Recollection-49 「宿命」
10月18日の夕刻。
ある者達は天召式を済ませ、
またある者は祭の準備に勤しむ。
その中には遺族の方々もいた。しかし彼等は戦死した者を『コーポリス国の誇り』として、涙を堪えつつ胸を張り仕事に勤しんだ。
中には生まれたばかりの子供がいた者。
結婚を約束していた者。
病気の身内の薬、診療費の為に命を賭した者。
それぞれに理由があり、戦禍に飲まれ命を燃やし尽くして、その生涯を閉じた。
この時代、彼等の世界では「死」は常に側に在る。だからこそ常にそれを感じ、全身全霊で生きていた。
後悔のない様に。
思い残す事のない様に。
いつかまた会える事を信じて。
明日の祭「エトナ祭」は国をあげての催事だ。この悲しみは祭で弔おう。笑顔で見送ろう。空に、天に迷いなく還れる様に。
敵にも理由があったのかもしれない。利用されたのかもしれない。
そして、敵もまた同じ人間。辛くても、悲しくても、悔しくても、憎くても、死人に唾を吐きたくても、弔うのが人間としての在り方。
これがコーポリス国に根付いた共通意識であり国民性だった。
コルメウム城の北東の至るところで煙があがる。
もう誰も争いません様に。
もう誰も悲しまない様に。
もう誰も、失いません様に。
全ての魂が救われるかなんて分からない。分かり様もない。だが今はこれを鎮魂の狼煙として天召式を執り行うのだ。
その頃、コーポリス国軍護衛団副隊長のオーディン・ミカミ・エトナはコルメウム城内でアトレイタスを探していた。彼はその場に居合わせた給仕のハニコ・ヒクタスに問う。
「君、すまないがアトレイタス総隊長を見なかったかい?」
「あ、はい!アトレイタス様なら城外の花壇にいらっしゃるかと。」
「成程ありがとう!助かるよ。」
城内の給仕からその情報を得ると城外花壇へ急ぐ。
高い城壁には幾つか出入口があり、それぞれの内側と外側に門番が存在する。オーディンは花壇に最寄りの出入口に向かい、門番にドアを開けてもらう。
花壇、見るからに広いその場所は公園の様にも見える。様々な草木が生い茂る不思議な空間。
そう、この場所は以前イェット達がシーヤとハイオーンを見た場所だ。
今そこには3人がいた。
「成程この様な所にいらっしゃったのですね?オズワルド王!それに王女様!ご無事で何よりです。アトレイタス様も見つかってよかった!」
そう、コーポリス国を束ねる一国の主人とその娘、そして護衛団総隊長のアトレイタスだ。
「オーディンも此度の戦いご苦労だった。本当にありがとう。君も早く休んだ方がいい、、が、何かあった様だね?」
オズワルドはオーディンの唯ならぬ雰囲気から、直ぐに何かあったのかと推測した。そして彼は続ける。
「シーヤ、すまないが四神の所へ
「嫌よ!、、、何かあったのなら、私も聴いておきたい。、、私なら大丈夫だから。」
シーヤは父の言葉を遮り我を通した。
「、、、そうか。わかったシーヤ、聴いておきなさい。」
オズワルドもいずれ知られるのならばと、今を選んだ。娘の性格を汲んだ。
「オーディン、今お話しても大丈夫ですよ。オズワルド様、シーヤ様なら大丈夫、本当に強い子です。」
アトレイタスはそう言うとシーヤの頭を撫でた。
「もう!いつまでも子供扱いしないて頂戴!私だって明日で13歳になるし、強いんだからね⁉︎、、それに、、私なりに『覚悟』もしてる、、。」
それを聞いた父と隊長は複雑な表情をする。
「、、成程、では、本当に今、話していいんですね⁉︎」
オーディンは念を押した。
「聴かせてくれ。」
オズワルド王も承知の上だ。
オーディンは頷く、そしてアトレイタスを一瞥し、周りを警戒し始めた。
アトレイタスも周りを見渡し、警戒する。
「、、大丈夫です。おかしな気配もない、、。オーディン、聴かせてくれますか?」
オーディンは頷き、彼等に少し近付いて話し始めた。
「、、これは、、『ムータレストリートゥス』に関わってくる話です。」
「「「!!!」」」
オズワルド、シーヤ、そしてアトレイタスが皆一様に真顔になる。
シーヤの額から頬にかけ、汗が滴る。秋も深まり夕刻となれば肌寒ささえ感じる時期にもかかわらず、だ。
(ムータレストリートゥス、、『約束の時』とも言われてる、、私の宿命、、、。)
いつも本当に読んで頂けて感謝です!
たった数人の方々でも、読んで頂けてるのが本当に意欲になっています。
贅沢を言うと、ブックマーク、して欲しい、、なーんて!
今後とも気長に楽しんで頂けたら幸いです!




