#21
ラノイズ村からコルニデ村に向かう道はモラニデ村からラノイズ村間の道に比べ悪かった。かなり荷馬車が跳ねる。そしてお尻が痛い。
途中はかなり頻繁に休憩を入れた。後1時間ほどでコルニデ村に着くという場所に差し掛かった時マップに反応。道の右の林奥に6つの敵対反応。こちらに真っ直ぐ向かっている。
「カル爺!右林奥より敵対生物6つ!こちらに真っ直ぐ向かってくる!」
「!!、分かりました!アルカス!ナルス!戻れ!荷馬車を盾にして迎え撃つ!」それを聞いた騎士が乗る馬2頭がこちらに向かってくる。
騎士2人が馬を降りた時に林からグレーウルフが6頭飛び出してくる。すでに降りて構えていたカル爺は先頭のグレーウルフに素早く近づき一閃!簡単にグレーウルフの首が飛ぶ!その光景をみた後続のグレーウルフはスピードを緩めてカル爺を警戒する。騎士2人は左右に別れてグレーウルフを挟撃。かなりの速さで駆け寄りグレーウルフが振り向くと同時に首を刎ねる!残り3頭。
真ん中にカル爺。左右に騎士。それぞれ少しづつグレーウルフに近づく。後少しというところで林奥より遠吠えが聞こえてグレーウルフ3頭は林へ踵を返し逃走。
「さすがだなカル爺」
「なんのなんのカカカ」と元気だな。
「マリス様も早期の襲撃の探知。お見事です」とカル爺。2人の騎士がグレーウルフから魔石を抜き取りコルニデ村へと急ぐ。
カル爺も強かったが騎士2人も中々だ。今度稽古をつけてもらおう。
尻を庇いつつコルニデ村へと到着する。それを3m程の木の塀が取り囲む。村の入り口横には櫓がありそこに兵士が1人見張っていて門の扉は閉まっている。こちらを見つけた兵士が手を振るとそれを見た先頭の騎士が手を振り返す。
門の前に着く頃には扉が開きそのまま敷地内へと入る。ラノイズ村より狭く家屋は20軒程だ。
村で一番大きな家屋に着くと中から体躯の大きな男が出てくる。
「父上!ご無事で!」
「途中グレーウルフに襲われたがアレがそうか?」
「多分群れの一部かと思います」
「そうか。こちらはマリス様だ。今回はマリス様の希望で同行している」
「マリス様、お久しぶりです」確かカル爺の息子のアルヴィンだな。
「ああ、アルヴィンお前も息災で何よりだ。しばらく厄介になる」
「何もないところですがゆっくりとして行ってください」と頭を下げる。
「父上」とアルス。
アルヴィンは2人に近づくとグリグリと頭を撫でる。2人は迷惑がりながらも嬉しそうだ。
「お前らもゆっくりしていけ」
「「はいっ」」
今日はもう遅いので夕食を食べたら大広間で就寝する。もちろん魔力枯渇させる。
朝6時にアラームで起きる。大広間の中をみると騎士と兵士はもう起きているようだ。
短剣を持ち外に出る。少し広いところで短剣をゆっくりと丁寧に振って行く。何回か繰り返しているとじんわりと汗をかく。
ふぅと息を吐き周りを確認するとカル爺とアルヴィンが見ていたみたいだ。
「おはようございます。マリス様」とカル爺。
「おはようございます。マリス様、良い素振りでした」とアルヴィン。
「2人ともおはよう。素振りはまだまだだよ。短剣に振り回されている」
「それも身体ができるまででしょう」とアルヴィンが言ってくれる。そうだといいな。
「マリス様今日の予定ですが私とアルヴィンと騎士2人はグレーウルフの巣を殲滅に向かいます。上位種がいると思われますが問題無く殲滅して昼過ぎには帰還予定です。兵士は念のため村の防衛に置いて行きます」
「4人で大丈夫なのか?」
「問題ありません」とニヤリと笑いカル爺は答えアルヴィンと立ち去る。もう出かけるようだ。
さて今日は村内の探索だな。
顔を洗い朝食を済ませると村を隈なく探索。30分もしない内に終わるが、
《レベルが8になりました。マッピング半径が128mになりました。付帯スキル・機能、収納スキル容量100ℓ、採掘スキルが解放されました。》
久しぶりのオートマッピングのレベルアップ。ふむ。採掘スキルかこれで鉱物の採掘ができるな。地味に収納の容量が増えたのは嬉しい。
昼食を食べてマッタリしていると門周辺が騒がしくなる。門扉が開きどうやらカル爺達が帰ってきたようだ。
門へと向かうとモロか?という程デカイオオカミの頭部を担いだカル爺がいた。話を聞くとグレーウルフ30体程の群れのボスで上位種のジャイアントグレーウルフが率いていたらしい。群れの巣に近づくと通常のグレーウルフを速攻で強襲。全滅させてジャイアントグレーウルフはカル爺が笑いながら倒したらしい。
この討伐で周辺にいる魔物は大体討伐されて奥から新たな魔物が侵入してこない限り当分は安全を確保できた。これから本格的にラノイズ村へと続く道沿いを開墾して麦畑を造成する。
ここに来た主任務はこれで終了ということで明日からは通常の巡回を行う。ここの村の開墾が済めば数年後に新たに村をこの先に作るそうだ。
ここは位置的に上位種の魔物が多い魔の森の外縁部に辺り、森を挟んだ向こう側には敵対しているウルーク帝国領になる。この森の広さは王国よりも大きく深く王国、帝国どちらもこの森を通り攻め込むことは考えられない。
次の開拓村も森外縁に沿って作られるらしい。決して奥には作らない。
この日の夜は簡単な宴となり騎士と兵士はこの日だけはお酒を飲んだ。村の開拓民もその輪に加わり明日から始まる開墾作業と将来の展望を語り合い夜は更けていった。
もちろん子供である俺たちは早くに切り上げて明日の備えて就寝。
俺は勿論魔力枯渇して寝る。おやすみなさい。
お読みいただきありがとうございます。
誤字報告助かっています。ありがとうございます。
感謝と謝罪を兼ねて今日17:00にもう1話投稿します。
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