Recollection-96 「影」
朝日を浴びながら向かう先は城の外壁東側、常に草木花が咲く公園の様な不思議な場所に集合する。
(友達には挨拶を済ませておいた、、。出発前にシーヤに会いたかった、、なんて、烏滸がましいかな。)
そんな事を考えながらイェットがそこに着くと、既に数名がその場にいた。
その中には同じ鴇ノ雛隊から選別されたオスクロ・ルークスの姿があった。
オスクロはイェットを見つけると笑顔を見せ手を上げる。
(オスクロさんが一緒なら心強い。、、、話した事はないけれど、、。)
イェットもオスクロの元へ走り寄る。
「おはようございますオスクロさん!とうとう出発、、流石に緊張します。」
イェットがそう言うと、オスクロは笑顔でポンと後輩の肩を右手で叩き、左手親指で自分の胸を指差す。
「オスクロさんも緊張してるんですね?」
イェットが笑顔で言うと、オスクロも白い歯を見せ頷く。
ザッザッザッ、、、
「君は、、以前に、、。」
2人の前に、1人の若者が歩み寄る。
「?、、、!、、あなたは、、。」
イェットは僅かな記憶を頼りにその青年の事を思い出す。
「鶻ノ雛隊の、、、マイダさん?」
「!、、そう、その節は本当にすまない。ほとほと失礼な事をした。この通り、、。」
黄褐色の直毛髪を真ん中で分けた、榛摺色の瞳のやや長身、22歳の青年マイダ・ミーツォ。彼も選別され双睛羇旅に参加する。
「いえ、あなたはあの時逆に他の人の代わりに頭を下げてくれていました。それなのに僕の方こそ、あんな態度ですみませんでした、、。」
「君が謝る事はないよ、全面的に正しいんだからさ。いやぁあの時は君の迫力に圧倒された、、中々どうして鴇ノ雛隊には化け物が揃い過ぎてるね!」
マイダは苦笑いしながら頭に手をあてがい笑う。
2人をポカンと眺めているオスクロ。そんな彼にマイダは右手を出し握手を求めながら話しかける。
「オスクロ君だね?君の刻削の凄さは予々伺ってるよ。この旅の間、色々勉強させて欲しい。宜しくお願いするよ。」
オスクロも照れ笑いを浮かべながらしっかりと握手をする。
「ケッ!いきなり仲良しこよしかよ⁉︎テメェ等、この旅は遊びじゃねぇんだぞ、オ⁉︎」
「⁉︎」
イェット、オスクロ、マイダが聴き慣れない声の方を向くと、木にれ凭掛かり腕を組んでいる若者がこちらを睨んでいた。
「あなたは確か、、。」
マイダはどうやら知っているらしいその男。
痩せ型だが筋肉質で翡翠色の短髪を逆立て、ギザギザした眉、吊り上がった目に飴色の瞳、額に斜め疵のあるエトナの民、24歳の青年。
「オッ⁉︎お前、俺様の事を知ってる様だな⁉︎」
「鵄ノ雛隊副隊長のエドさんですね。噂は予々、、。」
マイダは彼の先の戦いの戦果を知っている様だ。
「オッ!お前やるじゃねぇか⁉︎そう!「紫電の鵄」たぁこのエド・サモス・エトナ、俺様の事よ!宜しくなぁ!」
そう言うとマイダとエドは握手をする。それを側から見ていたイェットは思う。
(何処となくイグナに似てる、、、仲良しこよしは嫌いじゃないのかな?)
「!、、オメェ、エラく若ぇエトナの民だな、、ハイオーンより若ぇ奴たぁ、、、名前は⁉︎オ⁉︎」
エドは1番若いエトナの民の見た目から、どうやら最年少のエトナの民の事は知っている様だった。しかし話だけで会うのは初めてだ。
(イグナに似てるならきっと対応も同じかな?)
「初めまして、鵄ノ雛隊副隊長のエドさん。僕は鴇ノ雛隊のイェット・リヴォーヴ・エトナです。宜しくお願いします!」
イェットは礼儀正しく挨拶をする。
「オ⁉︎リヴォーヴって、あのリヴォーヴか⁉︎『幽霊』と言われた、、、オルブライトノット様の、、、まさか息子か⁉︎」
(!、、『幽霊』、、以前オズワルド王が言っていた言葉、やはり父さんの事なのか⁉︎)
「⁉︎は、はい!オルブライトノットは僕の父です。あ、あの、、『幽霊』と、言うのは?」
イェットはエトナ祭の夜に父がオズワルド王から『幽霊』と表現されていた事を思い出す。
「オォ!マジかお前オルブライトノット様の息子かよぉ⁉︎俺ァあの人に憧れて入団したんだよ!いやマジかぁ宜しくなイェット君!」
(し、質問の答えになってない、、、。)
「、、宜しくお願いします。ははは、、。」
エドは余りの嬉しさと意外な出会いからイェットの肩に腕を回して笑う。仲良しこよしになってしまった。
「エドさんが一緒なら心強いです。私は鶻ノ雛隊のマイダ・ミーツォです。程々よろしくお願いします。」
「オゥ!宜しくなぁマイダ!、、、で、お前は名はなんてんだ⁉︎」
エドはオスクロの方を円な瞳で見つめる。
オスクロも円な瞳になり人差し指で自分を指差す。
「あ!鴇ノ雛隊副隊長のオスクロ・ルークスさんです。」
イェットが気を利かせ代わりに答える。
「、、、何ぃ⁉︎オスクロだとぉ⁉︎、、、あの刻削の名人たぁお前の事か、、こりゃ楽しみだなぁ⁉︎オ⁉︎」
エドはニヤリとしながら左拳で軽くオスクロの胸を突く。
オスクロは取り敢えず苦笑いし会釈する。そしてイェットの肩をポンと叩く。きっとありがとうという意味だろう。
その時だった。
ぞくり、、、。
4人は得体の知れない悪寒に襲われる。
(オォ⁉︎こ、こいついつの間にこんな近くに⁉︎しかも足音がしねぇ⁉︎何モンだ⁉︎)
エドも額に冷や汗を流す。初めて遭遇する人物。
(⁉︎、、、なんだこの感じ、、「怖い」?、、以前ハイオーンさんに会った時とはまた違う感じだ、、。)
イェットは振り返りその者を目で追う。
、、、、、。
足音なく歩き、その者は1人皆から離れて木に凭れ掛かる。
長い黒髪を後ろに流しているが、表情は見えない。何故なら漆黒の面をしているからだ。服装然り、全てが黒い。
まるで影の様な者。
気がつけば、その場には10名が既に揃っていた。
ギィッ!
城壁に備えられた扉が開き、双睛羇旅を指揮するアトレイタスが姿を表す。その後には見た事のある2人の姿もあった。




