#02
朝アラームの音とともに目覚める。朝4時だ。
着替えて館裏の井戸で顔を洗いスッキリする。
「さて歩くか」と館敷地内を早朝から歩く。時間にして3時間、敷地の約5分の1程歩いたところで、
《レベルが2になりました。マッピング半径が2mになりました。付帯スキル・機能が解放されます。検索バー表示、鑑定スキル、探索スキルが解放されました》との声と共に使い方が頭に流れ込んでくる。
おっこれは便利だ!と考えていると、
「マリス様、朝食をお持ちしました」とミルナ。
「分かった。ありがとう」と言って離れに戻る。
離れに戻り机の上を見ると、
「黒パン一個か」
萎えるな・・。黒パンは硬いんだよなホント。柔らかくしようにもスープも無いしな。
コップに生活魔法の飲水で水を出して黒パンを水に浸して柔らかくして食べる。
「顎が鍛えられるな・・」となんとか食べ切る。
食べ終わると館の敷地内をひたすら歩く。昼になり離れへと戻るが昼食は来ない・・。
ああそうかこの世界の平民は朝と夕の2食で貴族が3食。という事はもう平民の扱いか腹が減って辛いけど水を飲んで腹を満たして空腹を誤魔化す。
夕方近くに館敷地の5分の4を歩いた頃に、
《レベルが3になりました。マッピング半径が4mになりました。付帯スキル・機能、収納スキル容量100ℓ、採取スキルが解放されました。》と声がして頭に使い方が流れ込んでくる。
これは便利だと、足元に落ちている石ころを拾い、
「収納」と唱えると手から石ころが消える。また出そうとすると目の前にリストが浮かび石ころがある。これを意識して、
「取出」と唱えると手のひらに石ころが現れる。
まだ夕飯までには時間がある。色々と試してみる。
検索バーに“食べられる物“と書き込み検索。半径4mにある食べられる物が辺り一面赤く表示される。
赤い表示に意識を向けると“雑草:食用可能“と出る。流石に雑草は苦そうで嫌だ。ではと検索バーに“食用ハーブ“と書き込み検索。すると赤い表示が20程度に減る。
赤い表示を意識するとドクダミ、ヨモギ、ミントと出る。やった!これでハーブ茶でも淹れるか!と採取しようとすると、
《採取しますか?YES/NO》と出る。もちろんYESを選択。更に、
《収納に保管しますか?YES/NO》出てこれもYESを選択すると赤く表示されていたドクダミ、ヨモギ、ミントが採取されて赤い表示が消える。
これは良いねと今度は“焚き付けに使う木材“を検索バーに入力して歩きながら枯れ木も採取していく。これは便利だ。
離れに戻り竃に枯れ木を出して火を付ける。備え付けの鍋に水を入れてお湯を沸かす。
コップに少量のミントを入れてお湯を注ぎしばらくしたら飲んでみる。これは良いね。清涼感のあるスーっとした味わいだ。癒される。
しばらくミント茶を楽しんでいるとドアが開きミルナが入ってくる。
「マリス様、夕食をお持ちしました」と机の上に黒パンを一つ置く。
「あれ?マリス様、何か良い香りがしませんか?」と鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅いでいる。
「あー、庭で採れたハーブを使ってお茶を淹れてみたんだよ」
「!。ハーブってなんですか?匂いは美味しそうですね」と物欲しそうな顔をする。仕方がないので、
「ミルナも飲んでみるかい?」
「良いのですか?飲んでみたいです」と全開の笑顔。コップをもう一つ用意してミントを入れてお湯を注ぎしばらくしたら飲ませてみる。
「飲んで良いよ」
「はい」とコップを持ち飲み始める。
「はぁ、これ良いですね!スーっとして気持ちが安らぎます」
「そっか、喜んでくれて良かったよ」
しばらくするとミルナは慌て出して、
「あっ、まだ仕事があるんだった」と急いで出て行く。忙しい奴だ。明日は館敷地内の制覇と時間があれば裏山まで行ってみるかな?
お湯に浸けて黒パンをなんとか口に押し込み完食。明日は香辛料とかキノコ類、芋類、果実が獲れないかな?
翌朝4時に起きて残りの敷地内を歩き制覇。無駄に敷地が広いな。5歳の足だし時間かかるのは仕方がないか。
離れへと戻りお湯を沸かす。沸いた所でミント茶を淹れてホッコリ。沸かしたお湯は鍋のまま収納しておく。時間経過で冷めるのかどうか調べる。
朝7時になるとミルナが来て朝食の黒パンを置いて行く。半分だけお湯に浸して柔くして食べて残りは昼食にする。
領主館の正門に向かう。守衛が2人いる。近づくのを気が付いたのか、
「マリス様どうしました?」
「外に出たいんだ。良いかな?」それを聞いて2人はヒソヒソと何事か相談すると門を開けてくれた。
「どうぞマリス様」
「ありがとう」と門を出ていく。
領主館敷地の裏側まで歩いて行くと裏山に辿り着く。とりあえず検索バーに“食べられる芋類、食べられる果実、食べられるキノコ、食べられる香辛料、食べられるハーブ“と記入して検索する。
辺りにはかなり豊富に食べられる物があるようだ。マップは真っ赤だ、後で確認するとして片っ端から収納していく。
途中休みながら昼まで採取とマップ埋めを行い昼食にする。収納から熱々の鍋を取り出して用意したコップにお湯を注ぐ。これに半分の黒パンを入れてふやかして食べる。最後にミント茶も飲んで一息。
こんなに食べる物が豊富なのになんで男爵家では食べないんだろう?普段もそれほど美味しいものは食べていないのに。食物の知識が無いのだろうか?多分そうだ。平民はどうなのだろうか?気になる。
休憩を終えるとまた歩きながら採取していく。
マップで時間を確認。15時だ。これから戻れば16時半頃になる。ちょうど良いかな。少し遠回りしながら来た道と重複しないように戻る。
領主館正門に着いた頃に、
《レベルが4になりました。マッピング半径が8mになります。付帯スキル・機能、索敵スキル、魔力感知スキル、収納拡張プラス100ℓが解放されました》と声がして使い方が頭の中に流れてくる。
索敵スキルをオンにするとマップに守衛2人が黄色で表示される。黄色表示は中立か。少なくとも友好的では無いのだな。
正門を潜り離れへと向かう。結構歩いたな。
離れに入り収納の中を確認する。おお、かなりの量が採れたな。山芋、山椒、ローズマリー、山ぶどう、アケビ、シイタケ、マイタケ、シメジ、リンゴ、シソなどなど大量だ。
竃に火を着けて鍋に水を満たす。沸いてきたらカットした山芋とシイタケ、マイタケ、シメジを入れて火が通ればローズマリーと山椒で香りと簡単な味付け。良い香りだ。
少し小皿に入れて一口。
「うん。美味い」シイタケから良い出汁が出てローズマリーの香りと山椒のちょっとしたピリ辛が程良い。とりあえずミルナが来るまで収納しておく。
ミント茶を用意してまったり。生活魔法の照明を灯す。MP1で3時間は灯せる。
「マリス様、夕食をお持ちしました」と部屋に入るなり鼻をヒクヒクさせる。
「ありがとう」
「いえいえ仕事ですから。マリス様何か良い香りがしますがなんですか?」
「うん?昨日と同じハーブ茶だぞ」
「そうなんですか?」と首を傾げる。すると「では明日」と出て行く。
「ふぅ」と一息吐いて鍋を出して更にスープをよそう。すぐに鍋を収納して黒パンをスープに浸して食べる。パンは硬いけど美味い。スープは成功のようだ。結構な量を作ったから明日の分も大丈夫だな。
食べ終わりハーブ茶を飲み一休み。明日も採取とマップ埋めだな。
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