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Recollection-47 「若き生き字引」





傷口の処置を終え、シンはイェットの父、オルブライトノットに伝える。


「あノ、ありがとうございましタ。傷の処置もですガ、こんな俺を護ってくれテ、、。」


「気にするな、当然の事をしたまでだよ。気分が悪くなったら町外れのサニカ先生の所に行きなさい。それから薬草の手配は俺がしておくから。お金の事は心配しなくていい、払うべき奴等に払わせる、な!」


そう言うとイェットの父は満面の笑みを浮かべた。


「はイ!、、お手柔らかニ、、お願いしまス。」


そう言うと、シンも満面の笑みを見せた。


「ア!俺今から城まで行ってきまス。イェットやイグナの事、探してきまス。」


「わかった。無理するなよ。まだ走ったりはしない様にな。」


シンは頷き、リヴォーヴ家を後にする。


その後ろ姿を見送っていたオルブライトノットは両手を腰に据え、1人の少年の決意を心で応援した。


(あの時のシンの眼は何かを決心した眼だった。やはり男だな。誰にも止められやしない、か。)





同時刻、ノーアとマリーアンナは町から近い北東の天召式(ヴォーカヴィタド)場へと来ていた。


「、、、こ、こンなに人が、、死ンじゃったンだな、、。」


ノーアは戦争の結果と事実を目の当たりにして瞠目結舌としていた。


「、、、酷い、、。私達の国が、何かしたって言うのかな?どうして戦争なんか起きるのかな?」


マリーアンナは只々腑に落ちないばかりでおどおどしっぱなしだった。


2人は拾ってきた薪を1箇所に集めている。集められた薪は屍の上に置かれた後、火を放たれる。


これから冬を迎えるにあたり、大切な資源を戦争によって失う、、。しかも用途が火葬のため、、。2人は複雑な気持ちだった。



「そこの君達!」


ノーアとマリーアンナに掛けられたのであろう声の方を見ると、甲冑と兜を装備した見知らぬ男がこちらを見ていた。


「はいぃ?何か様スか?」


「他に何かお手伝いがありましたか?」


精神的に少し参っていた少女2人が気怠そうにそう言うと、その男は2人に近付きつつ兜を脱いだ。




「!!その髪、、!」


「、、、あなたも⁉︎」




翡翠色の髪に小麦色の瞳、30代中半であろうエトナの民だった。


「あなたもって事は成程、お知り合いかご友人にエトナの民の方がいるのかな?、、私はオーディン・ミカミ・エトナ。一応、護衛団の副隊長だよ。」


「「!!うそ⁉︎」」


まさかの護衛団副隊長の呼びかけに動揺し、背筋をこれでもかと伸ばして直立する2人。


「⁉︎ し、失礼しましたぁ!わ、わ、私はフォエナさんの野朗が仕切ってやがる護衛団見習いの調理員兼世話役をしているノーア・クリストファーだよです!」


「あ、マ、マリーアンナ・トトです何だかごめんなさいすみません失礼しました!」


2人は疲労と緊張から少々支離滅裂だ。



「そんなに緊張しなくて大丈夫、ただ副隊長ってだけで同じ人間だからね。ノーアさん、いつも雛隊の世話役ありがとう。仮宿舎の掃除も助かってるよ。それからマリーさん、毎年祭の歌い手として従事して頂いてるね。今年も宜しくお願いするよ。、、あ、成程ね!」


オーディンはそこまで言うと気付いた様だ。


「フォエナは(トキ)ノ雛隊隊長だから、イェット君が君達の知るエトナの民だね?」


「!!そうです!、、その、イェット君は、皆は無事ですか⁉︎」


マリーは今までのおどおどした態度から一変し、空五倍子色の垂れ目に力を込めてオーディンに歩み寄り質問する。


「成程そう言う事か。雛隊の皆なら生きているよ。そろそろ家に着く頃じゃないかな、、。そうそう、君達に話があったのは、ここの持ち場はもう大丈夫。それに、、女の子が見る様な光景じゃないからね、祭の準備の方をお願い出来るかい?」


オーディンはにこりと笑顔を見せ彼女達にそう促した。


「!は、はい!喜ンで!」


「生きてる、、!あ!直ぐに祭の準備を手伝ってきます!」


2人は急いで帰路に着く。まるで待ち人に会えるかの様な足取りだ。




オーディン・ミカミ・エトナ。


アトレイタス護衛団総隊長の右腕であり、諜報活動にも長けたコーポリス国護衛団副隊長で聡明な男。町の人間の家族構成等も把握している、言わば「若き生き字引」だ。


そしてアトレイタス同様、鳳凰守護ノ迦楼羅天(かるらてん)の異名を持つ。


この場にいたのも、ある事をその目で確認する為だった。


2人を見送った後、左手に持った兜に力を込め、眉間にシワを寄せ考え込む。


(見つからない、、、。やはりおかしい。、、成程ね、確実に何者かの意思により人為的に行われている、、。アトレイタス総隊長に報告しなければ。)


「すまない、急用ができた。私は城に戻り総隊長に報告する事がある。後は任せるよ。この度戦死した英雄達をしっかり弔ってやってくれ。」


「はっ!副隊長!」


そう言うと、オーディンは馬を駆り城へ向かった。


(もし私の推測が当たってしまうなら、相手はかなりの情報を既に手にしている、、、。成程、厄介極まりないな、、。)





















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