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あひるの冒険  作者: ルンバ
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第一話「目覚め」


 この物語は、記憶をなくした女性あひるが、いずれ世界で長く語り継がれるチーム、PACHEピーチが結成するまでの物語.....



 とある暖かい日、晴れた空の下、木々生い茂る森の中にある一軒の家、その中に二人の夫婦が一人の気絶した女性をおんぶし運びこまれ、部屋のベットに寝かした。


 ベットに運び込まれた女性は意識が戻りそのまぶたをゆっくり開いた、そして寝た状態で周りを見渡す、そこは見覚えがない部屋、ベット、女性が寝ているベットの横にはもう一つ別のベットがあり、寝ているベットの近くの大きな窓からは、太陽の光が入り込んでいる。


「ここは......どこ?」


 女性はなぜ自分がここにいるのか、何をしていたのか思い出そうとしたが、記憶には黒いモヤのような物がかかっていて思い出すことができない、今唯一覚えているのはよく呼ばれていた自分の名前だけだった、そして女性は酷い喪失感を感じていた、それが記憶の欠落による物なのか、それとも別の何かなのか、寝ている女性には全くわからなかった。


「全く思い出せない、ただ一つ思い出せるのは......」


 女性は体を起こし、頭に手を当てて思い出そうとしても、やはり何も思い出せない。


 すると、部屋の奥にあった扉がゆっくり開いた、扉を開けて現れたのは30代くらいの女性で綺麗で長く白い髪をしている。


「おや? ようやく起きた? よかった~もしかしたら起きないんじゃないかって思ってたの」

「あなたが私をここに? ここはどこなんですか?」

「ここ? ここは私と夫の暮らしている家でこの部屋は寝室、あぁ安心して、あなたを寝かしてたのは私のベットだから、あ! もしかして夫のベットがよかった?」


 白髪の女性はニヤッと笑いながら話す、その話に少し困惑した。


「ごめんごめん冗談冗談、目覚めたばっかで混乱してるのにごめんね」

「い、いえ......」

「それよりあなた名前は? 私はリブ、リブ・ザレイ」

「...私の名前は......あひる......あひるっていい......ます」


「あひるちゃんか~、変わった名前ね。あと敬語とかさん付けしなくていいよ、そういうの慣れてないから」

「わ、わかった!」

「お! いい返事、元気そうで安心した、あぁそうそうあひるちゃん、あなた道端に倒れてたのよ? どうして道端に」

「道端に!? 何でそんなところに......全然思い出せない、なんで倒れてたのかも自分が何者だったのかも......」


 リブは一瞬驚いたが、すぐにその反応は薄れた。


「まさか記憶がなくなってるとはね、こまったわ......」


 すると突如あひるに空腹による現象でお腹が鳴った、その音はリブの耳にももちろん入った、あひるは恥ずかしくなり頬を赤くした、その反応を見てリブはクスッと笑った。


「お腹が空いてたのね、よし! 少ししたら夫が帰ってくるから、日もいい具合に暮れてきたし晩御飯にしましょう、どう? 歩けそう?」

「う、うん......少し動くくらいならできそう」


 あひるは頬を赤くしながらしずかに返事をした、リブは部屋の扉を開け別の部屋へ移動した、あひるはその後ろからリブについて行く、寝室を出ると、テーブルがあり、それを囲うように椅子が四つ並んであり奥には外へと続くであろう扉がある、玄関のようだ、寝室を出て右側には台所があるのがわかる、


「あひるちゃん、座ってて」


 リブは優しく声を掛け、あひるは言われた通り椅子に座る、あひるが椅子に座ったタイミングで玄関の扉が開いた、リブと同じ歳くらいかそれ以上の少しガタイがいい男性が釣竿と何かを背負ってこの家に入ってきた。


「ただいま帰った、お? 目覚めたのか! お〜よかったよかった!」


 安心したように親しく接するこの男性がおそらくリブの夫なのだろうとすぐに察することができた、リブが男性のところへ歩いて行った。


「おかえりなさい、どうだった?」

「今日はいいのが連れた、大物だ!」


 と言い背負っていた物をリブとあひるに見せた、見せたのは1メートルちょっとくらいの大きな魚だった。


「これは随分大物ね〜、腕がなるわ!」

「おう! ここからは任せた!」

「うむ! あ、そうだ紹介するわ、私の夫のイグルドよ」

「よろしく、えーっと」

「あひるです、お世話になってます」

「あぁ! 存分にゆっくりして行ってくれ」


 と、2人は握手をした、リブはイグルドに渡された魚を台所に持っていき調理を始めた、あんな大きい魚をどうやってさばくか気になって台所を見に行ってみたら、リブが包丁を魚に向かって構えていた。


 すると突然包丁が緑色のオーラのようなものをまといはじめた、室内なのにそよ風が吹き始めた、その風はリブの持っている包丁からのようだった。リブが一息つくと魚が突如空中に浮き始めた。


「えぇ!?」


 この光景にはあひるもかなり驚いた、そしてオーラをまとった包丁で目にも止まらぬ速さで魚を切りつけた、その切られた魚は綺麗に捌かれ大きい皿に並んだ。


「す、すごい! なにそれ! 包丁がなんかオーラまとってすぱぱーって!」

「ふふーん! 見た? 私の調理スキルと風魔法を合わせた高速魚捌き!」

「うん! すごいよ! びっくりしちゃった! でもそのスキルとか魔法って?」


「驚いた、あひるちゃん魔法もスキルも何も本当に覚えてないのね、じゃあ食事しながらお話しましょう、少し待っててね」

「わかった」


 数分後、リブは調理が終わったのか台所から三人分の食事を持って来た。


「はい!おまたせしました!大魚の刺身定食〜!いつもより豪勢よ〜」


 テーブルにはさっき捌かれていた魚の刺身と白いご飯に味噌汁が並んだ、小さな器には濃い茶色のタレのようなものが置いてある。


「それじゃあ食べましょっか」


 3人は食器の前に置かれた2本の細い棒を手に取り、食べ始める、リブがあひるの方を見るとあひるがその二本の棒をうまく使い食事をしていた。


「あひるちゃん、お箸使えるのね! 驚きだわ」

「え? あ、そういえば私これの使い方知ってる、なんで?」

「お箸は私たちしか使ってないと思ってたけど記憶失う前は使ってたのかしらね」

「わからないけど、この料理、白いご飯に味噌汁なんか懐かしい......」

「あひるちゃんの家では私たちと似た暮らしをしてたのかもね」

「そうなのかな、うーん何も思い出せない」


 イグルドが不思議そうに首を傾げた。


「ん? その言い方だともしかしてあひるって記憶喪失だったりするのか?」




「「あー......」」


「言い忘れてたわね......」



第一話「目覚め」完

第1話読んでいただきありがとうございます。

この作品はチームを結成して終わるまでちゃんと最後まで投稿するので2話以降もお楽しみに!

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