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#30

「そうか、では少し話を聞いてくれないか?」とハルに問いかける。


「なんでしょうか?」


「できれば何だが俺の侍女になってくれないか?」


「お屋敷の侍女ですか?私がですか?」


「そうだハルがだ」


ハルは少し考えると、


「少し時間を貰っても良いでしょうか?孤児院の院長先生に相談して決めたいです」


「分かった。俺は領主館の離れにいる。館の前の兵士には伝えておくから決まったら伝えてくれ」


「わ、分かりました」と頭を下げる。するとハルは走って行ってしまう。


館に戻ると正門にいる兵士に女の子が来る事を告げて交代する際は申し送りをしてもらう。


館に向かい辺境伯様に面会を申し込むと直ぐに了承されて執務室へと入る。辺境伯の後ろに護衛の騎士が1人と辺境伯となったことで新たに侍従から執事へと変わったロメスが辺境伯近くに立っている。


「なんだマリス」


「お願いがあるのですが」


「何だ言ってみろ」


「町で見つけた孤児の女の子を僕の専属侍女にしたいと思いまして」


「そうだなお前にはもう侍女はいないのだったな。良いぞしかし侍女長に言って適性を見てからだな」


「分かりました、それで構いません。まだ返事は貰っていませんが館へ返答をしに来ると思います。よろしくお願いします」と頭を下げる。


「侍女長にはこちらから伝えておく」と執事のロメスに目を向けるとロメスは頷く。


「ありがとうございます」と言って部屋を後にする。


昼食を食べてマッタリしていると扉をノックする音がしてガチャリと扉を開けて新しく侍女長になったラナとハルが一緒に部屋に入ってくる。


「マリス様、このハルですが中々見どころがあるようです。数日基本的な事を教えてある程度の事ができるようになればこちらに侍女見習いとして配置いたします」と頭を下げる。遅れてハルも頭を下げ、


「では失礼します」と館に戻って行った。


採用になって良かった。まだハルのスキルの仕様はわからないが多分この離れの防備は良くなるはずだ。今のままだと寝込みを襲われればひとたまりも無いからな。



翌日は朝から裏山を再度探索。今まで食料や鉱物資源を中心にマップ検索をしてきたがムクロジが発見されたことから生活に役立つものが無いか調べる事にした。


少し歩くとゴムの樹を発見。な、何でもあるな。群生しているゴムの樹に傷をつけて小さな壺に樹液が貯まるように設置。ゴム加工に必要なのは硫黄か、これは定期巡回している騎士達に聞いてみよう。


早速帰り演習場近くの騎士や兵士の待機所へと向かう。待機所の中に入ると、


「マリス様!」とアルカスが声をかけてくる。隣にはマルスもいる。


「アルカス、ちょっと聞いても良いか?」


「何でしょうか?」


暖かい水が湧き出てるか湯気が上がっている場所がないか聞いてみると、


「そういえば」とアルカスとマルスと一緒にいた騎士が、


「裏山の反対側の小川沿いに冬になると湯気の出る場所がある」と言う。大体の場所を教えてもらい行ってみる。


フルに身体強化を使い裏山反対側を目指す。昼を過ぎた頃にやっと反対側に出た。マッピング範囲が広くなったマップで小川を探す。・・・発見。比較的山近くということで少し高い小川沿いから探索する。15分程川沿いを行くと湯気が立ち登る場所を発見。


そこには川の水と地中から湧き出る温泉が混ざるお湯溜まりがあった。お湯溜まりに近づき温度を鑑定で確認すると50℃ある。湯には湯の華が浮かび鑑定によると硫黄泉であると分かった。周辺をよく調べると所々から湯気が出ている。とにかく温泉が湧き出ている場所を土魔法で加工して湯船を石で覆う。そこに直接温泉を受けると温度は60℃ある。そこから硫黄のみを収納していく。あまり量は採れなかったがとりあえずの量があれば問題ない。必要になればまた採りに来よう。


作った湯船はどうするか?もったいないな。ということで環境を整える。川から水が通る水路を作り温泉水に合流させてちょうど良い42℃辺りになるように調整。一応、流水量を調節できるように簡易な弁を設ける。まぁ板の隙間を調整するだけの物だが。


洗い場も作り排水も川に戻るようにする。


木を切り魔法で乾燥させて4本の柱を切り出す。それを湯船と洗い場を囲むように4隅に立てる。もちろん土魔法でガッチリ固定。


更に何本かの柱を切り出して屋根を組んでいく最後に土魔法で作った薄い石の板を屋根に敷いて完成。


早速、入浴する。


「くぁぁぁ〜」とお湯に浸かるときに声が出る。気持ち良い。少し冷えた身体に沁みる。


そうだ!と竹で作った深めのザルに卵を入れて源泉で温泉卵を作る。単にザルに卵を入れてドボンだ。


1時間程の長湯をして上がると温泉卵も出来たようで食べる。近くの岩でコンコンと割れ目を作り殻を剥いていく。


うん、美味そうだ。まずはそのまま食べると中はトロリと半熟で美味しい。良いね。次は少し塩を掛けて食べる。パクリと一口。


これも美味い!ネットリトロリとした黄身が濃厚でそれを塩が引き立てる。美味い。


湯船には石の板で蓋をして温泉は直接川に流れる水路を作りそちらへ流す。


今度来たときは隣に宿泊できる小屋を作ろう。


急いで戻り何とか日が暮れる前には離れに到着した。温泉は良い発見だ。明日からは早くから出かけて小屋を作ろう。


夕食を食べて風呂を沸かして入る。ムクロジの粉末を布につけて揉んで泡立てて身体を洗っていく。頭もそのまま洗う。お湯で流したら、木の桶にお湯と白ワインビネガーを適量入れて頭に掛ける。少し置いて髪の毛に浸透させたらお湯で洗い流す。簡易リンスだ。流石にムクロジで洗っただけだとゴワゴワする。


魔法で髪を乾かしたら魔力を枯渇させて就寝する。


おやすみなさい。

お読みいただきありがとうございます。


17:00にもう1話投稿します。


少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ムクジロじゃなくて ムクロジだと思うけど 異世界だからこうなの!と言われたらそれはそれ。 中の種子で羽根突きして遊んだら、娯楽としてはいいんじゃないかなと思った。
[一言] 遂に侍らせ女キャラ候補がきたかぁ。 どんどん駄目な要素増えてくなぁ。
2021/06/16 06:45 退会済み
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