表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/226

Recollection-77 「プレゼント」





「、、、ぅ、、、、、、ぅう、、、、、、ぅ、、、、、はっ⁉︎、、っく、、、はぁっ、、」



ガバァッ!



眠っていたのであろう彼は酷く(うな)されたのち、上半身を勢いよく起こす。


全身には嫌な冷たい汗が纏わり付き、不快極まりない。


そして、その瞳からは何故か涙が溢れていた。



「はぁっ、、、はぁっ、、、、、、クソッ、、、。」





まただ、また同じ『夢』だ。


ここの所、同じ『夢』を何度も見る。



時間はまだ真夜中だろうか、ふと窓の方を見る。


カーテンの隙間から覗く窓の外は闇で覆われ、数える程の星が見えた。



明日も天気は良さそうだ。満月は街を薄く照らして見守る。




(、、、オレはどうしちゃったんだ、、、、クソッ!)



彼はベットから足を床に下ろして座り、涙を寝衣(ねまき)の裾で拭うと両手で顔を覆った。


少し怒りを覚えている肩は、荒い呼吸に合わせて上下に揺れていた。


この『夢』は、小さい頃から見ている気がするが、年齢を重ねるにつれて何故か、得も言われぬ感情に取り憑かれた様な気分になる。



(何なんだコレ、、、この『夢』を見るたびに涙を流し、虚しく切ない、どうしようも無い気持ちになる、、。心に『黒の穴』でも空いた様な、、。底無しの、、、穴が、、、。)



そんな事を考えた瞬間、肩が少し震えだし、笑い声が漏れる。



「はは、、は、。」


(何考えてんだオレは?、、『黒の穴』とか、厨二病じゃあるまいし、、、。クソッ!馬鹿馬鹿しい、、、。)



いつもこの感情に苛まれている間に、夢の内容は朦朧(もうろう)とし始め、殆ど忘れてしまう。




(うっす)らと思い出せるのは、岩が点々としている広野に立っている事。




知らない男性がオレの前で何かを言い片膝をつく、、、。何を言っているかは分からない、、、。



(これだけが、ぼんやりと記憶にあるだけだ、、。)



彼は眉間にシワを寄せ瞳は閉じたままふふっと再度笑う。


自分の胸内、心にある『黒の穴』の意味が分からず、怒りを込めて笑うしかない。左腕を膝の上に乗せ、右手は顔を覆ったままだ。





ふとベットの宮棚に置いてあるスマートフォンが気になって手にとる。


眠る前に誰かと連絡を取り合っていた事を思い出し、スッ、スッと指先で触り確認する。




      7月17日(土)


起きておるか?


       

              寝てる。



起きておるな。


明日の試合頑張る

が良い。


        

               了解。



なんだ?私からの

連絡は嫌か?


        

                別に。



オイどこの女優

気取りだ。


しかも古いのう。


       

               古いね。


            でもありがとう。

            頑張るよ。




うむ。応援して

おるぞ。


では、おやすみ。



       



      

(次あいつに会った時、ちゃんと面と向かってありがとうって言わなきゃな。)


スマートフォンを宮棚に置き、座った状態からバフッと後ろに倒れ込む。





(、、、こんなんで、試合に集中できるのかよ、、オレ。)



時計を見ると、夜中の2時12分。


彼は再度ベッドに潜り込み、瞳を閉じた。


明日は6時には起きて、試合会場に向かわなくては、、。



(またアイツと当たったら、次は勝ちたい、、。勝てたら、、、どんな、、気分、、に、、、。)





スー、、、スー、、、





再度眠りの谷底に転げ落ちてゆく彼の髪と瞳は、この国の世間一般の常識からはかけ離れていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ