#14
それから数日が経ち7月になった。
朝から裏山奥を探索している。この日までかなりの範囲をマッピングしたがまだオートマッピングのレベルは上がらない。
マップから警告反応!赤い敵表示が真っ直ぐこちらに向かってくる。ガサっと茂みから大きな体躯のイノシシの魔物が姿を現す。
あれはラッシュボアだ。敵認識されるとその鋭い牙と頑丈な身体で突進される。子供にはとても危険な魔物だ。ベテラン兵士1人でやっと討伐できるかどうかの強さだ。通常、この辺では兵士数人で倒す。
完全にこちらを認識しているらしく鼻息荒く睨んでくる。
突然、姿勢を低くして前足で地面を掻く仕草をすると、ブギョーっとひと鳴きして凄い速さで真っ直ぐ突っ込んでくる。
なんとか辛うじて避けたが、まずいまずいまずい。これでは速度差があり過ぎて逃げることはできない。
ラッシュボアは体を反転させてまた突っ込んでくる!
なんとかまた避けようとしたがラッシュボアの胴体に掠っただけで弾き飛ばされ転がり木に当たって止まる。質量差は絶望的だ。まともに当たれば死ぬ。
掠っただけでこのダメージだ。
なんとか立ち上がりラッシュボアを確認すると余裕なのかこちらが立ち上がるまで待っているようだ。
ラッシュボアが姿勢を低くしてブギョーっとひと鳴きして突っ込んでくる。
かなり速さで突っ込んでくる。もう避けるのは無理だ!あと3mと迫った時に魔力で右手に2mの鋼をイメージした槍を形成、左手で支えながら構える。
ラッシュボアも槍など関係ないとばかりそのまま突進してくる。残りの魔力を全力で身体に循環させて身体能力を上げる。
間近に迫るが一瞬で少し調整してラッシュボアの眼に捻りながら槍で突く!
グジュっとラッシュボアの眼に刺さりズズズと20㎝程刺さったところで槍先端に火魔法を発動。火の玉を高温で発現する。更に風魔法で酸素を火の玉に送り燃焼温度を上げる。
ラッシュボアはプギャーっと叫びながら槍の刺さった頭を上に振り上げる。振り上げられた頭によりラッシュボア後方に放物円を描きながら投げ出される瞬間、槍の魔力を吸収して頭を抱えながら丸くなる。ドサっゴロゴロと地面に投げ出され転がる。
「ぐぅ」と痛みを堪えながらラッシュボアをみると頭から煙を出しながらピクピクとして横たわっている。
なんとか倒せたか?
横たわるラッシュボアを見ていると痙攣も終わり全く動かなくなる。その瞬間、身体が少し軽くなり痛みも少し引いた。どうやらレベルアップしたようだ。
ふぅと息を吐き、その場に大の字になりしばし休憩。もちろんマップでの警戒は怠らない。
戦った興奮がやっと覚めてきたのでステータスを確認する。
[ステータス]
名前:マリス・アーナンテ(5歳)LV6→8
HP:9/29→19/39
MP:40/45→63/68
STR:24→34
VIT:13→21
AGI:21→28
DEX:17→23
INT:28→37
LUK:40→62
スキル:生活魔法(着火、飲水、照明、堀穴、送風)
固有スキル:『オートマッピング』LV7(マッピング半径64m 機能・内包スキル:時計表示、 日付表示、東西南北表示、自身位置表示、自身向き表示、タイマー、アラーム、検索バー表示、鑑定スキル、探索スキル、収納スキル600ℓ、採取スキル、索敵スキル、魔力感知スキル、魔力操作スキル、並列思考スキル、光闇土属性魔法適性、水魔法、火魔法、風魔法、盾術、体術、料理、解析スキル、調薬スキル、槍術new、身体強化スキルnew)
称号:異世界転生者
魔力は毎日魔力枯渇で増えているのでかなり多くなってきた。槍術と身体強化スキルが生えた。
魔力循環をして身体を強化して立ち上がる。少ししてステータスを確認すると魔力循環すれば自然治癒が早くなるようだ。少しHPが回復した。このまま魔力循環を維持しよう。
倒せていると思うが慎重に倒れているラッシュボアに近づく。
右手に魔力の槍を出して倒れているラッシュボアをつつくもピクリとも動かない。そこでようやく警戒を解く。
さて解体だ。ラッシュボアの肉は美味しいと聞く楽しみだ。
まずは首にナイフで刺して切り水魔法も使いながら血抜きをする。血が抜けたところで腹を割いて内臓を取り出す。これは廃棄。
次に皮を剥いでいく。前世の爺ちゃんが猪を猟で獲って来たのを一緒に無理やり解体させられたので余裕ではないが少しはできる。爺ちゃん元気かな?もう80超えているけど元気だった。
肉は大まかに肩、肩ロース、ロース、ヒレ、バラ、モモに分けて収納していく。肉だけで150㎏ある。骨に付いた肉も出来るだけ削ぎ落とす。収納の限界が近い。
魔石も採れた。大きさはピンポン球くらい。
皮は惜しいけど廃棄。持って帰れない。残りは全て堀穴で穴を掘り埋める。
さて今日はもう帰ろう!
離れについたらお湯を沸かして体を拭く。さっぱりとしたところで夕飯にする。
今日は魚を焼こう。釣ったマスを取り出して腹を割いて内臓を取り出す。腹の中まで水で洗い枝で作った串を口から刺す。
塩を満遍なく振り竃に火をつけて遠火で焼いていく。
プツプツと魚の表面が焼けて火が通って来たところで火に近づけて焼き目をつけていく。こんがりと良い具合になったところ火から取り出して皿におく。
塩むすびとスープを用意して夕食にする。
まずは魚だ。串ごと持って背中からガブリと食べる。皮がパリっと弾けて身がプリっとして口の中に魚の旨みと塩気が口の中に広がる。
美味い。シンプルだけど美味いね。
ガツガツと食い切り塩むすびとスープを飲む。
美味いなぁ。ご馳走様でした。
食後にハーブ茶でマッタリする。
今日はヤバかったな。危うく死ぬところだった。鉛弾丸を打ち込めばなんとかなったのか?いや、あの皮に数発当たったところでどうしようもないだろう。もう少し口径の大きい弾丸も用意すべきかな?考えよう。
疲れたので今日は魔力枯渇させて寝ます。おやすみなさい。
お読みいただきありがとうございます。
少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!




