#11
アラームが鳴る前に起きてしまった。おはようございます。
顔を洗い身支度を整える。外を見ると今日は雨だ、シトシトと強くはないが降っている。6月の中旬だし梅雨が近いのかもしれない。
簡単に塩むすびとスープで朝食を済ませる。今日は家の中でできることをやろう。
思いついて家の中の至る所を鑑定していく。鑑定しているのはカビ。麹菌に近いものがないか探している。
途中解析スキルも使いなんとかそれらしい菌を見つけて勝手に麹菌と名付けて検索して全て収納する。
次に鍋に水を入れて大豆を入れておく。これはこのまま放置して浸漬させる。
思い出してアケビ酵母を確認する。大分発酵している。上手くいったようだ。
深い皿に小麦粉を入れ細かくした甜菜砂糖と塩を少々入れる。そこにアケビ酵母と水を入れて混ぜる。
よく混ぜて馴染んできたら机の上をきれいにして小麦粉を振るう。そこに捏ねた小麦粉を置いて丹念に捏ねていく。十分捏ねた所で深皿に戻して濡れた布巾を被せて寝かす。
さて次は何をしようか?鍋がないなと館に貸して貰いにいく。館に着くと侍女が対応してくれて大きめの鍋を貸してくれた。離れに戻り鍋にたっぷり水を入れて沸かす。お湯が沸くまで収納から枯れ木を出して適当な大きさに折る。それを魔力の球体で包み込みイメージを膨らませる。そして発動。魔力の球体の中で風の刃が回転して枯れ木を砕いていく。
砕いた枯れ木を沸いたお湯に投入して煮込んでいく。
そういえば外に出した魔力だけど霧散させずに身体に戻すと魔力が減らない事が分かった。なので現在はMP2で鉛弾丸を撃つことが可能になっている。
今回使用した魔力球体はMP1でこれは回収したので±0。風の刃は属性変換しているので回収できずMP1消費となっている。よく考えたら粉砕するだけなら属性変換しなくても魔力で刃を作っても良いような気がする。今度試してみよう。
煮込んでいる間は暇なので唐辛子を出して種を取り、魔力で包んで水魔法で水分を抜き取り乾燥させる。乾燥後に魔力球で包み魔力の刃を形成して回転。乾燥した唐辛子を粉砕して細かくする。これを一度収納してから魔力球と形成した魔力刃を吸収する。出来たね、料理でフードプロセッサー的に使うだけならこれで十分だ。
小皿を収納から出して粉砕した唐辛子を収納から乗せる。一味唐辛子の完成。小皿ごと収納しておく。
煮ていた枯れ木を確認すると大分柔らかくなってきている。これを木べらで分解していく。更に煮込んでドロドロになってきた所で火から鍋をおろす。
鍋の中を解析スキルで解析する。少し情報量の多さにクラッとするが情報を整理していく。
まずは木の繊維以外の不純物を収納。更に解析結果から色素だけを収納。成功だ、繊維が白くなった。
鍋の中の木の繊維を魔力で包む。包んだまま板状になるように魔力を変形していく。型を作るように四角く変形させる。
上下から魔力板で押しつぶす。ここで溢れてきた水分を収納。更に圧縮していく。少し熱を帯びてきた所で魔力板を吸収。
ぺらっと紙が出来た。大きさはA2位だ。
触って見てもサラッとしていて良い出来だ。魔力刃でA3を1枚とA6を8枚になるように裁断する。裁断した紙は収納しておく。
なんだかんだとやっていたらお昼だ。また簡単に塩むすびとスープで済ませてハーブ茶でまったりする。
昼休憩を終わりにして朝捏ねたパン種を確認する。うむ、ちゃんと膨らんで2倍になっている。
これを膨らんだ空気を抜きながら少し捏ねたら4等分にして成形して濡れた布をかけて30分程休ませる。
少し休ませると生地がまた膨らんでいる。
収納から小麦粉を取り出して魔力で包む。パン生地の上で小麦粉を包んでいる魔力の下に細かい穴を開けて小麦粉を振るう。4つのパン生地に適当に小麦粉を振るったら、残った小麦粉は収納しておく。
ナイフを取り出してパン生地に浅く切れ目を入れる。これで準備OK。収納しておく。
竃に火をつけて火力を上げていく。火力が上がった所で竃の上に魔力でオーブンを形成。竃から立ち登る熱を循環させて魔力オーブン内の温度を上げていく。
鑑定で200℃になった所を確認すると収納から直接オーブン内にパン生地を出す。
そのままオーブンでマップの時計を確認しながらパンが焼けていくのを監視する。魔力オーブンを維持するのに竃近くにいるので暑い。
20分経ったところでふっくらと小麦色に焼けたパンを収納。魔力オーブンも吸収する。
完成だ。
収納から熱々のパンを一つ取り出す。両手でもち割ってみるとモチっとしていて簡単に割れた。中はふかふかで外はカリッとしている。割った時にパンの良い香りがただ漂う。
一口齧ると黒パンとは比べ物にならないくら柔らかくて仄かにアケビの甘酸っぱい香りがして口の中にあるパンを噛むと甘い。成功だね。すごく美味しい。半分は収納して半分はそのまま食べる。
途中、オリーブオイルに細かく砕いた岩塩を混ぜたものを塗って食べる。これも美味い。
夕方近くになり浸漬させた大豆を確認すると大分柔らかくなっている。
フライパンを火にかけて小麦を収納から取り出して煎る。よく火が通ったら魔力で包み魔力刃で粉砕。
次に浸漬していた大豆を火にかけて煮る。火から降ろすと炒って粉砕した小麦を混ぜて麹菌(仮)も入れて混ぜこんでいく。あとは濡れた布を蓋がわりに被せ置いておく。目安は4日程だ。
さて夕飯の用意をする。竃に火をつける。
ラックバードのモモ肉を収納から取り出して一口サイズに切って枝から作った串に刺していく。刺し終わったら塩を振るいかけて竃の火の近くに刺して遠火で焼いていく。今回は6本焼いている。
焼き加減を見ながら串を回転させて満遍なく焼いていく。火が通ってきたら少し近づけて焼き目をつけて完成。
4本は収納。2本は皿を出しておく。スープと塩むすびを用意したら夕食にする。
まずは塩焼き鶏串を一口。美味いです。シンプルに塩だけでも鳥肉の旨味が溢れています。そして一味唐辛子を取り出してパラリと塩焼き鳥串にかけて食べる。噛んだ鶏肉から肉汁が溢れて塩と一味のピリっとした辛味がアクセントになっている。
うま〜い!ビールが飲みたい。5歳な自分が恨めしい。
塩むすびとスープも完食してご馳走様でした。満足です。
食後にライムスカッシュを作って飲む。美味いスッキリです。
もう夜遅いので魔力枯渇させておやすみなさい。
お読みいただきありがとうございます。
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