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#40

2月も半ばが過ぎ従者となる男の子が侍女長に連れられて離れへとやって来た。


「マリス様、このサバスですがまだまだ未熟ですが見どころがあります。今日から使ってください。ほらサバス、挨拶しなさい」とサバスの背中を押し前に出す。


「えっとあの、サバスです。今日からよろしくお願いします」とお辞儀をする。


「ああ、こちらこそ頼むな」と言うと侍女長は後でサバスの荷物をこちらへ運びますと言って館へと戻る。


「部屋はどうするか」


「マリス様、私と一緒で構いません」


「そうか、ではそうしてくれ。ハル悪いが寝室の案内と離れの説明をしておいてくれ。俺は少し出てくる。夕方には戻る」と言って離れを出る。


これから向かうのは裏山の反対側だ。オートマッピングのマッピング範囲を少しでも広げるのと新たな香辛料や食材、鉱石などの発見がないか調べる。


裏山の反対側に着くとマッピングされていない場所を中心に探索を始める。


まず見つけたのは胡麻だ。種子のみを収納する。出して確認すると金ゴマ・・いや白胡麻だな。これは当たりだな。


更に進むとクミン、コリアンダー、ウコン、カルダモン、オレガノが採取できた。どうやらこの辺はショウガ科の物が多いようだ。でもこのラインナップを見るとカレーを作れと言われているような感じがする・・・。


5時間程、昼食も食べずに身体強化をして動き回りマッピングを続けると、


《レベルが10になりました。マッピング半径が512mになりました。付帯スキル・機能、収納スキル容量500ℓプラス、錬金鍛治スキルが解放されました。》


マップを確認するとマッピング範囲が広がりそれと共に探知範囲も広がった。そこには500m近く離れているが鑑定したことが無い未知の敵対赤表示の魔物が居る。単独でいる。狙うか?とりあえず目視範囲まで近づくかと移動を開始。


目視できる位置まで近づくとそこには鹿の魔物“ホーンディア“がいる。この魔物は嫌われ者でなんでも食べてしまい、過去、開拓村でも畑に甚大な被害を出したことがある。繁殖力も強く1頭見たら30頭はいると言われるぐらい繁殖力がある。そしてそこら中を食べ尽くして人里まで来てしまう。見かけたら殲滅だ。


マップを見ると奥にも数頭のホーンディアがいるのが分かる。鉛弾を出して魔力で包み銃身を作成。内側にライフリングを刻み、狙い撃つ。


パンっと乾いた音と共に弾丸は飛びホーンディアの頭部に命中。ヘッドショット。


バタっと倒れ少し痙攣したかと思うと息絶えた。すぐに魔石を取り出して死体は放置。次のホーンディアへと向かう。


それから4頭のホーンディアを倒した時にレベルアップしたようだ。確認は後だな。


更に2頭倒して1頭は血抜きをして内臓を抜いて持ち帰る。鹿肉は美味しいと聞くがホーンディアはどうだろうか?楽しみだ。


周辺をマップで確認するといるのはホーンラビットが1羽だけだ。放置で良いだろう。


さて帰ろう。


暗くなる前に離れへと到着。


中に入ると、


「お帰りなさいませ、マリス様」とハルとサバスが出迎える。さて今日からサバスもいる事だし何か作ろう。


魔導コンロにフライパンを乗せて火にかける。そこに採取してきた胡麻を入れ炒る。ある程度火が入り色が変わって来たところで取り出し35〜40℃になるまで冷ます。


冷めたら魔力で包み魔力の刃で細かく砕く。砕いた胡麻を布で包み蒸気で3分程度蒸す。鍋を用意してその上に布で包んだ蒸した胡麻を魔力で包み絞る。絞った胡麻のカスは捨て絞った物は鍋の中にしばらく放置。放置していた鍋の中で油とその他で分離しているのを確認して油のみを収納。その後小さな壺に収納から入れる。


ごま油の完成だ。


フライパンを用意する。その中におろしニンニク、おろし生姜、白ワイン、ハチミツ、甜菜砂糖、醤油、ごま油、少量の一味を入れて煮立たせる。アルコール分が抜けたところで火から下ろす。そこに擦った炒りごまを入れる。


焼肉のタレの完成だ。


小皿を3つ用意してカットしたレタス、キュウリ、トマトを入れる。そこにオリーブオイル、醤油、白ワインビネガー、ごま油、炒りごまを混ぜて掛ける。サラダの完成。机に置く。


魔導コンロを机の中央に置きその上にシーズニングした鉄板を置く。


魔導コンロの火をつけ鉄板を熱していく。鉄板に熱が入ったらラッシュボアの背脂を取り出して鉄板の上で溶かして広げる。


3人分の木のトングを用意して大皿にラッシュボアのカットした肉を盛り付ける。今日はサラダがあるので焼く野菜はなしだ。


俺とハルは箸。サバスにはフォークとスプーンと箸代わりの細い木のトングを用意。


小皿も3人分用意して焼肉のたれを多めに入れる。白飯も木のお椀に3つ出す。


準備完了だ。


ハルとサバスに机の向かいに並んで座ってもらい肉を焼いていく。


ジュジューと肉が焼ける音と肉汁が焼け溶けて匂いが上がる。食欲をそそるよ。どんどん乗せて良い加減でひっくり返す。


さて焼けたようだそれぞれのタレが入った小皿に焼けた肉を入れて、さぁ実食だ。


タレが付いた焼けたラッシュボアの肉を箸で掴む。これはラッシュボアのロース肉かな。


口に入れると甘辛い焼肉のたれが口の中に広がり、続いて肉を噛むと肉から肉汁の旨味と甘味が滲み出る。それが合わさり極上のハーモニーを奏でる。


美味いよ。美味い。


サバスは俺が食べる様子を見て唾を飲み込む。ゴクンっ。今にも涎を垂らしそうだ。


「さぁお前達も食え」と言うとハルとサバスは恐る恐る食べる。一口タレの付いた肉を食べると目を見開きパクパクと食べ始める。サバスはフォークで食べようとしていて食べにくそうだったので白飯の上にたっぷりタレの付いた焼いた肉を敷き詰めてスプーンで食べる。これも美味い焼肉丼だ。それを見たサバスは真似して白飯に焼肉を乗せてスプーンで掬って食べる。


一口食べるともう止まらないガツガツと口の中へと掻き込む。それを見たハルは、


「サバス行儀が悪いわよ!」と叱ると、


「ハル姉、そう言うけどだって旨すぎなんだもん」と抗議するが、


「なんだもんじゃありません」とサバスの頭にゲンコツを落とす。


「い、痛ぇな。ハル姉、何すんだよ」と頭を抱える。マリスはそんな光景を見てこれも良い物だなと思う。


お読みいただきありがとうございます。


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