魔法の消音はフラッシュバンをテストする際に立ち会っていたハルが目は瞑っていたので大丈夫だったが風魔法の破裂音で耳をやられてしまい一日中耳鳴りが治らなかった事からできた魔法だ。もちろんハルにはかなり怒られた。遮光シールドもその流れでついでに作成。
さてクロイ、アンナ、ミクロの話に戻ろう。
6属性を覚えた3人はそれぞれ専門分野へと進んでもらう。
クロイは光学迷彩、消音、認識阻害、ステータス偽装などを覚えてもらい潜入や偵察特化の訓練をしてもらう。将来的には人数を増やして密偵部隊を組織する。
アンナは複合魔法を覚えてもらい攻撃に特化した魔法師を目指す。こちらも将来的には人数を増やして魔法部隊を編成したい。
ミクロは回復魔法を極めてもらう。クリーンで綺麗にして闇魔法の睡眠を改良して麻痺まで昇華させて怪我人の治療に使ったりと、あまり役には立つかわからないが知りうる限りの人体や病気に関する事、細菌・ウィルス・細胞などなど医学に役立ちそうな事項を教えてゆくゆくはエクストラヒールまで覚えて貰いたい。多分実現可能だ。今までヒールが病気に効かなかったのはウィルスや菌などについて知らないせいもあるだろう。これから試していく事で有効性が確かめられるはずだ。ここも将来的に人数を増やしたい。
まずはそれぞれの知識と技能の確立を目指す。彼らはその礎となってもらいたい。
そんなこんなで5月の頭になる。
何かもう収穫だとかいう話を耳にする。農地に行くと野菜がたわわに実り大豆は枝豆として一部収穫。甜菜も全て収穫できるという。なんで?
魔力の濃い地域ではこれが当たり前だと言う。そうなの?知らなかった。通常なら食べきれないがハルが保管できるので収穫後も植えるらしい。
え?逆に大丈夫?なんなの魔力って?不思議。
大豆は来週終わりには収穫できるとか・・マジですか。小麦と大麦は少し植えるのが遅かった事もあり後1ヶ月かかるとの事。
え?来月には小麦と大麦も収穫?大丈夫?
何かみんな笑顔だ。どうやら普通は開拓して2年は土地を開拓するだけで終わり農耕が始められる状態になるまでは3〜4年掛かるのだとか。その為に税が5年免除となっているそうだ。そうなんだ。ここは魔法や魔導具、ゴーレムもどきで作業した為に開墾と農作業が早く広い土地で作付け出来たから収穫も早く、人数が少ない開拓民で作業していて1家族の割り当ても多い。そりゃ皆笑顔な訳だ。開拓村が出来てからまだ1年経っていない。後4年と少しは無税だ。と言っても領主には税として徴収されるが5年は6公4民とした。各家庭ではそれでも多い収入となる。5年後は4公6民とする予定だ。その4公からアーナンテ辺境伯へ3割税として徴収される。またそこから何割かが王国へ納入されるのだろう。
開拓民達はもっと少なくても良いと言っていたが6公4民で通した。開墾や農作業に使われている魔導具やゴーレム擬きを貸与しているしハルが食品類を多く貯蔵して冬に夏野菜が食べられる事に対して開拓民は遠慮しているのだろう。
さてと甜菜が収穫できたので新たな特産物を作る。領主館側の土地でコルニデとは反対側に大きな建物を建てる。ここには業務用サイズの魔導コンロを数個設置して甜菜砂糖を作成する。鍋も多く用意。奥さん方にやり方を教えて作成してもらう。
これには奥さん方は大喜び。いつでも砂糖が手に入ると分かると積極的に参加。小さな壺も沢山用意して作成した甜菜砂糖を詰めて行く。かなりの量が完成。初めての生産だが上出来だ。
奥さん方の意見により甜菜の作付面積が増量が決定。大麦が削られる事になった。男衆はオレ達のエールが・・とか嘆いていた。まぁそれでも今回の大麦の収穫量から考えれば相当な量のエールが仕込める。問題ないだろう。
5月半ばにヨネン達が訪れる。最大月2回と言っていたがまだあまり出荷できるものが少ないので月1回だ。
今回は護衛の冒険者の他に何人かついて来ている者がいる。ヨネンに紹介されると鍛治見習いのロブ、大工木工師見習いのミッテ、裁縫師見習いのディア、錬金術師見習いのアッカの4人だ。
4人とも融通の効かないそれぞれの師匠に見切りを付けてこのライデンにやってきたという。まぁほとんどヨネンに騙さ・・説得されてきた様だ。
4人はコルニデ村を通過してきたせいか、ここライデンに驚いている。まぁそうだろうな。ここは頑丈な石壁で囲まれているし、立派な領主館に住居や宿、騎士・兵士の待機所に寮と少ないながらも充実している。それになんと言っても食材が豊富で料理も酒も美味い。
彼らは1日で気にいる。
とりあえず専用の工房が出来るまでは兵士の寮に入ってもらい、食事は宿で風呂は宿か共同浴場かを使ってもらう。
開拓民に急遽、綿の種を蒔いてもらう。これで裁縫師に何か布を織ってもらう事ができるかな。
ヨネンを領主館の応接室に呼び甜菜砂糖のサンプルを見せると、
「ま、マリス様!これは砂糖でございますか?!」
「そうだ」
「まさか!ここで作成しているのですか?」
「勿論、そうだが、売っても良いが秘密にしてもらう。売るのもアーナンテの領都での販売のみとしてくれ」
「分かりました。大体お幾らくらいで卸してもらえるのでしょうか?」
「今考えているのは現在販売されている砂糖の5分の1の値段を考えている」
「えっ!5分の1ですか?」
「そうだ。不服か?」
「いえいえ、そうではありません。安すぎます」と困り顔。
「後でヨネンが幾らで売ろうと知らんが、必ず現在流れている物よりも安く販売してくれ。少し独特の風味もあるし同等ではないからな」と聞いてヨネンはサンプルの甜菜砂糖を一口食べると、
「確かに風味は違いますが問題ないですよ。それで5分の1ですか。う〜む。分かりましたでは売りは5分の3で行います」
「そうか頼んだ。在庫はサバスから聞いてくれ」とヨネンと笑顔で握手する。
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