#01
「これから祝福の儀を始めます。こちらに1人ずつお並びください」
ここはトリスタニア王国東にあるタラノイア子爵領のタラノス町にある教会。5歳を迎えた子供達が必ず受ける祝福の儀を行っている。王国民には必ず祝福の儀を受ける義務があり、そこで得たスキルを王国に報告して王国に貢献しなければならない。
そこでスキルの選別が行われ戦闘系スキルなら兵士や冒険者・傭兵。生活スキルなら農民・商人・職人などに振り分けられる。
大概の子供は親のスキルに近いスキルになる傾向があり、戦闘系ならば戦闘系スキル、生活スキルなら生活関連スキルになるのが大多数だ。
祝福の儀を受ける子供の中に貴族の子供が1人並ぶ。その子の名前は、マリス・アーナンテ。隣領アーナンテ男爵家3男である。
何人かの祝福の儀が終わると、
「次はマリス・アーナンテ様。こちらへ」と呼ばれ神父の前へと進む。神父の前へと行くと事前に練習した通りに片膝を付き神へと祈りを捧げる。すると体が光る。
「ではマリス様。ステータス開示と唱えてください」
「はい。“ステータス開示“」するとマリスの前に光る板が浮かびステータスが開示される。
「では確認させていただきます。!!・・申し上げにくいのですがマリス様は残念ですが“文字化け“スキルとなります」とそそくさと次の子を呼ぶ。
「!。マリスいくぞ!」と父に呼ばれ教会を出て行き馬車に乗る。
「ふん。よりにもよって文字化けスキルとは!つくづく使えないクズめ!」
そのまま1日掛けてアーナンテ男爵領の主村モラニデ村へとたどり着いた。馬車から降りると、
「あなたどうでしたか?」と迎えた正妻のマリアが聞く。
「無駄足だった!文字化けスキルだったわ!」と駆け足で領主館へと入って行く。
「ふふふ、本当に使えないわね」とマリアは笑い、
「マリス。あなたは今日から離れに住みなさい」と言って中に入って行く。
それをため息を吐きながら見てトボトボと離れへと向かう。離れの中に入ると8畳程の広さで簡単な竃と机と椅子がある。この部屋は他領や雇った冒険者・傭兵を一時的に住まわすための住居になる。とりあえず椅子に座る。奥に部屋が6つほどあり全ての部屋にはベッドが2つ用意されている。
「“ステータス“」と唱えるとステータスが浮かぶ。“ステータス“と唱えると自分しか見えなくて“ステータス開示“と唱えると他の人にも見えるようになる。
[ステータス]
名前:マリス・アーナンテ(5歳)LV1
HP:10
MP:3
STR:4
VIT:3
AGI:3
DEX:5
INT:10
LUK:20
スキル:生活魔法(着火、飲水、照明、堀穴、送風)
固有スキル:『オートマッピング』(不活性)
称号:なし
「ようし、なるほど」
なんで文字化けスキルなんだ?僕には読めるぞ。
と考えるとふと、
「あっ!これ日本語だ!」
そう文字化けだと思われた文字は日本語で他の人には意味不明であった。日本語ってなんだ?まぁ良いか・・。
「不活性だけどどうすれば良いのかな?」
う〜ん。スキル名を唱えれば良いのかな?まぁ分からないからやってみるしかないかなと、
「“オートマッピング“」と唱えてみた。
《オートマッピングを活性化します・・・。活性化しました。それによりLV1になりました。オートマッピング半径は1mです。マップを表示します》と声が聞こえて視界右上にマップが表示される。
「うわっ!」
続いて《付帯機能が解放されました。時計表示・日付表示・東西南北表示・自身位置向き表示・タイマー機能・アラーム機能が使用可能です》との声とともに頭の中に使い方が流れ込んでくる。
「うっ!」と頭が痛くなりその場に倒れる。
「マリスぼっちゃま!」と体を揺すられる。
「う、うん。ああミルナか」
「ああミルナかではございません!身体は大丈夫ですか!」
「ああ大丈夫だ。教会に行ったからか疲れが出たみたいだ」
「本当に心配しましたよ。机の上に夕飯を置いておきました。奥様からの命令でかなり少ないのですが申し訳ありません」と頭を下げる。
「いやいいよ。ありがとう」
「では館へと戻ります」と離れを出ていく。
ああ思い出したよ。俺の前世は日本人でブラック企業勤めのサラリーマンの36才独身。3徹してアパートに帰る途中でトラックに轢かれて・・・。異世界転生か。
夢にまで見た異世界転生!これは楽しまなければ!
でもちょっと今の立場は危ういな。でも逆に考えればあまり干渉されずに自由に動けるか?ヨシ!頑張ろう!
まずはスキルだなと離れの中を歩くと歩いた場所がマップに追加される。
LVがあるから多分マップを埋めて行けば経験値が貯まるのかな?
明日からは積極的に外に出よう。
2作目の投稿となります。よろしくお願いします。
ストックが切れるまで毎日1話投稿します。
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